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開催してほしい展覧会(20世紀前半篇)

占領下の大阪・関西(2034)

次の書籍が刊行されています。

 

写真図説 占領下の大阪・関西 - 昭和20年(1945)~昭和30年(1955)

毎日新聞大阪本社・編/橋爪 紳也・編著

創元社

2022/06発売

価格 ¥2,970(本体¥2,700

 

毎日新聞社の写真による写真集です。こういうタイプの写真集は、いきおい東京中心になることが多いのですが、「大阪・関西」となっている点に、最大の特徴があるように思います。

戦後だけが対象かと思えば、1945年に大阪を何度も襲った空襲の写真も含まれています。確かに、期間としては「1945年」も入っていますから、含まれていてもおかしくはありませんが、本のタイトルが「占領下の」となっているので、その前の時期に当たる空襲まで含まれているとは思いませんでした。やや誤解を生むタイトルであったといわざるを得ません。少なくとも、当方は見逃すところでした。

あと、撮影者が誰なのか、という点の調査や、本書における記載・言及はもっとあってしかるべきだったでしょう。もちろん、11枚について、誰が撮影者なのかを調査すること、ましてや、それを確定することは不可能であり、それを求めているのではありません。例えば、当時の毎日新聞の写真部の歴代部長(p202には、「高田正雄」という部長名が唐突に挙がっていますが、それにとどまっています)はどなたで、所属していた写真家(カメラマン)は誰々であった、また、写真部の戦前からの沿革はこれこれで、当時の写真部の状況はこれこれこんな感じであった、ゆえに、これらの者が撮影していたということが推測される、といったような記述で十分です。それとも、それだけの記録すら毎日新聞社には残っていないのでしょうか? そうだとするならば、非常に嘆かわしいことです。

 

それにしても、「写真」のパワーは、こういうテーマの場合に最大限に発揮されますね。「絵画」ではこうはいきません。数量的にも本書に掲載されているくらいの数量の絵を描くことは無理ですし、またリアリティにも格段の差が出てしまいます。

 

以下、目次を掲載しておきます。

 

目次

はじめに

◇序章 占領期における報道写真をめぐって

 ――大空襲・占領・復興期の時代背景 (橋爪紳也)

◇第1章 大空襲と焼け野原

◇第2章 占領下の街

◇第3章 戦後復興の人と暮らし

毎日新聞紙面から①「進駐機に同乗・空から戦災大阪を一望」

毎日新聞紙面から②「聯合軍・関西進駐を開始」

毎日新聞紙面から③「闇市静かに閉鎖」

おわりに 毎日新聞社大阪本社 情報調査部長 長谷川容子

参考文献

索引

 

最後に、個人的な希望としては、もう別の書籍としてということになりますが、1945年の空襲だけではなく、「太平洋戦争下の大阪・関西」くらいに対象を広げた写真を書籍にまとめていただければありがたいです。橋爪さんの「序章」には本書のことを「初弾」と書いておられるので、第2弾、第3弾を期待いたします。

どうぞよろしくお願いいたします。

 

 

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Akihoshi Yokoran
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