No.2142でMEMのParis Photo 2024の企画について書きましたが、その際に期待していたように「帰国展」のような企画が年明け早々から開催されています。
名古屋:前衛写真の系譜 1930〜50年代
坂田稔、後藤敬一郎、高田皆義、田島二男、服部義文、山本悍右
会期|2025年1月7日(土)-26日(日)
会場|MEM map
時間|13:00 – 19:00 [1月26日はトークイベントのため14:00〜17:00は通常観覧できません。]
定休|月曜日 (月曜日が祝休日の場合は開廊し、翌平日休廊)
電話|03-6459-3205
https://mem-inc.jp/2025/01/07/nagoya30-50/
(作品図版も4点掲載あり)
ウエブページに掲載されている4点の作品を見るだけで、おそるべき企画であることがわかります。
しかも、次のような対談も開催されます。
対談企画「沈黙か転向か-前衛の戦前/戦後」
日 時|1月26日(日)15:00〜
登壇者|竹葉丈(名古屋市美術館学芸員)、弘中智子(板橋区立美術館学芸員)
会 場|MEM
参加費|1200円
定員20名・要予約
※対談はライブ配信、およびアーカイブ動画の配信も行います。[配信期間 2025/1/27–2/28]
竹葉丈さんはご紹介するまでもありませんが、弘中智子さんは、写真というよりはむしろ前衛絵画系の研究者で、『さまよえる絵筆』(弘中智子・清水智世・編、みすず書房、2021年)や『『シュルレアリスム宣言』100年 シュルレアリスムと日本』(速水 豊/弘中 智子/清水 智世・編著、青幻舎、2024年)などの企画者・編者でもあります。
非常に期待できる内容です。当方の関心に沿ってあえてタイトルを書き直せば、「断絶か継承か-前衛の戦前/戦後」ですかね。
また、カタログ(冊子)も刊行しないだろうか、と期待しています。
ぜひよろしくお願いいたします。
(つづき)
過去の「5大ニュース」は以下の通りです。今回で21年目になりました。
2023年:2094(2024年1月7日)
2022年:2039(2023年1月1日)
2020年:1916(2021年1月3日)
2018年:1779・1780・1781(2018年12月31日)
2017年:1689~1692(2018年1月7日)
2016年:1549~1552(2017年1月2日)
2015年:1420~1423(2016年1月3日)
2014年:1219・1220(2015年1月4日)
2013年:Msg.1147 (2014/2/2)
2012年:Msg.1084(2013/1/6)
2011年:Msg.1027(2012/1/10)
2010年:Msg.957(2011/1/2)
2009年:Msg.892(2010/1/10)
2008年:Msg.821(2009/2/1)
2007年:Msg.744(2008/ 1/27)
2006年:Msg.650(2007/ 1/ 3)
2005年:Msg.580(2006/ 1/ 1)
2004年:493(2005年1月2日)(「その他」の最後の部分)
本年もよろしくお願いいたします。
恒例の「5大ニュース」です。
通例のとおり、書籍と展覧会企画に分けて、以下の通り選んでみました。
1.書籍
4件を挙げます。。
1)日本写真史 写真雑誌1874-1985
公立図書館に、広く所蔵されていることを切望します。
・「日本写真史 写真雑誌 1874-1985」の造本上の問題点(2117)(2024/05/19)
・続報(さらにつづき):日本写真史 写真雑誌 1874-1985(2101)(2024/02/11)
・続報(つづき):日本写真史 写真雑誌 1874-1985(2100)(2024/02/11)
・続報:日本写真史 写真雑誌 1874-1985(2099)(2024/02/11)
・日本写真史 写真雑誌 1874-1985(2095)(2024/01/14)
2)東京工芸大学創立100周年記念 写真から100年
初期には、田村榮、渡辺義雄、大辻清司らを輩出した学校の歴史が描かれています。
・東京工芸大学創立100周年記念(2098)(2024/02/04)
3)インタビュー日本の現代写真を語る
日本の写真史研究の草創期がインタビューにより明かされています。
・金子隆一インタビュー集(2097)(2024/01/28)
4)写真は死んだのか?
