江戸時代の名残りのある明治初期の錦絵から始まり、小林清親、川瀬巴水(新版画)を経由して、横尾忠則のポスターまで。
この分野の整理はなされているのでしょうか?
一大企画を希望いたします。
ぜひ、お願いいたします。
兵庫県立美術館の中山岩太展第1期に行ってきました。コレクション展(常設展)の一部とはいえ、49点もの点数があり、見ごたえがあります。もちろん、点数が多いことだけが問題なのではなく、その1作1作が、他の追随を許さないような、まさに珠玉の作品だという点がすごいのです。
ご参考までに、展示作品リストを掲げます、本当は、このようなリストは、基本的な資料なので、兵庫県立美術館のサイトに掲載していただければいいのですが?
なお、本展についてはチラシは作成されておらず(コレクション展全体についてもチラシがないようです。ただし、コレクション展のポスターはある)、また、中山岩太展について、解説を記載したようなパンフレットもありませんでした。
ちなみに、単純に計算すれば、全3期で150点近くの作品が展示されることになりますが、今回だけでもすごかったのですが、全体で考えればなおすごい、期待できます。(ただし、おそらく、展示作品に重複が出てくるのではないかと思います。)
本当は、「第2期」も「第3期」もぜひ行きたいところですが、前にも書きましたように(No.2156)、会場が遠いので、交通費も考えると、さすがに難しいでしょう。もう遅いのですが、1回にまとめていただければよかったのにと思います。実際に見たところでは、スペース的には他の展示作品を調整することで可能だったと思います。
最後に、中山岩太の作品集は、今まで何冊も刊行されていますが、現時点では、いずれも入手できなくなっています。公立図書館で探せば、そのうちのいくつかは必ず発見できると思いますので、借りることは可能です。しかし、1冊も入手できないという状態は、日本の代表とする中山岩太についてどうなのかという疑問も強く、中山岩太ファンとしても残念ですので、再販、増刷、場合によっては新規刊行など、ご検討いただきたく、よろしくお願いします。
遅ればせながら、「復刻保存版FRONT」I, II, III(2119)(2024/06/02)に続いて、次の復刻版のご紹介です。
『合本復刻版NIPPON』1・2・3
国書刊行会
各・本体価格38000円(税込)
第1集:第1号~第14号
https://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336077172/
発売日 2024/12/25
判型 B4判 ISBN 978-4-336-07717-2
ページ数 910 頁 Cコード 0000
第2集:第15号~第28号
https://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336077189/
発売日 2025/06/06
判型 B4判 ISBN 978-4-336-07718-9
ページ数 978 頁 Cコード 0000
第3集=2025年9月刊行予定
まだ情報が掲載されていません。
カタログも掲載されています。
https://www.kokusho.co.jp/catalog/9784336077172.pdf
「FRONT」と同様に、こちらも個人で購入するには高価すぎますが、購入し損ねていた公立図書館や研究機関には、積極的に購入していただきたいものです。。
ヒルマ・アフ・クリント展の会場にも掲げられていた「神殿のための絵画」一覧(全2期(1906-1908と1912-1915)、全193点)ですが、展覧会カタログのページを繰ってみても、掲載されていません。
おかしいなと思ってよくよく見てみると、今回の展覧会カタログには、他の展覧会カタログでもたまに見られる、「本のカバー状のもの」が付いています。実物をご覧になった方はお分かりだと思いますが、展覧会カタログよりも、上下が少し短いものです。
実は、その裏に、この一覧が掲載されています。
なぜ、わざわざ、こんな変則的なことをする必要があったのでしょうか? 非常に疑問を案じます。
これは、
・存在自体がわかりにくい(カバーを一旦展覧会カタログ本体から外さないと発見できない、見逃す人がいないとは限らない)
・ご存じのとおり、ほとんどの公立図書館では、通常、書籍の保護のため、本の外側にビニールを貼り付けることが多いが(とともに、もともと付いている函やカバーを破棄することも多い)、これに対して、今回のこの展覧会カタログのカバーの裏が見られるようにするために、いったいビニールをどう貼ることになるのかがわからない(不可能ではないが)
・サイズもA4やB4といったサイズではなく、変則的である(コピーをするとしたら、不便。さらに、美術館の図書室でのコピーでは、通常は、拡大縮小をすることができない)
などの問題があります。
「素直に」、本文中に含めていただきたかったところです。サイズ的に本文のページでは納められないというのであれば、美術書ではよく存在する「折り込み」という方法など、いくらでも方法は考えられたと思います。もし、カバー裏がどうしても必要ならば、それはそのまま残し、本文はそれと重複させて掲載するという方法もあります。
なお、同じ一覧が「芸術新潮」2025年4月号のアフ・クリントの特集にも掲載されていますが、企画に含まれていない作品(かなりの点数になる)や本文に掲載されている一部の作品の図版が掲載されておらず、かなり不完全な一覧となってしまっています。その理由は権利の関係だと思いますが、残念です。
「今後日本での開催を希望する20世紀前半の海外の写真家の展覧会」ととりあえずタイトルをつけてみました。しかし、昨年2024年くらいからは、我ながら言いますと、海外の写真家について追って行こうという「熱意」を失ってしまったように思います。この点については、必ずしも理由はよくわかりません。
それでも、その理由をあえて考えてみますと、今まではいろいろとこの場でも書いてきましたが、例え展覧会企画を希望しても、なかなか実現の可能性がないという点が大きいように思います。
また、少し昔になりますが、ヨーロッパに関しては、「The History of European Photography」(全3巻、各2冊で、全6冊)の刊行が大きいですね。ヨーロッパの写真については、この本で、網羅的に紹介されているので、当方のか細い知識の範囲では、それ以上付け加える必要がないように思えてくるのではないでしょうか?
アジアの写真についても、同様に20世紀全体をカバーするような企画や書籍の刊行を望んでいるのですが(No.1307. No.1308, No.1309で簡単に書きました)、書籍刊行も実現しそうにありません。展覧会企画であれば、地域展であれ個展であれ、アジアの写真(特に20世紀前半)については書籍よりもなおさら実現の可能性が低いようにも思います。
そうすると残るはアメリカ(南北両アメリカ)やオセアニアですが、さてどうでしょうか?
例えば、アルゼンチンのオラシオ・コッポラ(Horacio Coppola, 1906-2012)などを挙げることができるかもしれませんが、これも実現可能性は乏しいでしょうね。
オーストラリアやニュージーランドの写真(特に20世紀前半)についてなどは、日本にはほとんど情報がないと思いますので、当方などは写真家名すら挙げられない状態です。
そもそも、世の中がそういう、必ずしも「世界の10人」、「世界の20人」に入らないような(けれども、それなりに有名な)写真家の写真展企画を、あまり望んでいないのでしょう。他方、例えば、「マン・レイ展」ばかり繰り返し開催するというような世の中の状況に、うんざりというか辟易しているという感覚もあります。
そういった、なんやかや、なんだかんだで、「(20世紀前半の)海外の写真家の展覧会」への熱意は失われていったということでしょうか。
もはや日本人写真家に集中したほうがいい、ということかもしれません。20世紀前半の日本の写真や写真家についても、まだまだ抜け落ちている企画(過去には開催されたが、永らく開催されていない写真家の個展を含む)、新たに開催していただきたい企画など、挙げることが可能です。今後考えて行きましょう。