もっと早く投稿しようと思っていたのですが、会期も終了してしかもずいぶん時間もたってしまいました、すみません。
長谷川三郎展については、A5サイズ・全16ページの「パンフレット」が制作されていました。
先にご紹介したように、次のページに掲載されています。
https://www.momat.go.jp/wp-content/uploads/2026/05/2da8b1cfa6fca97d59c8dd2d756ea2d4.pdf
この企画自体に人気があったのか(それとも、杉本博司展のついでに立ち寄ったかたが多かったのか)、制作部数がそもそも少なかったのか、当方が訪問した際には、このパンフレットは早々になくなっていました。
配布が終了していることを告知している文章が会場には掲載されていて、そこには、ネットに掲載されているので、そちらを参照してほしい旨も記載されていました。
ネットに掲載されているから冊子自体が入手できなくても大丈夫でしょう?、という趣旨かと思います。
しかし、ネットに掲載されているPDFファイルをそのまま印刷すると、ページ順のため、パンフレットとは違うレイアウトになっていて、真ん中で折り曲げても、同じ冊子の形にはなりません。実際に印刷したかたは、おわかりでしょう。
それでも、せっかくなので、冊子と同じレイアウトにしたいというかたも多いでしょう。しかし、「パンフレット」と同じレイアウトになるように印刷しようと思ったら大変です。
もしもそのレイアウトで印刷しようとすると、PDFを縦に切り分けて、違うページとつなぎ合わせて、全体を整える、という作業が必要となります。
そのようなことは、そのためのアプリを探して、時間をかけて作業をすれば、できます。
できますが、それをわざわざ自分自身でしなければならないのでしょうか? 両面で印刷すればそのまま冊子(パンフレット)になる、そのレイアウトでのファイルも一緒にサイトに掲載していただけたらいいのに、そうなってはいない。そういう発想はなかったのでしょうか? 利用者の希望や利便性のことを考えているのか、と疑問に思いました。
なお、先にご紹介した、写真作品「室内」の解説はこのパンフレットには掲載されていません。せっかく文章化して会場内では掲示されているのだから、できる限り手許に残る資料にも掲載していただきたいものです。このような文章が記録として残らないまま、展示会場だけで消えてしまうとは、あまりにもったいないことです。
少し前ですが、次の本が刊行されています。
女性の身体の美術史 理想のヴィーナスから、わたしたちの身体へ
著 エイミー・デンプシー
翻訳 村上由鶴
パイインターナショナル
2026年7月23日
4389円(3990円)
まずは、<掲載アーティスト>です。
サンドロ・ボッティチェッリ / レオナルド・ダ・ヴィンチ / ハンス・バルドゥング / ラファエロ / ティツィアーノ / ソフォニスバ・アングイッソラ / アルテミジア・ジェンティレスキ / ピーテル・パウル・ルーベンス / フランス・ハルス / ヨハネス・フェルメール / 喜多川歌麿 / ジャン=オーギュスト=ドミニク・アングル / エドゥアール・マネ / エドガー・ドガ / メアリー・カサット / ポール・ゴーギャン / アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック / エドヴァルド・ムンク / グスタフ・クリムト / エゴン・シーレ / アメデオ・モディリアーニ / マン・レイ / タマラ・ド・レンピッカ / フリーダ・カーロ / レオノール・フィニ / リー・ミラー / ニキ・ド・サンファル / アンディ・ウォーホル / マリーナ・アブラモヴィッチ / アナ・メンディエタ / シンディ・シャーマン / ゲリラ・ガールズ / バーバラ・クルーガー / ジェニー・サヴィル / シリン・ネシャット / ポーラ・レゴ / ルイーズ・ブルジョワ / バカリー・トーマス / 片山真理 / トレイシー・エミン 他
このリストからもお分かりのとおり、女性作家の本ではなく、「女性は、名画のなかでどう描かれてきたのか」という観点の本です。
その意味では、次の2点とは異なる趣旨の本です。
・女性たちのデザイン史 Women in Design(2224)(2026/04/26)
・男性のいない美術史(2197)(2025/10/26)
それでも、面白そうですので、実物をじっくりと見たいものです。
先にご紹介した東京国立近代美術館の企画に関連して、書籍のご紹介です。ただ、この企画とは必ずしも関連して刊行されたのではない、と思われます。
・生誕120周年 長谷川三郎と国立近代美術館(2235)(2026/07/19)
・生誕120周年 長谷川三郎と国立近代美術館~続報・《室内》シリーズについて(2236)(2026/07/26)
少し前ですが、次の本が刊行されています。
長谷川三郎 空想美術館
河﨑 晃一
ブックエンド
2026年6月
4180円
今までに長谷川三郎に関する展覧会(個展に限らず)は何回か開催され、それぞれ展覧会カタログは作成されていますが、それらと比べても、図版数や図版内容など網羅的であり、かなり充実しています。
実物をじっくり見ることができたら、また詳しくご紹介したいと思っています。
・モダン都市の写真史1923-1944(2247)(2026/08/30)
でご紹介した「モダン都市の写真史1923-1944」ですが、すでに読み終わっています。
とりあえず、次の2点のコメントを書いておきます。
・日本戦前期におけるファッション写真
この本では、戦前期における海外のファッション写真について言及されていました。確かに、いままでは日本の戦前期について語られることはなかったですね。しかし、当時「ファッション写真」と呼べるものがなかったわけではなく、海外と比べて「劣っていた」ため、「日本写真史」の中で言及されることがなかったと考えられます。
そういう意味では、海外と比べることは置いておいて、とにかく、日本戦前期のファッション写真を、そのままの状態で取り上げる、ことが必要だと思います。劣っていたとしたら、何が理由なのか、写真そのものの質なのか、それ以外の要因なのか、質的な問題があるとしたら、それが何なのかを正面から取り上げる、ということがあるべきでしょう。海外と比較して、具体的に「ここが劣っている」と分析してもいいと思います。
そもそも、戦前の日本において「ファッション写真」を撮影していたのが誰なのか、というまとまった情報すらありません。戦前の日本のファッション雑誌(それは何か?)を渉猟すれば、情報は間違いなく出てくるはずです。
・海外のグラフ雑誌をまとめた本が出ないものか?
この本では、戦前期の多くの海外のグラフ雑誌にも言及がありましたが、そういう目的の本ではないので系統的な紹介でもなく、詳しい説明もありません。他方、ほかの本ではほとんど紹介されることがない雑誌もありました。当時の外国のグラフ雑誌全体を取り扱う本が、少なくとも日本にはありません。どのグラフ雑誌がどのグラフ雑誌に、どう影響を与えているのか。どういう系統で、それぞれのグラフ雑誌が(国を超えて)つながっているのか、などをぜひ教えていただきたい。英米露仏だけではだめです。イタリア、スペイン、オランダ、ベルギー、スイスなどヨーロッパは、およそすべての国を対象にしていただきたいと思います。
グラフ雑誌全体の情報を網羅的に取りまとめていただきたいところです。
とりあえず以上2点ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
先に、この本について、20世紀前半についても知らない作家が掲載されている、侮れない、というようなことを書きましたが、時に気になる作家2名を取り上げます。この2名が見開きで掲載されていますが、作家名と作品タイトルと制作年を掲載します。
巻末に掲載作家についての解説がありますので、そちらからも、欧文つづりと生没年のみ掲載します。
p420:アーロン・ダグラス/わたしの民を去らせなさい/1935-1939頃
p501:Aaron Douglas, 1899-1979
p421:グラック/メダイヨン/1936
p500:Gluck, 1895-1978
それぞれ、特徴的な経歴です。
これら以外については、また後日。