次の本が刊行されています。
関東大震災 鉄道被害写真集: 惨状と復旧 1923-24
東京鉄道局写真部 (編集)
吉川弘文館
2020/8/28
¥19,800
これは当時刊行されたものの復刻ということなのですが、いったい、何の復刻本でしょうか、これは?
申し上げたいのは、なぜ、こんなに極限的にテーマが絞られた本が残っているのかということです。もし現在なら、このように絞られた被害報告を公刊することはないでしょう。せいぜい、内部報告にとどまるでしょう。
それから推測すると、やはり、当時は現在よりも鉄道が重要であり、かつ、鉄道の被害が甚大だったということでしょうか。
と考えてくると、この本の趣旨とは異なりますが、例えば、阪神淡路大震災や東日本大震災で被害にあった鉄道とその復興を写真でつづる、という趣旨の写真集であれば、現在でも十分に成立しうると思いはじめました。写真集までではなくとも、写真展としてなら、余計にありうるのかもしれません。
鉄道に対象を絞らなければ、逆にありふれているでしょう(重要でないという意味ではありません)。これに対し、鉄道に対象を絞ることによって、より特徴やテーマを強く打ち出せるのではないか、という気もしてきます。