31. 影山光洋:KAGEYAMA Koyo (1907-1981)
・戦後50年 写真が語る昭和 影山光洋写真展 カメラでつづる戦前・戦後 影山光洋写真展実行委員会編 藤沢市教育委員会 1995
・芋っ子ヨッチャンの一生 影山光洋 新潮社 1995
32. 土門拳:DOMON Ken (1909-1990)
・風貌[普及版] 土門拳 アルス 1954
・室生寺 土門拳 美術出版社1954
・ヒロシマ 土門拳 研光社 1958
・筑豊のこどもたち 土門拳 パトリア書店 1960
・古寺巡礼[全5巻] 土門拳 美術出版社 1963-75
33. 田中徳太郎:TANAKA Tokutaro (1909-1989)
・白サギ 田中徳太郎 東京中日新聞社 1961
34. 熊谷元一:KUMAGAI Motoichi (1909-2010)
・會地村 熊谷元一 朝日新聞社 1948
35. 名取洋之助:NATORI Yonosuke (1910-1962)
・麦積山石窟 名取洋之助 岩波書店 1957
・ロマネスク 西洋美の始原 名取洋之助 慶友社 1962
36. 田村栄:TAMURA Sakae (1910-2003)
・昆虫の生態 範志生態写真工房編、田村栄 誠文堂新光社 1951
37. 岡本太郎:OKAMOTO Taro (1911-1996)
・岡本太郎の沖縄 岡本太郎、岡本敏子 日本放送出版協会 2000
・岡本太郎の東北 岡本敏子、飯沢耕太郎編 毎日新聞社 2002
38. 桑原甲子雄:KUWABARA Kineo (1913-2007)
・満洲昭和十五年-桑原甲子雄写真集 桑原甲子雄 晶文社 1974
・東京昭和十一年-桑原甲子雄写真集 桑原甲子雄 晶文社 1974
39. 植田正治:UEDA Shoji (1913-2000)
・植田正治小旅行写真帖-音のない記憶 植田正治 日本カメラ社 1974
・べス単写真帖 白い風 植田正治 日本カメラ社 1981
・植田正治作品集 飯沢耕太郎、金子隆一編 河出書房新社 2016
40. 清水武甲:SHIMIZU Buko (1913-1995)
・秩父山塊 清水武甲 春秋社 1974
41. 田中一郎:TANAKA Ichiro (1914-1991)
・ケルテスの高山 田中一郎写真集 田中一郎 田中スタジオ 1994
42. 山本悍右:YAMAMOTO Kansuke (1914-1987)
・山本悍右 不可能の伝達者 山本俶生、稲田威郎、田中晴子編 東日本鉄道文化財団 2001
43. 師岡宏次:MOROOKA Koji (1914-1991)
・想い出の銀座 師岡宏次写真集 師岡宏次 講談社 1973
・オールドカーのある風景 師岡宏次写真集 師岡宏次 二玄社 1984
44. 緑川洋一:MIDORIKAWA Yoichi (1915-2001)
・瀬戸内海 緑川洋一 美術出版社 1962
45. 岩合徳光:IWAGO Tokumitsu (1915-2007)
・交尾 岩合徳光動物写真集 岩合徳光 ノーベル出版 1970
・滅びゆく日本の野生-岩合徳光動物写真集 岩合徳光 河出書房新社 1975
46. 濱谷浩:HAMAYA Hiroshi (1915-1999)
・雪国 濱谷浩 毎日新聞社 1956
・裏日本 濱谷浩 新潮社 1957
47. 臼井薫:USUI Kaoru (1916-2010)
・街道 臼井薫 街道出版委員会 1984
・戦後を生きた子供達 臼井薫 私家版 1985
48. 増山たづ子:MASUYAMA Tazuko (1917-2016)
・故郷-私の徳山村写真日記 増山たづ子 じゃこめてぃ出版 1983
49. 後藤敬一郎:GOTO Keiichiro (1918-2004)
・後藤敬一郎写真集 後藤敬一郎 青柳商事 1973
50. 山端庸介:YAMAHATA Yosuke (1917-1966)
・記録写真 原爆の長崎 山端庸介 第一出版社 1952
51. W.・ユージン・スミス:W. Eugene Smith (1918-1978)
・水俣 W・ユージン・スミス、アイリーン・M・スミス 三一書房 1980
52. 林忠彦:HAYASHI Tadahiko (1918-1990)
・小説のふるさと 林忠彦 中央公論社 1957
・カストリ時代 林忠彦 朝日ソノラマ 1980
(以上52名77点)
明らかに、戦後の作品(戦後に写真集が刊行されたということではなく、戦後に掲載作品が撮影されたという意味)も含まれているのですが、その点はわかったうえで放置してあります。実は、本書の解説を読んでも、区分を徹底することがなかなか難しいからです。
写真家の掲載の順番は、最初のほうの福原路草(福原信三とあわせて取り上げられた写真集を紹介しているためこの位置に来ています)を除いて、ほぼ生年順です。なお、日本人の名前は、欧文表記では姓名の順になっています。ただし、「姓」を全部大文字で記載しないと、どちらが「姓」かわかりにくい、という混乱が生じるのではないかと懸念しています。また、「長音」の上線は使われていません。また、KIMURA Iheiですね(KIMURA Iheeではないですね)。
「外国人が日本国内で撮影した写真集も含む」ということで、本書の1つの特徴にはなっているとは思うものの、上記の中でその例は2人だけで(しかも、ユージン・スミスは、すぐお分かりのとおり戦後ですので、実際には1人だけ)、もう少し数を増やさない限り、成功しているようには思えません(20世紀後半には数は増えますが)。ただ、戦前の日本で、パウル・ヴォルフの写真集が刊行されていたことは初めて知りました(「番町書房」ってどんな出版社?)。最近とは異なり、当時は写真集が刊行されるほど一般的な人気があったんですね。最近は、写真史にある程度詳しい人しか知らないような写真家になってしまいました。
なお、「日本の写真家たちは、写真集を自らの作品世界を展開する最終的な媒体と捉え、制作に全精力を傾けてきた。」と書いておられますが、これは間違いなく正しいでしょう。これは、名取的な「組写真」とも関係するのかもしれませんが、おそらくこれらのことと、日本で一点一点の写真が美術作品として評価される時期が欧米に比べてかなり遅れたという点ともかかわっているのではないかと思います。なお、収録されている写真集の中にも多く含まれていますが、写真家ご本人が制作していない写真集が多くあります。その場合には、この考え方に則れば、「制作者名」も記載する必要があると思いますが、さすがに「編者」はかなりきちんと記載されています。
掲載された写真集を含めて、飯沢さんがお持ちの無数の写真集が置かれ自由に見られる空間「写真集食堂 めぐたま」ですが、以前から行きたい行きたいと思いつつ機会がないまま時間が経っています。新型コロナの関係もあり、いつになったら行けるだろうかと残念に思って(さらには、いつまでたっても行けないのではないかと不安に思って)いるところです。
最後に、52人の写真集名を入力しただけで、かなり大変でした。本書をご制作なさった、飯沢さんをはじめ皆さんのご苦労に思いを馳せ、深く感謝するとともに、(主要部分だけでも)データが電子化され、コピーや検索が容易になってくれたら、と強く希望いたします。そういう時代が早く訪れてほしいものです。