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開催してほしい展覧会(20世紀前半篇)

美術展企画に関する特設サイトの功罪(メリット・デメリット)(2126)

No,2124の最後に書きました、いまやすでに「当然」となっている、美術展企画に関する特設サイト(1つの展覧会用に独立して制作されるウエブサイト)の功罪(メリット・デメリット)について書いてみたいと思います。

 

まず、「功」といいますか特設サイト・独立サイトのメリットですが、独立していると、主としてデザイン上・構成上のメリットがあります。すなわち、新聞社等美術館外の主催者側が、デザインもページ構成もかなり自由に制作できるということです。仮に美術館のウエブサイト内のページだと、そもそも新聞社等美術館外の当事者が主体的には(勝手には)制作できません。制作するとしても、かなりの制約を受けるでしょう。また、また当該美術館サイトのすでにある他のページとのデザイン的なバランス・整合性も考えねばなりませんが、これは非常に大変です。独立していれば、その作家や作品の特徴に沿ったような独特のデザインなども可能です。

また、費用の問題も切り離すことができます。すなわち、美術館に負担をかけずに、新聞社等の費用だけで制作できるということになります。

 

では、デメリットは、何でしょうか? 最大のデメリットは、対象となる展覧会企画の会期が終了するとほどなくサイトがなくなってしまう点でしょう。その展覧会のために制作したのだから、その展覧会が終了したら特設サイトもなくなる、まあ、一応は納得のいく理由です。

 

例えば、2015年のルネ・マグリット展(2015325-629:国立新美術館, 2015711-1012:京都市美術館)のサイトは、もうありません。(読売新聞社が制作していうようです。)

https://magritte2015.jp/

 

他方、「WayBack Machine」で確認すると、それでも、2021年頃まではまだ何らかの情報が残っていたことがわかります。

https://web.archive.org/web/20241201000000*/https://magritte2015.jp/

 

そして、特設サイトが存在した「あおり」を受けて、開催した美術館にてその展覧会を紹介したページは間違いなくあるにはあるのですが、そちらが、必要最低限の情報しか掲載されていないという状態になっています。他の展覧会(特設サイトが存在しない展覧会)を紹介しているページより内容が劣っているというわけです。外部で、非常に「素晴らしい」特設サイトがあるのですから、美術館サイトで重複した情報を掲載することに時間や費用をかける意味がないと考えるのは普通でしょう。

例えば、上記マグリット展を紹介した国立新美術館のページは、展覧会の概要と構成は掲載されているものの、作品図版も一切なく、チラシも出品作品リストもないという貧弱さです。特設サイトを制作していない他の展覧会の紹介ページよりも内容が劣っています(とはいえ、この美術館は、チラシや出品作品リストは掲載しないことが普通のようです、最低限の情報すら掲載されていないというのは、国立美術館としていかがなものでしょうか?)。さらに、見られなくなっている特設サイトを未だにリンク先として冒頭に掲載したままだ、というていたらくです。

https://www.nact.jp/exhibition_special/2015/magritte2015/

 

ただ、国立新美術館はまだましな方で、京都市美術館(現・京都市京セラ美術館)などは、2018年以前の展覧会については、一部抜けているほか(なぜか、2015年は抜けています)、展覧会名・会期・会場くらいしか残っていません。まあ、これは、特設サイトが原因ではありませんから、ここでの議論とは関係ありませんが、それにしても、過去の情報(自館の歴史)を何と軽視している美術館でしょうか。ひどいものです。直ちに改善していただきたい。

https://kyotocity-kyocera.museum/exhibition2018

 

とこのように、特設サイトがなくなってしまうと、その美術展の記録(の一部)が失われてしまうということになります。しかも、その特設サイトを制作していたがために、美術館のサイトのほうには情報を掲載するというインセンティブが失われてしまっていたため、却って貧弱な情報だけが残る、という根本的な問題が存在します。

従いまして、これを防止するため、個人的には、せっかく制作したのですから、特設サイトを永久に残しておいて欲しいと思います。ただ、維持するためには費用もかかるだろうから、なかなか難しいのだろう、それなら、情報の一部(または全部)を記録として美術館のサイトに移植することにすればいいのではないか、などと考えていました。

ところが、たまたま、国立新美術館のマグリット展のすぐ前に開催された「ルーブル美術館展」について、美術館における紹介ページを見てみたら、マグリット展と同様に特設サイトも冒頭に掲載されたままになっており、どうせ消去されていだろうと開いてみたところ、何とそっくりそのまま残っているようです。

ルーヴル美術館展 日常を描く風俗画にみるヨーロッパ絵画の真髄

2015221日(土) 20156 1日(月)

https://www.nact.jp/exhibition_special/2015/louvre2015/

https://www.ntv.co.jp/louvre2015/works/

こちらの制作は日本テレビのようですが、同じ読売新聞社系でも、特設サイトの維持に関する考え方が大きく異なるのですね。

 

たまたま残っているということかもしれませんが、「永久に残す」ということは、まったく不可能ではないのではないか、と思うようになってきました。

ぜひ、今後は、特設サイトを永久に残すような方向を、制作各社にて前向きにご検討いただきたいと思います。とにかく、繰り返しになりますが、せっかく制作したのに、消去してしまってはあまりにもったいないのです。消去することにより、企画の詳細な記録(記憶も?)失われてしまいます。

 

どうぞよろしくお願いいたします。

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Akihoshi Yokoran
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