次の本が刊行予定です。
ありのままのイメージ
スナップ美学と日本写真史
甲斐 義明 著
ISBN978-4-13-080223-9
発売日:2021年06月21日
判型:A5ページ数:352頁
税込5,720円
本体5,200円
http://www.utp.or.jp/book/b577408.html
最後の部分にコピーした内容紹介と目次をご覧いただくと、戦前から戦後、1980年代までを、「スナップショット」で切り取るという意欲作。期待できますね。視点としては珍しくないはずですが、今までその視点から日本写真史全体を見ようという試みはなかったかもしれません。
作者の甲斐さんは、新潟大学大学院現代社会文化研究科の准教授(1981年生まれ)。
海外留学のご経験もあり、若手のホープというところでしょうか(とはいえもう40歳ですが)。今後のご活躍にも期待します。
https://www.gens.niigata-u.ac.jp/academic_search/%E7%94%B2%E6%96%90%E3%80%80%E7%BE%A9%E6%98%8E
http://researchers.adm.niigata-u.ac.jp/html/100000730_ja.html
それでは最後に、内容紹介と目次です。
内容紹介
木村伊兵衛,土門拳,森山大道,荒木経惟から藤岡亜弥まで,日本写真史を駆動してきた力学のひとつはスナップという美学だった.そのスナップ美学の変遷と実態を多様な言説と具体的な写真作品を精査することで浮かび上がらせる,気鋭の研究者による写真研究の成果.
主要目次
序 論
第1章 スナップショットの誕生:瞬間のイメージ
1 写真用語「snapshot」の登場
2 外来語としてのスナップショット
3 『写真芸術』とスナップショット
第2章 新興写真と小型カメラ:新たな視覚世界
1 スケッチ写真
2 ライカの登場と新しい視覚
3 異化と自然さ
第3章 被写意識と反演劇性:木村伊兵衛の肖像写真
1 木村伊兵衛の《文芸家肖像》
2 被写意識
3 スナップ美学と反演劇性
第4章 「道楽から実用へ」:戦時下のスナップ
1 街頭スナップというジャンル
2 窃視するアマチュア
3 スナップとプロパガンダ
第5章 スナップと生活記録:戦後の木村伊兵衛
1 民衆芸術としての写真
2 木村伊兵衛とアンリ・カルティエ=ブレッソン
3 曖昧さと非実用性
第6章 非演出の倫理:土門拳とリアリズム写真
1 リアリズムの「基本的方法」としてのスナップ
2 「黙って撮る権利」
3 スナップのジレンマ
第7章 身振りとしてのスナップ:東松照明・森山大道とアメリカ的なもの
1 スナップの新たな表現
2 東松照明とアメリカ化のイメージ
3 森山大道と異種混交的風景
第8章 スナップと日常:荒木経惟・牛腸茂雄の記念写真構図
1 眼差しから逃れる世界
2 記念写真構図
3 出会いと距離の視覚化
第9章 〈もの〉のスナップ:中平卓馬・石内都・赤瀬川原平らによる物体への眼差し
1 スナップと非生物
2 〈もの〉との出会い
3 事物の歴史性
第10章 反省的転回:一九八〇年代以降の路上スナップ
1 顔への再接近
2 素朴写真家という虚像
3 反省的スナップ
なお、同じ作者の次の翻訳ものも、戦後を中心としていますが、興味深いと思います。
写真の理論
甲斐 義明【編訳】
月曜社
2017/10発売
価格 ¥2,750(本体¥2,500)
内容説明
写真‐社会‐芸術、写真史と写真の論理を読み解く重要論考五篇を収録。編訳者による詳細な解説を付す。
目次
1 『写真家の眼』序論(ジョン・シャーカフスキー)
2 モダニズムを解体し、ドキュメンタリーを再創案する―表象の政治学についての覚書(アラン・セクーラ)
3 写真とシミュラークルについての覚書(ロザリンド・クラウス)
4 「取るに足らないものの印」―コンセプチュアル・アートにおける/としての写真の諸相(ジェフ・ウォール)
5 スナップ写真―美術史と民族誌的転回(ジェフリー・パッチェン)