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開催してほしい展覧会(20世紀前半篇)

ChatGPT・その2(2054)

ChatGPT」を試しに使ってみました。結論としては、非常に怪しい、というか、ほとんど使い物にならないという結論です。

 

以下、実際の質問と回答の例です。

 

KB(質問):1920年から1945年までに活躍した最も重要な日本の写真家を10人挙げて下さい。名前は漢字表記で、また生没年も併せて記載してください。

 

(回答):以下は、1920年から1945年にかけて活躍した日本の写真家の一例です(漢字表記と生没年を記載しています):

 

木村伊兵衛(Kimura Ihei)(1901-1974

堀川弘通(Horikawa Kōtsū)(1894-1954

内山亀次郎(Uchiyama Kamejirō)(1897-1988

ヨシダタツオ(Yoshida Tatsuo)(1911-1995

石元泰博(Ishimoto Yasuhiro)(1921-2012

関根伊三郎(Sekine Isaburō)(1903-1991

東京一(Tokyo Ichi)(1901-1965

野田琺瑯(Noda Bakō)(1907-1949

福原信三(Fukuhara Shinzō)(1898-1947

中平卓馬(Nakahira Takuma)(1938-2015

 

このリストは他にも多くの素晴らしい写真家を含んでいないかもしれませんが、重要性と影響力を考慮した上で選出しました。

 

(質問・回答の引用は、以上まで)

================

 

回答の最後の部分の日本語がおかしいですが、それは問わないことにしましょう。そんなことより、もっと重大な間違いがあるのですから。

この質問は、出てきた回答が正しいのか間違っているのかが判断しやすいように、ということで考えてみた内容です。「漢字表記で」としたのは、そう指定しないとローマ字の回答になることがあり、ローマ字から正しい漢字を探すのが大変だからです(特に知らない人物の場合)。また、生没年を求めたのは、その本人の特定をしやすくするため、そして間違いを明確にしやすくするためです。

まず、明らかに正しいのは、木村伊兵衛と福原信三の2名だけです。間違っているのは、石元泰博と中平卓馬です。石元は、戦後になってから写真家としての活動を始めました。大変困惑するのは、中平卓馬が挙げられていることです。生年が1938年ですから、1945年の時点では7歳。7歳なのに「活躍した」と判断することがおかしいということすらわからないという判断力のひどさです。

さて、では、残りの6名は、いったい誰でしょうか? ネット上で順に調べてみました。

 

1.堀川弘通(Horikawa Kōtsū)(1894-1954

ネットで見つかった人物は、映画監督で、写真家ではありません。この人のことだとすれば、生没年は間違っており、正しくは「1916-2012」です。いったい、この間違った生没年「1894-1954」はどこから出てきたのでしょうか? 名前の読み方も間違っています。正しくは「ほりかわ・ひろみち」。また、映画監督としても、その活躍は戦後のようです。

 

2.内山亀次郎(Uchiyama Kamejirō)(1897-1988

ネットでは情報が発見できません。そのことから判断して、写真家なのかもしれませんが、「最も重要な」とはいえそうにありません。

 

3.ヨシダタツオ(Yoshida Tatsuo)(1911-1995

ネットでは情報が発見できません。吉田竜夫(1932-1977)という漫画家・アニメ原作者、タツノコプロ設立者・初代社長がおられますが、生没年も異なり同一人物かどうかは判断できません。また、写真家でもありませんし、名前がカタカナ表記でもなく、活動時期は戦後です。

 

4.関根伊三郎(Sekine Isaburō)(1903-1991

ネットでは情報が発見できません。そのことから判断して、写真家なのかもしれませんが、「最も重要な」とはいえそうにありません。

 

5.東京一(Tokyo Ichi)(1901-1965

ネットでは情報が発見できません。ただし、円谷一(1931-1973)が作詞家として活動するときのペンネームに東京一(あずま・きょういち)という名前がありますが、生没年も異なり、名前の読み方(名字と名前の区分)も異なり、写真家でもありませんし、活動時期は戦後です。

 

6.野田琺瑯(Noda Bakō)(1907-1949

ネットでは情報が発見できません。なお、「野田琺瑯(のだほうろう)」という「ほうろう製品」の会社がありますが、もちろん写真家ではありません。「琺瑯」は「ばこう」と読むことができるのですかね?

https://www.nodahoro.com/

 

以上の結果があまりに酷いので、当方は大変疲れてしまいました。単純に数値評価すると、100点満点中20点ということになり、出直して来い、というところです。もう少し何とかしていただきたい。

このような簡単な質問については、初歩的な知識さえあれば、関連する書籍が手許になくても、人間でも、ネットで検索して正しい答えを出すことは可能だと思います。とすると、ChatGPTにとっても、必要な情報は目の前にあり入手することができた、ということになります。となると、おかしかったのは、その情報の中から、正しい情報を選択する、その「判断」ということになります。その「判断」がかなり間違っていたということになるわけで、これは、AIとしては致命的ですね。どこにあったかもわからないような間違った人名を持って来て、上記のように簡単にできるネット上での確認もせずに(例えば、1945年までに活躍していた人物として生年がおかしいかどうかの確認など、ネットを使う必要もなく、すぐにできます)、そのまま回答としているわけです。あえて中傷的に書けば、「あっているかどうかわからないけれど、すぐに回答しなければいけないから、とにかく回答しておこう」ということでもあり、非常に幼稚です。というか、有害ですらあります。上記の一部の人名については、そもそも存在しない可能性すらあるのではないかと疑い始めてます。

 

世の中では、このChatGPTが、例えば、「手紙」や「レポート」の作成などに使える(そのため、逆に、例えば、大学では使用を禁止したり制限したりする)、というような情報がありますが、今回のような質問では、ほとんど使えないことがわかりました。

ChatGPTの回答をうのみにしてそのまま使おうものなら、周りからの信頼を一気にすべて失い、おそらく一生かかってもその回復は無理でしょう。学生ならレポートは「不可」となるでしょうし、研究者だったらその将来は閉ざされたことでしょう。

なお、今回の場合は、「最も重要な日本の写真家」だから、正しいか正しくないかの判断も、ネット上の検索もしやすかったわけですが、もしも、そもそも自分がほとんど知らない分野、例えば「最も重要なイランの写真家」というような質問をしたら、ChatGPTが出した回答が信頼できるかどうかの検証は、ほとんど不可能と言っていいのではないでしょうか? そんなAIは正直なところ使えません。

もう少しは試してみたいと思いますが、少なくとも現時点でこのような方向性での使い方については、時間の無駄のような気もしてきました。

 

とりあえず、今後の発展、改善を期待します。制作した側は、このような間違いの原因をとことん追求していただきたいものです。

 

なお、当方でも何回か試していますが、ChatGPTに対して再度同じ質問をしても、選ばれる10人が10人ともいつも一致するようなことはありませんのでご注意ください。「10人」が回答によって異なることがあるということ自体は、当然ありうることかと思いますが、問題は、上記のとおり、その中に、指定したうちのいずれかの条件を満たさない不適切な人物が含まれているという点です。

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Akihoshi Yokoran
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