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開催してほしい展覧会(20世紀前半篇)

「展覧会カタログ」(図録)の将来(2022)

先日「デジタル展覧会(バーチャル展覧会)」を1つでも2つでも実現していただきたい、というような内容を書きました。

これに対して、仮想空間的(メタバース的)なものを想像なさって、技術的も費用的にもとてもとても無理である、という反応が起こりうるかもしれません。

確かに、例えば、実際の展覧会場のような空間をネット上に構築して、あたかも展覧会を訪問し、会場内を歩いて作品を見て回るかのように、作品を見ることができる、そんなデジタル展覧会(バーチャル展覧会)があれば、想像しただけで楽しいです。そして、それは、やがて実現すべきと考えます。1つの目標だと思います。

 

しかし、今すぐ一気にそこまでは無理でしょう。とすると、代わりに、今すぐできることはないでしょうか? いや、あります。

 

それは、展覧会カタログ(図録)をそのままネットに掲載するイメージです。展覧会を開催すれば、ほとんどの場合、展覧会カタログを制作するはず。それを、そのままネットに掲載する、というか、そのままネットに掲載することを前提に、展覧会カタログを制作するかのように、ネットのページを作成する、ということです。

これならば、すぐにできることでしょう。そのための技術や費用は必要になりますが、いずれも無茶なものではなく、実際にも、書籍として刊行されたものを、そのままの内容で「電子書籍」としてネットで公開しているという例はすでに枚挙にいとまがないと思います。それを「展覧会」と考えるのです。

そして、できるというだけではなく、今後はどんどんとすべきだと思います。

 

展覧会カタログくらい自分で買って欲しい、ということかもしれませんが、それほど安くもなく、展覧会カタログの数も増えれば、保管にもかなりの場所を取ります。国内の例で考えると、一般の書店で販売される書籍となる、という例も最近では増えてきましたが、まだ大半は、会場である美術館で購入するか、送金して郵送してもらう、ということにせざるを得ない状態です。足を運んだ展覧会のカタログは全部買う、というのもある程度の数になれば、もう無理でしょう。

特に海外の人にとって、日本の展覧会カタログを入手することは、日本国内の人よりも、費用的にも手続的にも、さらなる負担がかかり(日本の美術館に電話をしたら、英語が通じるのか?)、「入手を諦める」ということも多いのではないでしょうか? やはり、海外もターゲットと考えて、閲覧が容易なネットでの公開が望ましいこと、言うまでもないでしょう。

 

一方で、展覧会カタログは、美術館・博物館にとっての大きな収入源であり、それが失われのは困る、という問題があるのではないかと思います。おそらく、一部の人は、ネットで公開されていたとしても、今後も書籍版を購入してくれるのではないかと思います。展覧会カタログという出版物特有の魅力というものがあると思いますので。ただ、そう考える人が全員というわけではなく、収入が減ることは実際起こりうると思います。しかし、当方は、その点は、すでにやむを得ないのではないか、と思っています。より一般的に、今後、展覧会カタログは、ネット上で公開していくものに変わっていくのではないかと。

 

さて、この部分から先は、いろいろな選択肢が出てくると思います。展覧会カタログを電子化するが、無料公開ではなく販売とする、また、カタログを電子化する展覧会は全部ではなく一部とする、そして、電子化する場合には書籍は制作しないことでコストを削減するなど。もっとよく考えれば、他にもいろいろと出てくると思います。

 

いずれにしても、比較的簡単な「展覧会カタログによるバーチャル展覧会」を、「皮切り」という意味で、試していただいてはいかがでしょうか?

逆に、明確に試しておられる例が見当たらないことを、不思議に感じます。

 

冊子体の展覧会カタログがやがてなくなるとまでは断言できませんが、その入手のしにくさもあって、徐々に電子版が主体となって行くのではないか、電子版こそが、展覧会カタログの将来の姿ではないか、と思っています。

どうぞよろしくお願いします。

 

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Akihoshi Yokoran
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