少し前ですが、次の本が刊行されています。
空中写真歴史図鑑(The Story of Aerial Photography)
大自然と人類文明の映像遺産
イーモン・マッケイブ(Eamonn McCabe)、ジェンマ・パドリー(Gemma Padley)・著
月谷 真紀(つきたに・まき)・翻訳
原書房
2020
5800円+税
空中から撮影された写真を編年的に掲載した写真集。撮影者不詳の作品が多いながらも、撮影者がきちんと掲載されています。ここ数年の、「写真家名掲載」の傾向が顕著に出ている写真集です。
空中写真そのものにはもともとあまり関心がないのですが、こういうテーマが絞られた写真集でしか見つけられない写真家名も多くあるので、こういう本は重要です。
逆に、「芸術としての写真」の分野の有名な写真家は、ほとんど出てきません。少なくとも、ほとんど報道写真系に絞られてしまいます。掲載されている20世紀前半の写真家の中で、もっとも有名なのは、エドワード・スタイケン、マーガレット・バーク=ホワイト、W・ユージン・スミスの3人ですかね。
とはいえ、空中写真は予想外に面白いので、この本をぜひ書店や図書館でご覧いただければと思います。
以下、巻頭の最初の時期から1950年までの作品の作者名を拾いました。
p010: c1858: ナダール(Nadar)
・p011: 1886: ナダール(Nadar)
・p011: 1865: ナダール(Nadar)
p012: 1860: ジェームズ・ウォレス・ブラック(James Wallace Black)*
p013: 1882: セシル・ヴィクター・シャドボルト(Cecil Victor Shadbolt)*
・p013: c1882: 撮影者不明
・p013: 1889: セシル・ヴィクター・シャドボルト(Cecil Victor Shadbolt)*
p014: 1889: アルチュール・バテュ(Arthur Batut)
・p015: 1889: アルチュール・バテュ(Arthur Batut)
・p015: 1889: 撮影者不明
p016: c1904: エティエンヌ・ヌルダン(Étienne Neurdein)
p017: 1906: ジョージ・R・ローレンス(George R. Lawrence)
・p018-p019: 1906: ジョージ・R・ローレンス(George R. Lawrence)
p020: 1906: フィリップ・ヘンリー・シャープ(Philip Henry Sharp)* 特に「Philip」のつづりがよくわかりません
p021: c1907: ユリウス・G・ノイブロンナー(Julius Gustav Neubronner)*
・p021: c1907: ユリウス・G・ノイブロンナー(Julius Gustav Neubronner)*
・p022-p023: c1907: ユリウス・G・ノイブロンナー(Julius Gustav Neubronner)*
p024: c1908: エドゥアルド・スペルテリーニ(Eduard Spelterini)*
p025: 1909: エドゥアルド・スペルテリーニ(Eduard Spelterini)*
・p026-p027: c1910: エドゥアルド・スペルテリーニ(Eduard Spelterini)*
・p028: 1910: 撮影者不明
・p028: 1909: 撮影者不明
p029: 1909: ジョン・ムーア=ブラバゾン(John Moore-Brabazon)*
p030: 1910: 撮影者不明
p031: c1911: N・E・ブラウン(N.E. Brown)
・p032: 1913: 撮影者不明
・p032: 1913: 撮影者不明
p033: 1913: ヘンリー・ウェルカム卿(Henry Wellcome)*
・p034-p035: 1913: ヘンリー・ウェルカム卿(Henry Wellcome)*
p036: 1915: 撮影者不明
p037: c1916: 撮影者不明
p038: 1916: 撮影者不明
・p039: 1916: 撮影者不明
p040-p041: 1917: フランク・ハーレー(Frank Hurley)*
p042: 1917: ウォールデン・ハモンド(Walden Hammond)*
・p043: 1917: 撮影者不明
・p043: 1917: 撮影者不明
p044: 1918: エドワード・スタイケン(Edward J. Steichen)
・p045: 1918: エドワード・スタイケン(Edward J. Steichen)
・p045: 1943: 撮影者不明
・p046: c1920: アルフレッド・バッカム(Alfred Buckham)*
p047: c1920: アルフレッド・バッカム(Alfred Buckham)*
・p048-p049: c1920: アルフレッド・バッカム(Alfred Buckham)*
p050: 1920: 撮影者不明
p051: 1921: エアロフィルムズ・リミテッド(クロード・グラハム=ホワイト&フランシス・ルイス・ウィルズ)(Aerofilms Ltd.)
p052: 1921: エアロフィルムズ・リミテッド(クロード・グラハム=ホワイト&フランシス・ルイス・ウィルズ)(Aerofilms Ltd.)
p053: c1922: 撮影者不明
次の展覧会が開催予定です。
生誕150年記念
モンドリアン展 純粋な絵画をもとめて
2021.03.23(火)- 06.06(日)
SOMPO美術館
主催:SOMPO美術館、日本経済新聞社
協賛:損保ジャパン、野崎印刷紙業
後援:オランダ王国大使館
協力:KLMオランダ航空
企画協力:NTVヨーロッパ
https://www.sompo-museum.org/exhibitions/2020/mondrian/
・モンドリアン(1872-1944)生誕150年記念
・オランダのデン・ハーグ美術館所蔵のモンドリアン作品50点、国内外美術館所蔵のモンドリアン作品と関連作家作品約20点
・日本で23年ぶり
ということで期待できます。
デン・ハーグ美術館は、この新型コロナ下で、よくぞまとめた貸出をしてくれたものです。
ちなみに、23年前の展覧会は、以下のとおり。出品作品数は全75点だそうです。
(十分に確認できていないところがありますが、デン・ハーグ美術館とハーグ市立美術館は、同じ美術館と思われます。)
ハ-グ市立美術館所蔵 モンドリアン展
1998年1月15日~4月5日:長崎、パレス ハウステンボス美術館
1998年4月11日~5月24日:Bunkamura ザ・ミュージアム
いつも書いていることですが、ウエブサイトには、出品作品リストの掲載を、ぜひお願いします。
また、関東以外への巡回はどうなっているのか、これから決まるのでしょうか?
