今年は、
・キュビスム展
・デ・キリコ展
という、一般的にも話題となった20世紀前半を対象とする企画が開催されましたが、ここで、基本に立ち返って、現時点で「開催してほしい展覧会」(20世紀前半)としてどのようなものがあるか、西洋の絵画(しかも、どちらかというと個人)を中心とした範囲に絞って、挙げてみたいと思います。特に、写真展は排除しています。
まず、過去にも開催実績があり、最近は開催されておらず、しかし今後は開催される可能性がある、次の2つを上げたいと思います。
・エルンスト展
・モンドリアン展
次に、今後も開催される可能性が低い企画を挙げてみたいと思います。
・マレーヴィチ展
・グリス展
・タンギー展
・ヴォーティシズム展
・アメリカの抽象絵画展(20世紀前半)
・アプストラクション=クレアシオン(抽象=創造)展
・アーモリー・ショー展
以上は、このスレで、昔に挙げていた企画もあり、そうでないものもあると思いますが、すでにその区別は意味がないため、確認はしていません。
さて、そうは言ったものの、「昔に挙げていた企画もあり」というところは重要で、問題意識は次の点です。
『日本における鑑賞の対象である美術の裾野は広がったのか?』(20世紀前半の美術について)
おそらく、そのスレを開始した2000年と比べると、美術ファン、特に展覧会に足を運ぶ人の数は増えているのではないかと思います。その点については、いくつかの背景があると思います。例えば、
・美術館が新設または改装を通じて、より人々を惹きつけるような魅力の発信をしてきたこと。例えば、カフェ(またはレストラン)、ミュージアムショップ、図書室(アート・ライブラリ)などは、明らかに20世紀よりは増加し、一般化しています。
・展覧会企画についての発信がより積極的になったこと。例えば、企画ごとに独立したウエブサイトの作成、公的な場での大きな広告の掲示、展覧会に特化したオリジナルグッズの制作など。
・まんがやアニメなど、従来は「美術」の枠内に入りにくかったテーマ、しかし、一般的には人気のあるテーマを、以前よりも積極的に取り入れたこと。
などを挙げられると思います。
しかし、この「裾野」を、「展覧会企画で取りあげられる美術の分野・範囲」と考えると、あまり広がっていない、というのが、ここで申し上げたいことです。
個展で考えるとわかりやすいので、「今後も開催される可能性が低い企画」の冒頭に挙げた3企画を見てみると、
・マレーヴィチ展
・グリス展
・タンギー展
このスレの開始から、ほぼ四半世紀が経過しているにもかかわらず、開催の可能性は低いままで変わっていないというのが、当方の印象です。
そのような企画よりも、
・上述しました、まんが・アニメなどの新しい分野
・今までの企画の繰り返し(代表的な作家や代表的な分野。「〇年ぶり」と銘打っていても、要するに繰り返されている企画であることには違いありません)
というような企画が優先された、という点がその理由ではないでしょうか?
とはいえ、まだまだ諦めたくはないと考えています。
20世紀前半という時期を対象とした企画について、今後の裾野の広がりを期待します。
よろしくお願いいたします。