次の本が刊行されています。
前衛誌 日本編: 未来派・ダダ・構成主義
西野 嘉章
単行本: 956ページ
出版社: 東京大学出版会 (2019/9/25)
¥60,500
これは驚異的な本です。
2016年に刊行された、『前衛誌: 未来派・ダダ・構成主義』(本書と対比させれば、いわば「外国編」、758ページ、¥42,900)の続篇ですね。
しかし、それにしても、著しく高価ですね。「外国編」と比べても高価です。それだけ、手間がかかったということでしょうか?
とはいえ、『大正期新興美術資料集成』(五十殿 利治、滝沢 恭司、長門 佐季、野崎 たみ子、菊屋 吉生、638ページ、国書刊行会、2007/1/1、55000円)』とともに、この分野の専門家にとっては、必携でしょうねえ。いやいや、当方は無理ですが。
ただ、ものがものだけに、書店に置いてあることも期待するのはなかなか難しいですね。図書館(それも、美術館の図書室?)に期待するしかないかもしれません。
目次と著者紹介は以下の通りです。
(「構成主義」の部分が弱いような感じがします。)
目次
●上巻(巻壱[文])
■明治末期のイタリア未来派紹介…………………… 027
独語新聞から「むく鳥通信」へ/高村光太郎の「緑色の太陽」/「未来派の絶叫」と初期舶来資料/日本人画学生と第一回「イタリア未来派画家展」/国内組の動勢
■木村莊八のイタリア未来派交信…………………… 053
「博覧強記」の源泉/イタリア未来派との出会い/イタリア未来派との交信/『現代の洋畫』イタリア未来派特集号/イタリア未来派から後期印象派へ
■大正前期の未来派・表現派受容…………………… 077
與謝野寛と未来派詩/山村暮鳥の詩法/「DER STURM.木版画展覧会」/『銀皿』から『月映』へ/『美術新報』とイタリア未来派/学究たちのイタリア未来派紹介/澤木梢のイタリア未来派/アーサー・ジェローム・エッディ著作『立体派と後期印象派』
■東鄕靑兒のイタリア未来派参画…………………… 119
絵画の道へ/第一回「個人展覧会」/第二回「個人展覧会」から「二科展」へ/第五回「二科展」以降/「トウゴウ・セイジ」の旅程/未来派運動の渦中へ/邦語による未来派「自由語」
■大正中期の立体派・未来派・ダダ文藝紹介…………………… 149
ダダ・立体派文藝論/森口多里のダダ紹介/英国の渦巻派「ヴォーティシズム」/「ヴォーティシズム」と日本人
■ロシア未来派と日本…………………… 171
「日本に於ける最初のロシア画展覧会」/『第一回神原泰宣言書』/「最初のロシア画」巡回展/在日露国人たちの展覧会/ニューヨークのブルリューク
■「未來派美術協會」から「三科インデペンデント」へ…………………… 189
第一回「未来派美術展覧会」/第二回「未来派美術展覧会」/木下秀一郎の『未来派とは?答へる』/画家柳瀬正夢の誕生/「分離派洋畫協會」/柳瀬正夢の「未来主義」/社会主義運動へ/「三科インデペンデント美術展覧会」/ワルワーラ・ブブノワの来日/柳瀬正夢の舞台美術/「マヴォ」へ
■大正後期の未来派・ダダ文藝運動…………………… 227
神原泰の「生命の流動」/神原泰の「後期立体詩」/平戸廉吉の日本未来派詩運動/平戸廉吉の「自由語」/「ダダイスト新吉」の誕生/高橋新吉のダダ詩/辻潤/吉行エイスケのダダ誌/吉行エイスケの『賣恥醜文』/萩原恭次郎の『死刑宣告』/リノカット挿画詩集/アナーキズム詩誌と造形詩/玉村善之助の『エポツク』/『ゲエ・ギムギガム・
プルルル・ギムゲム』
■村山知義と「マヴォ」…………………… 303
デュッセルドルフの「進歩的藝術家国際会議」/「マヴォ」の旗揚げ/「二科展落選歓迎の移動展覧会」/「意識的構成主義」の連鎖展/雑誌『マヴォ』前期/後期『マヴォ』/村山知義の「意識的構成主義」/村山知義の『現代の藝術と未来の藝術』/「マヴォ」の終焉
■大正後期の新興藝術運動…………………… 347
第一回「造形美術展覧会」/第二回「アクシヨン展」/「三科」結成と「無選首都展」/村山知義の構成派舞台『朝から夜中まで』/第一回「三科会員作品展覧会」と築地小劇場版「三科劇」/第二回「三科公募展」/「造型」の結成/「造型」と「ダダ」/第二回「造型展」/「造型」と「新ロシア美術」/「造型美術家協會」/「單位三科」と「劇場の三科」
■神原泰のイタリア未来派研究…………………… 399
『電気人形』/「未来派の勝利」/「未来派劇」と「自由語」/未来派文藝の紹介/未来派の生活・音楽・演劇/『未来派研究及其歴史』/装釘の仕事
■大正末期のドイツ表現派将来…………………… 431
村山知義の「表現派」/ゲオルグ・グロッス受容/一氏義良の『立体派・未来派・表現派』/「欧洲表現派美術展覧会」/「表現派の勝利」/「独逸現代美術展覧会」
■プロレタリア美術運動…………………… 463
プロレタリア文藝のグラフィクス/「プロレタリア美術大展覧会」/「チェコ・アヴァンギャルド」の受容/「新ロシア」文化の流入/唯物論的未来派批判/村山知義の統合的プロレタリア舞台美術論/神原泰のイタリア未来派批判/イタリア未来派の退潮
[結語]…………………… 499
[あとがき]…………………… 505
●下巻(巻弐[図]カラー図版212頁)
[図版]…………………… 002
[註]…………………… 213
[初出一覧]…………………… 279
[図版一覧]…………………… 283
[新興藝術運動関連資料一覧]…………………… 329
[参考文献抄録]…………………… 405
[索引]…………………… 437
西野嘉章: 東京大学総合研究博物館特任教授/インターメディアテク館長
なお、[外国編]の目次もついでに。
目次
上巻[論考編]
はじめに
I 未来派
・カタルーニャの「フトゥリスム」
・ロシアの「フートゥリスティ」
・イタリアの「フトゥリズモ」
・パリにおけるイタリア未来派
・ロンドンにおけるイタリア未来派
・ベルリンにおけるイタリア未来派
・ロシアにおけるイタリア未来派
・日本におけるロシア未来派
・東郷青児のイタリア未来派
・村山知義のベルリン未来派
II ダダ
・チューリッヒ・ダダ
・パリ・ダダ
・ニューヨーク・ダダ
・ベルリン・ダダ
・ボヘミア・ダダ
・バルカン・ダダ
III 構成主義
・ベルリンの国際主義
・低地諸国の構成主義
・ポーランドの構成主義
・チェコ・スロヴァキアのポエティズム
・ハンガリーの行動主義
・ルーマニアの統合主義
・日本の意識的構成主義
・パリのピュリスム
結語
あとがき
下巻
[図版]
[註]
[図版一覧]
[初出一覧]
[参考文献抄録]
[索引]