もうちょうど1年前くらいになりますが、次の本が刊行されています。
Cameraless Photography
Martin Barnes (Senior Curator, Photographs, Victoria and Albert Museum, London)
Thames and Hudson, V&A Photography Library
2018
ISBN 978-0-500-48036-6 (9780500480366)
With 141 illustrations
タイトルからすると、20世紀前半のモホリ=ナギやマンレイのフォトグラム(レイヨグラフ)ばかり思い浮かべがちですが、その時期に限られているわけではなく、最初期のニエプスやタルボットの作品はもちろん、20世紀後半、21世紀までこのタイプの作品は制作されており、この本は、それらを網羅的に取り上げようとしています。
それにしても、ビクトリア・アンド・アルバート博物館というのはイギリスの中でも歴史のある有名な博物館だと思いますが、「V&A Photography Library」という名前を見ると、写真に特化した図書室が設置されているようで、すごいですね。相当の規模を誇るであろう博物館なのに、その中でも特に、写真に関しては、独立した図書室を設けねばならないほどの質・量の資料が存在するということでしょう。
また、「奥付」の部分には、以下のような記載もありますので、写真に関する独立した部門が最近できたということで、今後も期待できます。
Published to accompany the opening of the V&A Photography Centre at the Victoria and Albert Museum, 12 October 2018
20世紀前半(あえて、おおよそ1950年代末まで)について、この本に掲載されている作品を以下列挙します。
p.55: László Moholy-Nagy (1895-1946), Photogram IV, 1925-8 printed 1929, Gelatin silver print, 39.5 x 30 cm
p.56: László Moholy-Nagy (1895-1946), Untitled, 1926 printed 1973, Gelatin silver print, 35 x 26,2 cm
p.59 - p.62: Curtis Moffat (1887-1949), Abstract Compositions, c. 1925, Gelatin silver print,
p.59: 36.5 x 29 cm
p.60: 36.6 x 28.7 cm
p.61: 37.2 x 29.4 cm
p.62: 29.1 x 24.5 cm
p.64 - p.65: Bart's Hospital X-Ray Unit, Box of Christmas crackers, 1930, X-ray negative, 20 x 25 cm
p.67 - p.70: Man Ray (1890-1976), La Maison, Salle à Manger, Lingerie and Le Souffle, from the portfolio Électricité, 1931, Photogravures from photograms, 26 x 20.3 cm each
p.73: John Arthur Fairfax Fozzard (1905-1993), Macacus Rhesus in Uterus, 1937, Gelatin silver print from X-ray, 15 x 11 cm
p.74 - p.75: Franciszka and Stefan Themerson (1907-1988 and 1910-1988), Photogram in Motion, from the film The Eye and the Ear, 1944-5, Gelatin silver print, printed 1983, 15 x 20 cm
p.76: Josef Breitenbach (1896-1984), Untitled, 1948, Gelatin silver print, hand-coloured, 34.2 x 25.5 cm
p.79 - p.81: Henry Holmes Smith (1909-1986),
p.79: Mother and Son, 1951, printed 1973
p.80: Giant, 1949, printed 1973
p.81: Growing Up!, 1952, printed 1973
Gelatin silver prints, 30 x 23 cm each
p.83: Frederick Sommer (1905-1999), Paracelsus, 1959, Gelatin silver print, 33.8 x 25.6 cm
p.84: Harold Edgerton (1903-1990), Bullet Through Plexiglas, 1963, printed 1970-89, Gelatin silver print, 44 x 37 cm (detail p.1)
(以上、19点)
なお、この本では、用語として「レイヨグラム(rayogram)」ではなく「レイヨグラフ(rayograph)」をとっていますね。
以上をご覧いただくとお分かりのとおり、20世紀前半については、シャドグラフ(シャートグラフ)が含まれていないのをはじめ、不足点がかなり多いので、ぜひ、今後、この分野でもっと20世紀前半に力を入れた作品集を刊行していただきたいところです。
よろしくお願いします。
情報官・林謙一が見た 昭和16年 富士山観測所
開催期間:2015年6月2日(火)~6月28日(日)
(No.1311(2015年6月14日 16:16)参照)
渡辺 淳の世界 ―スケッチ・静物・広告・報道―
開催期間:2014年12月2日(火)~12月24日(水)
(No. 1190(2014年11月3日 09:54)参照)
2013年は企画がなかったようです。
堀市郎・前田寅次写真展
開催期間:2012年12月4日(火)~12月25日(火)
(No. 1078(2012年12月2日 14:44)参照)
中山岩太 安井仲治 福原信三 福原路草 ペンタックスギャラリー旧蔵品展
2011年11月29日(火) ~12月25日(日)
・中山岩太写真作品 17点
・安井仲治写真作品 19点
・福原信三写真作品 8点
・福原路草写真作品 8点
・作品掲載誌など資料
(No. 1020(2011年11月13日 15:24)参照)
次の展覧会が開催予定です。
JCIIフォトサロンコレクション展 《前期》
