先に、No.1992でご紹介した東京都写真美術館の前衛写真の企画のタイトルと詳細が公表されています。
以下、タイトルと、構成をなす地域と出品作家だけ引用します。
アヴァンガルド勃興 近代日本の前衛写真
https://topmuseum.jp/contents/exhibition/index-4280.html
展覧会構成
序章|前衛写真が成り立つ以前―同時代の海外作家
出品作家…マン・レイ、ウジェーヌ・アジェ、ハンス・ベルメール、アルベルト・レンガ―=パッチュ、セシル・ビートン、ブラッサイ
関西|「浪華写真倶楽部」「丹平写真倶楽部」「アヴァンギャルド造影集団」
出品作家…中山岩太、村田米太郎、安井仲治、河野徹、小石清、天野龍一、平井輝七、樽井芳雄、本庄光郎、椎原治、田淵銀芳、服部義文
名古屋|「なごや・ふぉと・ぐるっぺ」「曙写真倶楽部」「ナゴヤ・フォト・アヴァンガルド」
出品作家…坂田稔、田島二男、山本悍右、後藤敬一郎
福岡|「ソシエテ・イルフ」
出品作家…高橋渡、久野久、許斐儀一郎、田中善徳、吉崎一人、伊藤研之
東京|「前衛写真協会」
出品作家…永田一脩、恩地孝四郎、瑛九、濱谷浩
以上ですが、ちょっと待ってください、当方の期待と少しずれてきていることが見えてきました。
先に書いた3つの期待とは、以下のとおりです。
・従来のほとんど四大都市圏に限られていた範囲を超えられるか?
・はじめて「前衛写真協会」がメインで正面から取り上げられるのか???!!!
・日本の写真が1945年で切断されるという従来の歴史観が大きく変更されるということか?
このうち、第2点は期待通りとなりそうです。
しかし、第1点と第3点は?
特に第1点については、この出品作家の顔ぶれでは1995年に同館で開催された『日本近代写真の成立と展開』をほとんど超えられていないのではないかという点を強く懸念します。
前衛写真と新興写真の境界についても含めて、もう少し、状況を注視しつづけてみましょう。