突然ですが、美術の研究も時間とともに様々に進展します。
とすると、いろいろな作家の発掘や研究も進んで、いままで取り上げられていない作家の回顧展もどんどんと開催されるようになるでしょうか?
個人的には強く期待していますが、そう簡単にはならないだろうという話です。
まず、当然ですが、毎年無限の数の展覧会が開催されているわけではなく、会場も時間も限られていますので、展覧会の数も限られています。さらに、人気のある作家の回顧展は何年かおきに必ず繰り返し開催されます。20世紀前半でいえば、ピカソとかマティスとかですね。そう考えると、今まで開催されたことのない作家のための、会場の空きなどなかなかないだろうと推測されます。
美術館が増加しているような時期であればまだしも、現在のように、現状維持か、新型コロナの影響でむしろ減少に向かっているのではなないか、という中では極めて難しいでしょう。
さらに、マイナーな作家は、研究上は重要であったとしても、知っている人が多くない、すなわち、集客が見込めないと思われます。その観点からも、やはり展覧会の開催は難しい、と言わざるを得ません。海外の作家であれば、海外から作品を借りてこなければなりませんが、それは、「有名画家」でなくても、貸出料やら運賃やらで、かなりの費用がかかることでしょう。費用はかかって集客は見込めない、開催の可能性はどんどん低くなります。
ただ、絶対に開催されないかというと、そう決まっているわけでもありません。
展覧会が開催されるか開催されないかについては、一般の観客である我々は完全に受け身ですから、開催されることを期待して、辛抱強く待つしかありませんね。
もちろん、その作家の研究を中心に行っている国内の研究者を探し出して、その人にアプローチするという方法もないではありません。しかし、「素人」の相手をしていただけるほど時間に余裕があるとも思えません。やはり、待つしか手立てはないでしょう。
なお、美術館の展覧会ではなく、ネット上のヴァーチャルな展覧会が、こういってマイナーな美術家の回顧展にはピッタリではないか、という点については、大きな可能性もあり、書くべきことも多いと思いますので、また別の機会に。