それにしても、この美術館の名称は、
東郷青児美術館→安田火災東郷青児美術館→損保ジャパン東郷青児美術館→東郷青児記念 損保ジャパン日本興亜美術館
と変わってきており、現在の名称は2019年からのようですが、もともとの名前の通り、東郷青児の作品がその中核で、あとはゴッホの「ひまわり」と、かならずしも海外の20世紀美術を対象とする美術館ではなかったはずですが、モンドリアン展を開催するとは、美術館の性格が変わってきているということでしょうか。または、東京において20世紀美術を展示できる美術館が減ってきていることの現れということなのでしょうか。そのあたりも、気になるところです。
最後に、本展は「日時指定入場制」なので、ご訪問予定のかたはご注意ください。
次の展覧会が開催中です。
分離派建築会100年 建築は芸術か?
京都国立近代美術館
2021/01/06(水) 〜 2021/03/07(日)
https://www.momak.go.jp/Japanese/exhibitionArchive/2020/440.html
1920年に、石本喜久治、瀧澤眞弓、堀口捨己、森田慶一、矢田茂、山田守によって結成され、その後、大内秀一郎、蔵田周忠、山口文象が加わったということです。
上記ページには当然ながら出品リストも掲載され、また、特設サイトで、様々なコンテンツが紹介されているということです。「ヴァーチャル美術館」まだあと一歩というところでしょうか?
関東への巡回は以下のとおりです。(開催済み)
パナソニック汐留美術館 2020年10月10日~12月15日
最後に、東京国立近代美術館はMoMAT、京都国立近代美術館はMoMAK。
地名をつけていない、単なる「MoMA」(近代美術館)だけでニューヨーク近代美術館を意味するとは、この美術館の重要性から考えればそうなのかもしれませんが、それにしてもたいしたものですね。
先週に引き続き、やはり福岡市美術館で、次の展覧会が開催されています。
コレクション展
モダン・フォトグラフィー Ⅰ:ヨーロッパ
福岡市美術館
会期:2021年1月5日(火)〜2月14日(日)
https://www.fukuoka-art-museum.jp/collection/?q=modern
https://www.fukuoka-art-museum.jp/uploads/2020/04/list_Modern-Photography-I-Europe.pdf
作品リストがありますので、展示作品は全42点で、アレクサンドル・ロトチェンコとモホイ=ナジ・ラースローとマン・レイの3人だということがわかります。
そして、展示作品42点については、すべて「フォトリプロダクション」と記されています。「フォトリプロダクション」とは何か?
どこの会社が、どの作品をもとにやっているのか?
企画そのものだけでなく、この点についても大変興味があります。そのあたりの情報をネット上でも詳しく紹介していただきたいところです。これからで結構ですので、ぜひぞよろしくお願いします。
以前から、このようなオリジナルプリント(ビンテージプリント)ではない作品の展示、複製であったり、写真集や雑誌の展示であったり、をもっと積極的にしていただきたいと希望していました。このような企画の実施を積み重ねていただくことで、その流れを、もっともっと推し進めていただきたいと思っています。
とはいえ、会期は本日までで、続篇は次の企画です。
モダン・フォトグラフィー Ⅱ:日本
会期:2021年2月16日(火)〜3月28日(日)
瑛九、恩地考四郎、山口正城のフォトグラム、長谷川伝次郎の写真だそうです。やがて、作品リストも掲載されるのでしょう。
「後期」とあるので、「モダン・フォトグラフィー Ⅲ:アメリカ」はないんでしょうか? 今後を含め、期待しています。
驚くべきことに、次の展覧会が開催中です。
ソシエテ・イルフは前進する 福岡の前衛写真と絵画
福岡市美術館
会期 2021年1月5日(火)〜3月21日(日)
https://www.fukuoka-art-museum.jp/exhibition/irf/
担当学芸員は、忠あゆみ、さんです。
この企画は、1987年に同館で開催された「ソシエテ・イルフ」の回顧展(担当学芸員・松浦仁さん)の続篇です。
対象となる作家は、高橋渡(1900-1944)、久野久(1903-1946)、 許斐儀一郎(1896-1951)、田中善徳(1903-1963)、吉崎一人(1912-1984)の5人の写真家と、のちにデザイナーとして知られる小池岩太郎(1913-1992)、画家の伊藤研之(1907-1978)の7名です。
この企画では、若山満大さんと、竹葉丈さんの講演会もあり、大変楽しみです。ただ、福岡に行くことは他の地域の皆さんにはなかなか難しいですね。内容的には、関東にも関西にも巡回してしかるべき企画かと思いますが、困難ですかね。
なお、チラシのPDFがウエブサイトに掲載されていますが、ぜひ展示作品リストも掲載していただきたいものです。
https://www.fukuoka-art-museum.jp/uploads/2020/04/irf-chirashi.pdf
また、1987年の企画についての特集が掲載されているという「エスプラナード41号」もぜひウエブサイトに掲載してください。(「エスプラナード」は最近号しか掲載されていません。)