少し前に、翻訳ものですが、次の本が刊行されています。
南光(なんこう)
アジア文芸ライブラリー
朱 和之・著/中村 加代子・訳
春秋社
2024/05発売
価格 ¥2,860(本体¥2,600)
日本統治下の台湾の写真家、鄧南光(鄧騰輝、1907-1971)の評伝というか、物語です。
巻末に南光による写真図版12点も収録されています。写真点数がこれだけでは少ないとは思いますが、日本でこのような作品が見られるような資料、それ以前に、より一般的に、台湾の戦前期の写真を対象とした和書は、寡聞にして知らず、ですから、非常に貴重な資料となっています。
春秋社というのは、写真史に関する著作など今まで刊行したことがないのではないかと思いますので、今回どういう経緯でこのような書籍の刊行にいたったのか、その点にも強い関心を覚えます。経緯の内容によっては、春秋社から近代写真史に関する書籍刊行について今後も期待できるかもしれないからです、
なお、このような作家個人についての書籍になってしまうのは(台湾における)著者の関心のありようによるものですので仕方がないのですが、個人的には、「中国と台湾の近代写真」というような、地域全体を対象としたような書籍を望んでおります。しかし、このような大きなテーマになると、むしろ書籍というより、展覧会企画のほうが適するでしょうか?
期待しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。