以前、オンライン美術館(1878).で書いたことの続きといいますか、すでに一部実現していることをご紹介します。
展覧会の開催中に、ご担当の学芸員のかたによる、会場での作品の解説や説明、という行事がよく開催されていますが、日が限られていて(それはそうでしょう、さすがに毎日実施とか無理ですから)、日時が自分で行った日や時間帯と異なっていたり(当方の経験としては、午前に行ったら、その日の午後に開催されて参加できなかったなどということもありました)、聞いてみたいのに、なかなか、そのタイミングにうまくぶつからない、といったご経験はないでしょうか?
また、講演会や、大きな企画ではシンポジウムなども開催されていますが、それについても、同じように、タイミングとして、つねに参加できるとはかぎりません。
このような作品の解説や説明の企画等になかなか出会えないという問題について、最も簡単は解決方法は、文字にして作品の横に掲示する、または、紙に印刷にして配布する、さらには、インターネットのホームページに掲載する、ということがあり、いままでも行われていたと思います。
また、一部の大型企画でよくみられるのは「音声ガイド」というもので、これは入口で専用の装置を借りて、指定された作品のところでその装置を作動させると解説を聞くことができるというもので、俳優さんや声優さんが解説をしてくれていることが多く、話題性もあります。ただ、これは実施されている企画が限られますし、有料という欠点もあります。
そこで、より臨場感があり、制作する美術館側としても、それほど大きな費用も手間・負担もかからない(?)、しかも、見る側は無料で見られるというものとして、YouTubeにおける作品解説があると思います。
展示会場で実施された「解説会・説明会」をそのまま録画してもいいですし、学芸員によるオリジナルでも構いません。手間がかかるようになりますが、その2つを組み合わせるという方法もあるでしょう。1つ1つのビデオは、そんなに長時間である必要はありません。
ただ、講演会なども、YouTubeで公開していただきたいところですが、これは、講演者との合意や権利・費用の問題もあって、なかなか簡単ではないかもしれません。
また、YouTubeの利点は、「音声ガイド」と同様に、会場のその場で、実際に作品の横で見られるということです。イヤホンをしていれば、他のかたにも迷惑にはなりません。
作品の解説であれば、その企画限りではなく、それ以降、すくなくとも10年単位で使い続けられるのではないでしょうか。例えば、所蔵作品について、計画的に少しずつ撮影を継続すれば、書籍(図録)ではなく、ビデオによる「所蔵作品図録」になります。
ざっと見た限りでも、東京都写真美術館、東京国立近代美術館(MOMAT60th)、福井県立美術館などですでに実施しておられる例があり、独立したチャンネルがあります。また、「Internet Museum」というチャンネルでは、様々な美術館のビデオを公開しています。
皆さんも探してみてください。
このような方向性の最大のハードルは著作権の問題かもしれません。特に、海外から借りてきたような作品であれば、権利の関係で、YouTubeでの作品解説の公開は難しいのかもしれません。
最後に、つい先日公開された、典型的な実例をご紹介します。
https://www.youtube.com/watch?v=r0c_EwTZQ2c
東京国立近代美術館の大谷省吾さんのトークです。
この北脇昇展については、No.1867とNo.1870、No.1871、No.1872、No.1873、No.1874でご紹介しました。会期が10月25日(日)まで延長されていますので、ご関心のあるかたは、感染予防をなさったうえで、どうぞご訪問ください。