先にご紹介した「開封・戦後日本の印刷広告: 『プレスアルト』同梱広告傑作選〈1949-1977〉」は、プレスアルトの戦後の部分を中心にしていました。しかし、プレスアルトは戦前から刊行されていますが、戦前の部分は、どうやら次の復刻版くらいしか資料はないようです。
なお、この本は当然のごとく、もう入手は不可能です。ただ、在庫があっても、個人で所有できるような価格ではありませんね。
復刻版 『プレスアルト』 (全3巻)+別巻CD-ROM
嶋田 厚 編
津金澤 聰廣 編
出版社:柏書房
定価:181,500円(本体 165,000円)
刊行:1996/07/01
ISBN:4760113053
ページ数:1,324
https://www.kashiwashobo.co.jp/book/4760113053
『昭和12年から昭和19年までに73号を発行した作品付広告・宣伝批評誌を完全復刻。山名文夫,亀倉雄策,原弘ら戦後の広告界を支えた著名人が登場。従来の広告・宣伝史の改変をも迫る資料。奇跡的に保存されていた作品180点をCD-ROMに収録。』
ということです。
3巻の概要は以下のとおりです、
目次
第1巻:昭和12年~14年・第1号~第33号
第2回:昭和15年~16年・第34号~第50号
第3巻:昭和17年~19年・第51号~第73号、解題、総目次、他
念のため、ご紹介まで。
次の本が刊行される予定です。
ラジオと写真家: 「声」の日本写真小史・1925-1944
松實輝彦
創元社
発売日 : 2025/12/19
3080円
ソフトカバー : 272ページ
おおお、『広告写真のモダニズム 写真家・中山岩太と一九三〇年代』(青弓社)の著者でもある松實さんの新刊です。
思いもつかないようなテーマ、題材ですね、さすがです。創元社も面白い本を出版するものです。
登場する写真家としては、福原信三、中山岩太、木村伊兵衛という名前が挙がっています。
楽しみです。
なお、この本を調べている間に、次の少し昔の本も、いまさらながら発見しましたので、ご紹介します。戦後が対象ではありますが、「プレスアルト」についての本とは珍しい。
開封・戦後日本の印刷広告: 『プレスアルト』同梱広告傑作選〈1949-1977〉
竹内 幸絵 (編), 石田 あゆう, 植木 啓子, 北廣 麻貴, 熊倉 一紗, 佐藤 守弘, 寺本 美奈子, 松實 輝彦, 村瀬 敬子, 輪島 裕介
創元社
発売日 : 2020/3/10
4950円
240ページ
大阪中之島美術館の2025年度の企画(2155)でご紹介しました、大阪中之島美術館の「シュルレアリスム 拡大するイメージ 視覚芸術から広告、ファッション、インテリアへ」(2025.12.13 – 2026.03.08)ですが、詳細な紹介が公表されていました。
https://nakka-art.jp/exhibition-post/surrealism-2025/
出品作品リストはまだありませんが、チラシは掲載されています。
https://nakka-art.jp/wp10/wp-content/uploads/2025/06/Surrealism_flyer_0710.pdf
三重県立美術館長の速水豊さんの講演会もあります。
中之島美術館の紹介ページには、出品される作品の図版がいくつか掲載されていますが、その中で気になるのは、2点も掲載されているヴォルスの写真作品です。
1点は、
ヴォルス/《美しい肉片》/1939年/個人蔵
もう1点は、
ヴォルス/《無題》/1937 / 1979年の再プリント/横浜美術館
です。
ヴォルスは、画家としての活動のほうが知られていると思いますが、このように写真作品でも注目すべき作品を残しています。
横浜美術館が所蔵しているという点のほうはなるほどと思うにしても、ヴォルスの作品を個人のかた(しかも、他の作品の所蔵館が皆日本であることから推測して、日本の個人)が所有なさっているんですね。驚くべきことです。
それにしても、楽しみな内容です。
No.2170でご紹介した「野島康三と斎藤与里 ―美を掴む手、美を興す眼」ですが、くわしい情報が公表されていました。
まずは、埼玉県立近代美術館のページ
https://pref.spec.ed.jp/momas/2025nojima_yori
続けて、プレスリリースです。(しばしば、プレスリリースのほうが情報が詳しいことがあります)
企画展「野島康三と斎藤与里 ―美を掴む手、美を興す眼」を開催.pdf
展示作品数はまだわかりませんが、期待できますね。
絵画は他の作家の作品も展示されるようですが、写真は野島だけのようです。
野島康三研究の第一人者で、渋谷区立松濤美術館の学芸員であった、光田由里さん(現在は多摩美術大学アートアーカイヴセンター所長・大学院教授ということのようです)の講演会もあります。
そして本企画ご担当の学芸員は、次のお二人です。
鴫原 悠(しぎはら はるか):主担当
西尾真名(にしお まな):副担当
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/24752/06_kingendaibijutu.pdf
https://www.pref.saitama.lg.jp/f2216/bunkazai/gakugeiin-bank.html#kingendaibijutu
この埼玉県の「学芸員データバンク」というのは、情報公開がここまで来たか、という感じで感心しましたが、一方で、ご本人の写真まで掲載しているのは、ちょっと危険ではないかとも思いました。
そろそろ、情報がいろいろと出てくるのではないかと思っていましたが、なかなか出てこないので、唯一の情報に基づいて、もう書いてしまいます。
兵庫県立美術館から季刊で「ART RAMBLE」(アートランブル)という無料の広報誌が出ています。その86号(2025年3月28日発行)の最終ページ8ページに小林公さんの「38年越しのリレー―安井仲治ネガコンタクト集」という文章が掲載されています。次のURLをご参照ください。
https://www.artm.pref.hyogo.jp/artcenter/pdf/ramble86.pdf
この記事によれば、次の本が今秋(すなわち2025年秋)に刊行予定です。
安井仲治ネガコンタクト集【仮題】
造本設計:町口覚
判型:A4変形
頁数:500頁超
定価:未定
発行元:月曜社
2024年の安井仲治展の東京会場(東京ステーションギャラリー)では刊行予告のチラシが配布されたということですが、当方は持っていません。
この記事によれば、そのチラシには、こう書かれています(チラシでは縦書き)。
(引用開始)
三〇〇〇点余のコンタクトプリントにみる
知られざる仲治の全容
仲治研究の第一人者、福島辰夫氏と福島都氏が一九七〇年代に作成したネガコンタクトのすべてがはじめて詳らかにされる。
(引用終了)
このコンタクトプリントが、中島徳博さんがおられた兵庫県立近代美術館(当時)の1987年の常設展(東京では、西武コンテンポラリーギャラリー(西武コンポ)で開催されたもの)の準備に際して預けられたということで、それが38年越しで刊行されるということらしいのです。
なんとも言えない素晴らしいことです。
しかし、この本は、ページ数とコンタクトプリントの点数から考えて、相当な価格になるでしょうね。当方個人で購入できるようなものなのか、さらには、市町村レベルの公立図書館でも購入できるものなのか、危ぶまれます。
いずれにしても、今後刊行に向けて、更なる情報が出てくるでしょうが、刊行に期待します。
そういえば、中島さんといえば、中山岩太のスタディノート(?)についての研究成果発表は、どうなっているんでしたっけ? こちらも兵庫県立美術館に期待いたします。