開催期間:2019年10月29日(火)〜2019年12月1日(日)
場所:JCIIフォトサロン
https://www.jcii-cameramuseum.jp/photosalon/2019/09/20/21223/
展示作品:約 80点(1913年~1960年に撮影・発表の作品)
なお、「《後期》 12月3日(火)~12月25日(水)」の展示作品は「 約140点(1961年~2014年に撮影・発表の作品)」となっています。
ここ数年、JCIIフォトサロンでは、(主として)年末に白山眞理さんによる驚くべき企画が継続されていましたが、本年はこの企画がそれに該当するようです。
紹介のページからすると、
・渡辺淳の〈冬〉(1926年)
・田村栄〈白い花〉(1931年)
・土門拳の人形職人の手さばき(1938年)
は含まれていることがわかりますが、上記約80点のうち、戦前の作品が全部で何点かは定かではありません。とはいえ、期待いたしましょう。
(とともに、実は時期を少し変えて、年始に「驚くべき企画」が開催されるのかもしれませんので、油断しないでおきましょう。)
なお、過去の「驚くべき企画」とは、例えば、以下のとおりです。
(年末の企画に限りません)
森堯之写真展「朝鮮・1939年」
開催期間:2018年11月27日(火)〜2018年12月25日(火)
https://www.jcii-cameramuseum.jp/photosalon/2018/11/27/9043/
(No.1761(2018年10月21日 13:56)参照)
金丸重嶺vs名取洋之助――オリンピック写真合戦 1936
2018年6月5日(火)~7月1日(日)
展示点数: 約81点 (金丸38点、名取43点)
https://www.jcii-cameramuseum.jp/photosalon/2018/06/05/9048/
吉田謙吉写真展「満洲風俗・1934年」
2018年4月3日(火)~5月6日(日)
展示点数:約150点
https://www.jcii-cameramuseum.jp/photosalon/2018/04/03/9118/
(以上2件まとめて、No.1733(2018年7月22日 15:48)参照)
「山端祥玉が写した1939年万博の旅」
開催期間:2017年11月28日(火)〜2017年12月25日(月)
https://www.jcii-cameramuseum.jp/photosalon/2017/11/28/9112/
(No. 1686(2017年12月17日)参照)
2016年以前の展覧会の紹介は、JCIIフォトサロンのページにはすでに掲載されていませんでしたが、わかる範囲で、以下のとおりです。
秘蔵写真 伝えたかった中国・華北 京都大学人文科学研究所所蔵 華北交通写真
開催期間:2016年11月29日(火)~12月25日(日)
(No.1546(2016年12月18日 13:43)およびNo.1545(2016年12月11日 11:09)参照)
赤羽末吉スケッチ写真 モンゴル・1943年
2016年5月31日(火)~6月26日(日)
約90点 (全作品モノクロ)
(No. 1470(2016年5月1日 16:28)参照)
ポンピドゥー・センターでドラ・マールの展覧会が開催され、その展覧会カタログが刊行されています。かなり大部の本です。
https://boutique.centrepompidou.fr/en/evenement/g536/dora-maar-exhibition/1/
1 June 2019 - 29 July 2019
(なお、同展は、2020年にかけて、Tate ModernとJ. Paul Getty Museumに巡回)
Dora Maar
Editors: Damarice Amao, Amanda Maddox, Karolina Ziebinska-Lewandowska
Centre Georges Pompidou Service Commercial
言語: 英語
ISBN-10: 2844268501
ISBN-13: 978-2844268501
発売日: 2019/5/28
商品パッケージの寸法: 29.2 x 2.6 x 23.7 cm
2019年12月3日には、ゲッティからハードカバー版が刊行されるようです。
ハードカバー: 208ページ
出版社: J. Paul Getty Museum
言語: 英語
ISBN-10: 1606066293
ISBN-13: 978-1606066294
発売日: 2019/12/3
一見すると、見たこともない作品も多く、ドラ・マールが、しばしばそれだけが紹介される、前衛的な作品(オブジェのような図形で光と影を強調したり、フォトモンタージュを駆使したりする党な作品)ばかりではなく、ポートレートや街の写真やドキュメンタリー的な作品も残していることがわかります。絵画作品すら掲載されており、正に全貌が紹介されていることなのでしょう。
なお、ドラ・マールというと、ピカソとの関係、また、ピカソの「泣く女」のモデルとなっていることでも有名ですが、それを踏まえて、以下の2冊もご紹介します。
Picasso: Life with Dora Maar: Love and War 1935-1945
Anne Baldassari (著)
ハードカバー: 320ページ
出版社: Flammarion
言語: 英語
ISBN-10: 2080305212
ISBN-13: 978-2080305213
発売日: 2006/10/3
商品パッケージの寸法: 22.9 x 3.2 x 28.9 cm
Dora Maar: Paris in the Time of Man Ray, Jean Cocteau, and Picasso
Louise Baring (著)
ハードカバー: 224ページ
出版社: Rizzoli
言語: 英語
ISBN-10: 0847858537
ISBN-13: 978-0847858538
発売日: 2017/3/28
商品パッケージの寸法: 21.1 x 2.3 x 26.2 cm
>>1826
先にNo.1826でご紹介した「Art Since 1900」(図鑑1900年以降の芸術)ですが、p274に「FILM und FOTO」の出品写真家として、当方がすぐにわからない名前が3つ掲載されていました。以下の3人です。
エンネ・モスバッヒャー:Aenne Mosbacher (1888-1954)
エアハルト・ドーナー:Erhard Dorner (active c. 1930)
ヴィリ・ルーゲ:Willi Ruge (1892-1961)
最初の写真家エンネ・モスバッヒャーについては、p276に図版も掲載されています(図版3)。
それにしても、「FILM und FOTO」の全貌を明らかにするような文献、出てこないものですかね。
取り急ぎ以上です。