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開催してほしい展覧会(20世紀前半篇)

展覧会企画に関するアートワーク、グラフィックワーク、デザインワークについて(2127)

No.1907ですでに一部書いてあることですが、ほぼ4年たっても、状況が変わらないため、新しい情報、側面、視点などを含めて再説です。

 

以前、次の本を見たことがありました。

 

新しいミュジオロジーを探る 西武美術館からセゾン美術館へ

編集:セゾン美術館

出版社:セゾン美術館、(発売)リブロポート

刊行年:1989

 

その中で、西武美術館・セゾン美術館のアートワーク、グラフィックワーク、デザインワークについて(田中一光、松永真)、まとめて紹介してあるページがあったと記憶しています。

ここで、アートワーク、グラフィックワーク、デザインワークとは、展覧会企画のポスター、チラシ、入場チケット、展覧会カタログ、会場設計・レイアウト、会場に掲示される各種宣伝媒体(入口や壁などに配置されるパネル、建物外壁の垂れ幕など)、それ以外の広告(雑誌広告、新聞広告、街頭広告、(通常は存在しないでしょうが)TV広告)などのことです。この書籍の刊行時には含まれていなかったかもしれませんが、最近では展覧会企画に合わせて制作された限定オリジナルグッズや公式サイトなども含まれるでしょう。また、TV広告などは現在でも考えられないと思いますが、その代わりに、YouTube用や公式サイトに掲載するための映像「広告」は出現していますね。

 

さて、申し上げたいのは、かつての西武美術館・セゾン美術館のように、こういったアートワーク等をデザインの面で統一的に打ち出していくべきだということではありません。それは、訴求力という意味では、美術館にとって極めて望ましいことですが(すでに実施している美術館もあるかと思いますが)、同時に、費用も含めて、能力的に極めて難しく、提案としては成り立たないと考えるからです。

 

そうではなく、ここで申し上げたいのは、これらの過去のアートワークを、なぜ、世の中に提示しないのか、ということです。

とはいえ、セゾン美術館のように、書籍として出版せよ、ということではありません。

そうではなく、この書籍が刊行された1989年には身近になかった媒体だが、今となっては、誰もが簡単に発信に利用できて、しかも世界中からアクセスできる、そんな媒体であるインターネットが、すぐそばにあるではありませんか。

 

すでに、開催中の展覧会企画や過去の展覧会企画について、チラシや出品作品リストをウエブ上に掲載している美術館もあります。逆に、そんなものすら掲載していない美術館は、未だに多く存在しますが、いまや信じられない思いです、何をやっているんだと非難してもいいでしょう。

しかし、ここでは、チラシや出品作品リストだけではなく、それ以外のアートワークをなぜ同様に残しておこうとしないのだろうか、という問題意識です。

ポスター、チケットその他のアートワークにしても、丹精込めて作り上げたものではないのでしょうか? そうだとしてら、せっかくの財産というか、宝物をみんなと共有することで、残しておこう、という発想はないのでしょうか? 展覧会会期が終わったら、もう意味、存在意義のないものになってしまうのでしょうか? こういういい方はしたくありませんが、それに使ったお金が税金だとしたら、(永遠の)公開により還元する義務があるのではないでしょうか?

 

多少の手間と費用は掛かりますが、自分の美術館の企画であれば、公開は(おそらく)簡単です。逆にその美術館が公開してくれなければ、一般の人間は、二度と見ることができなくなります。その美術館にしかできないことなのです。もちろん、どこかの機関がまとめて公開してくれれば、受ける側としては、それに越したことはないのですが、そうなると、量的にほぼ不可能でしょう。

また、ニューヨーク近代美術館のように展覧会カタログさえ全部掲載せよなどとは申しません。ですから、実現可能性はかなり高い、いやほぼ障害はないのではないかと思います。あとは実行するのみです。

 

ぜひとも、アートワークの公開を各美術館において進めていただけばと思います。まずは、現在の企画から、そして、未来へ過去へ。そのような公開が、50年後100年後にどれだけ価値のあるものになるか、想像するだけで武者震いしませんか? やってみようという気持ちになりませんか?

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Akihoshi Yokoran
性別:
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