第III部 キュビスムと第一次世界大戦
第5章 前衛と前線 —— 大戦の「現実」と視覚芸術
1 前線の風景と従軍画家たち
・戦争の記録と記憶
・フランスの従軍画家と幾何学表現
・イギリスの従軍画家と幾何学表現
・カモフラージュとキュビスム
2 前線の身体とキュビスム
・前線のデュシャン=ヴィヨンと英雄像の消滅
・レジェ、ゴディエ=ブルゼスカと戦争のオブジェ
・機械の肉体とダダ
・マックス・エルンスト作品における内部と外部の並置・融合・対立
第6章 古典主義とナショナリズム —— 第一次世界大戦前後の芸術理論と実践
1 キュビスム理論におけるナショナリズムと第一次世界大戦
・第一次世界大戦とキュビスムの時間概念と歴史観
・第一次世界大戦前のキュビスムと新たな伝統の模索
・第一次大戦後のキュビスムとナショナリズム
2 第一次世界大戦前後のピカソの古典主義
・ピカソの伝統への回帰
・ピカソと「超古典主義」
・超古典主義から超現実主義へ
第III部結論
第IV部 新たなる「秩序」へ向けて
第7章 秩序への回帰 —— 大戦間期の美術史モデルとかたちの「生命」
1 キュビスムの歴史化と見出された「原理」
・キュビスムにおける「秩序への回帰」
・ロートと美術史のなかのキュビスム
・グレーズとキュビスムの「技法」
・画商レオンス・ロザンベールの古典主義
2 キュビスムの理論的な批判と普遍的な理論の追求
・セベリーニによる『キュビスムと伝統』(一九二一年)
・ピュリスムにおけるキュビスム理論の「浄化」
3 キュビスム以降の芸術における新たなる「現実」
・マレーヴィチの描く「新しい絵画的レアリスム」への発展史
・デ・ステイユと抽象的具象への道
・キュビスムとシュルレアリスム
第8章 キュビスムの形態学 —— 近代のユートピアと前衛芸術
1 キュビスム以降の芸術家たちと近代都市
・キュビスムと近代社会
・キュビスムと建築
2 ユートピアの創出、あるいはユートピアへの回帰
・二つのユートピアと「人間への回帰」
・ユートピアと文化帝国主義の道具としての「普遍」概念
・オザンファンのユートピアと「全体性」のヴィジョン
第IV部結論
第V部 第二次世界大戦前後の政治社会とキュビスム
第9章 大戦の影と文化的地勢図 —— 展示・論争におけるキュビスムの位置づけ
1 1930年代のフランスにおける現代美術史研究と美術展示
・『現代美術史』(一九三五年)におけるキュビスムの地理学と民族学
・二つの独立派美術展
・キュビスムの壁画
・《ゲルニカ》の咆哮と彷徨
2 レアリスム論争の背景と展開
・背景としての二つの国際会議
・「レアリスム論争」におけるキュビスムの位置づけ
・「表現主義論争」におけるキュビスム批判
・諸論争におけるキュビスムの位置づけの類型
3 第二次世界大戦下のキュビスム
・ナチス政権、ヴィシー政権とキュビスム
・ナチス占領下のパリにおけるキュビスムの展示
・一九四二年六月『コメディア』誌におけるヴラマンクとロート、二つの見解
・フランス人美術史家によるキュビスムの擁護
第10章 キュビスムの生と死 —— 戦後の社会とフランス文化の復興
1 フランス文化の再建
・解放後のパリにおけるキュビスムとピカソ
・教育者としてのピカソと戦後の立体作品
・労働者としてのピカソと戦後の焼きものづくり
・レアリストとしてのピカソとアラゴン
2 サロン・デ・レアリテ・ヌーヴェル
・社会主義レアリスム、ヌーヴォー・レアリスムとレアリテ・ヌーヴェル
・一九三九年シャルパンティエ画廊でのでの『レアリテ・ヌーヴェル』展
・一九四六年第一回サロン・デ・レアリテ・ヌーヴェルの開催
・キュビスムの芸術家の離脱
第V部結論
終 章
1 見ることと知ること —— 認識メカニズムの表現としてのキュビスム
2 理論と歴史 —— キュビスムと価値システムの構築
3 言葉とイメージ —— 諸現実の地層の再配置
あとがき
初出一覧
注
図版一覧
事項索引
人名索引
仏文要旨
仏文目次