まだ、実物をしっかり見ることができていません。
・写真は死んだのか?(2147)(2024/12/08)
次点として次の2件を挙げます。
・南光(2140)(2024/10/20)
・家族写真の歴史民俗学(2148)(2024/12/15)
2.展覧会企画
そして、展覧会企画で1件挙げます。これしかないということは、非常に残念です。当方が気付いていない企画が存在することもあり得ます。
・MEM, Paris Photo 2024(2142)(2024/11/03)
次点は、次の1件です。
・時間旅行(東京都写真美術館)(2123)(2024/06/23)
3.番外
最後に、番外として、次の本を挙げます。復刻版のさらに保存版(廉価版)の刊行です。
・「復刻保存版FRONT」I, II, III(2119)(2024/06/02)
(つづく)
今年最後の投稿となりますので、大風呂敷を広げましょう。
繰り返しご紹介していますが、スロバキアのCentral European House of Photography (Václav Macek, editor)によって刊行された、The History of European Photography (1900-1938, 1939-1969, 1970-2000。全3巻各2冊で全6冊、それぞれ、2010年(ISBN: 9788085739558)、2014年(ISBN: 9788085739664)、2016年(ISBN: 9788085739701))。対象は、35か国(東西ドイツを1国と数える)です。
これに対抗するものとして、2015年の5月から6月にかけて、「The History of Asian Photogrphy」(No.1307. No.1308, No.1309)というものを提案しました。対象は30か国でした。ただし、アラブ諸国とArmenia, Azerbaijan, Georgia、そして、Cyprus, Israel, Turkeyは含めていません。
これに対して、今回、さらに次のような案も提案いたします。
The History of Americas Photography (The History of American Photography, The History of Latin American Photography)
The History of Oceanian Photography
The History of Arabian Photography
The History of African Photography
それぞれ、展覧会企画も書籍出版も希望しています。
これで、全世界をカバーできましたか?
それでは、よいお年をお迎えください。来年も、皆さんにとって良い年でありますように。
来年も、よろしくお願いいたします。
次の展覧会が開催予定です。
ヒルマ・アフ・クリント展
2025年3月4日(火)~6月15日(日)
東京国立近代美術館
主催 東京国立近代美術館、日本経済新聞社、NHK
協賛 DNP大日本印刷
特別協力 ヒルマ・アフ・クリント財団
後援 スウェーデン大使館
https://www.momat.go.jp/exhibitions/561
https://www.momat.go.jp/wp-content/uploads/2024/11/MOMAT-HaK-pressrelease-20241112.pdf
https://art.nikkei.com/hilmaafklint/
ヒルマ・アフ・クリント(Hilma af Klint, 1862-1944)は、スウェーデン出身の女性画家で、カンディンスキーに先んじて1900年代には抽象絵画を書いていたとされます。その画家のアジア初の大回顧展です。約140点出品と大型の企画です。非常に期待できます。
日本では、ほとんど紹介されたことがなく、和文の資料もほとんどない、と思います。
やっと1980年代になって徐々に紹介されるようになり、21世紀に入って広く知られるようになってきたということです。ご本人が、没後20年間は公表を控えるようにと言い残したという話もあり、そのことも、再評価が遅れた理由の1つかもしれません。
今回のウエブサイトに掲載されている図版などを見ると、カンディンスキーやモンドリアンとは違う系統の抽象絵画であることがわかります。カンディンスキーが表現主義から、モンドリアンがキュビスムから、それぞれスタートして抽象絵画へと深化させたこととは異なり、ヒルマ・アフ・クリントは、模様や文様、自然物(植物(葉、実)や貝殻など)を題材(抽象化へのスタート)にしているようです。
ここで、ポイントとなるのは、ヒルマ・アフ・クリントの意思というか、または、思想ですね。というのも、模様や文様、自然物などは、以前からいくらでも描かれているわけで、その中には形態などが単純化されて極めて抽象的なものもあります。しかし、それは抽象絵画とは言い難い。それでは、ヒルマ・アフ・クリントの作品とそれらの過去の作品を分かつものは何かというと、抽象絵画を意図的に目指しているのかどうかということに尽きるのではないでしょうか。
この辺りの彼女の思想も含めて、今後の情報にも注目していきたいと思います。今回の企画に合わせて刊行される(はず)展覧会カタログも、今後の研究の基礎に位置付けられる貴重な資料となるでしょう。
「アジア初」ということは、日本国内で、東京以外の関西などへの巡回は無理でしょうかね。情報が出るのを待ちたいと思います。
最後に、今回のヒルマ・アフ・クリントに限らず、スウェーデンの20世紀前半の美術に関する情報は日本語ではほぼ存在しないと思います。これを機会に、ある程度網羅的に情報が出てくれば、と期待します。やはり、世の中に情報は不足しているんです。
逆に、日本の20世紀前半の美術に関する外国語による情報発信ができているのかについても、大いに懸念します。自分でも何かできることがないか、引き続き探していきたいと思います。