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開催してほしい展覧会(20世紀前半篇)

Purism(ピュリスム)、いえ、むしろオザンファン(1803)

>>1791

 

「ル・コルビュジエ」展に、さっそく行ってきました。

平日でしたが、かなり混んでいるという印象がありました。

 

タイトルが「ル・コルビュジエ 絵画から建築へ ピュリスムの時代」とあり、チラシにも大きくル・コルビュジエだけが写っているのですが、内容を考えた実際は、「ピュリスム展」といっていいでしょう。なお、ピュリスム期のル・コルビュジエとオザンファンの作品は、キュビスム期のピカソとブラックの作品のように、素人には区別が難しく感じました。

(ところで、はじめて国立西洋美術館に行ったのですが、会場の一部が、構造上、とても天井が低く不思議に思いました。なぜそういう造りにしたのでしょうか? 背の高い外国の人などは、とても困ると思うのですが。)

 

「出品作品リスト」(展覧会特設サイトの方ではなく、美術館の方のサイトに掲載されています、https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/pdf/2019lecorbusier_list.pdf)によれば、オザンファンの作品は16点で、今まで、これだけオザンファンの作品が集まった企画はなかったはずです。しかも、欧米各地の美術館から集められているという豪華さです。

さらに、2人以外の、ピカソ、ブラック、レジェ、グリスなどの作品もありますが、キュビスム展というには数が少なすぎて中途半端であり、展示の中での位置づけ、つまり「ピュリスム」との関係が、展示を見ただけでは、よくわかりません。見せ方に問題があったのではないか、もっと展示順などを工夫して、ピュリスムとの影響関係などをわかりやすく示すべきであったと思います。ただ、彫刻(アンリ・ローランスとジャック・リプシッツ)は、単純に見ることができてよかったと思いました。

 

さて、以下、オザンファンに焦点を絞って書かせてもらいます。

オザンファンといえば、「20世紀前半の美術家50名」の中というのは無理としても、「20世紀前半の美術家100名」には当然入るくらい重要な作家にもかかわらず、特に日本では知名度がありません。

その結果、ピュリスム展を超えて考えた「オザンファン展」に至っては、日本では今まで開催されたこともなく、少なくとも当方が生きている間には、今後も開催される可能性は皆無でしょう。その意味で、オザンファンのファンであれば、今回の企画は、文字通り必見です。

 

オザンファンで考えますと、ピュリスムの時代(ピュリスム的な作品を制作した時期)は、1918年頃から1920年代後半までのほぼ10年間。「ピュリスム」を宣言した『キュビスム以降』の刊行とジャンヌレとの初めての二人展がいずれも1918年なので、スタートは1918年で間違いないでしょう。終わりは、オザンファンが「エスプリ・ヌーヴォー」からの離脱を通告し、実際に、雑誌『エスプリ・ヌーヴォー』の最後の号が刊行された1925年で運動としては終わりです。ただし、オザンファンのピュリスム的な作品は、その後もしばらく継続して発表されています。

 

さて、今回驚いたのは、分厚い展覧会カタログです。330ページ超で、かつてのセゾン美術館の「バウハウス」展の厚い展覧会カタログを思い出しました。3800円は高いと思いますが、あの内容で、書店で販売される一般の本ならば5000円は超える可能性もありますので、やむをえないでしょうか。

本カタログの編集は村上博哉氏(国立西洋美術館副館長兼学芸課長)で、企画構成も同氏です。また、執筆者の中には、ギャルリー・タイセイの林美佐さんも含まれています。なお、オザンファンについての執筆者はビエール・ゲネガン氏(Pierre Guénégan)です(以下でご紹介しているオザンファンについての文献の編者でもある)。日本人ではオザンファンについて執筆できる方がいないのかもしれません。

日本語で「ピュリスム」や「オザンファン」だけを取り扱った文献は皆無だった(と思います)ので、今回の展覧会カタログは極めて貴重です。(もちろん「ル・コルビュジエ」関係の文献の中で、オザンファンに言及しているものは、いくつもあると思いますが。)

しかし、展覧会カタログなので、公立図書館には所蔵されないことになりますので、その点はとても残念です。

 

また、第IV部が「ピュリスム以降のル・コルビュジエ」となっている点も残念でした。ル・コルビュジエに限定せず、オザンファンについても「ピュリスム以降」を展示してほしかったところです。

展示には含まれていませんので、「ピュリスム以降のオザンファン」については、今回の展覧会カタログには頼れず、他の文献に頼るしかないですね。

 

オザンファンの文献としては、展覧会カタログの主要参考文献のリストにあるもののうち、新しいもの3点(いずれもフランス語)が重要です。

Françoise Ducros, Ozenfant, Paris, Cercle d’Art, 2002, ISBN: .2702206131

Pierre and Margaret Guénégan, Amédée Ozenfant, Catalogue raisonné de l’oeuvre peint, St. Albans, Heartfordshire, Lanwell & Reeds, 2012, ISBN: 9782970049456

Pierre Guénégan, Amédée Ozenfant, Catalogue raisonné des oeuvres sur papier, St. Albans, Heartfordshire, Lanwell & Reeds, 2016, ISBN: .9782970049463

最初の文献も図版が多いですが、2点目、3点目はレゾネですから、見ているだけで楽しめます。ただ、当方はフランス語はわからないので、図版だけしかわからない、という問題があります。

 

なお、「20世紀の美術家500」(木下哲夫・訳/美術出版社/2000年)の355ページにオザンファンの「喫煙室:静物画」という作品が掲載されています。ただ、その制作年が「1923年頃」と記載されていますが、実際には、戦後のはずです。

http://www.artnet.com/artists/am%C3%A9d%C3%A9e-ozenfant/

http://www.artnet.com/artists/am%C3%A9d%C3%A9e-ozenfant/nature-morte-tabagie-a-zlQDJr6fgXEAV-BrajNKeQ2

のページによれば、「1960年頃」です。

 

ピュリスム以前の作品については、かなり傾向がばらばらなのは当然としても、ピュリスム以降のオザンファンの作品は、ピュリスムのままものもの、具象、抽象とかなり変転していて、統一性はありません。このあたりの紹介も、ぜひ日本語でお願いしたいところです。なお、1930年代には写真作品(必ずしも前衛的ではない)もあります。

 

国立西洋美術館は、基本的に、20世紀初めまで(ピカソ、マティスあたりまで)が対象だと思っていましたので、ピュリスムの企画というのは、ル・コルビュジエ関係ということで例外だ(本来なら竹橋で企画されるはず)と思っていましたが、常設の方には20世紀の作品も展示されていましたので、少なくとも20世紀前半であれば竹橋(東京国立近代美術館)と厳格な境界線があるわけでもないようですね。

 

最後に、以下のとおりPurismを希望する投稿も過去にあって、これは2000年末の投稿ですから、18年越しの企画実現ですね。

 

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Purism

Akihoshi_Yokoran

2000/12/28 13:08

 

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