ヒルマ・アフ・クリント展の展覧会カタログが公立図書館に所蔵された1つの例を見てみました。
すると、No.2172でおそれていたことが実際に発生していました。すなわち、展覧会カタログの「カバー」が本体と一緒に「ビニール貼り」されていました。その結果、カバー裏に掲載されている<「神殿のための絵画」一覧>が見られなくなっていました。
(そんなところに掲載されていることすら知らない人々にとっては、「見られない」ということがそもそもわからないでしょう。)
これは、仕方ないのでしょうか?
カタログ制作に際して、<「神殿のための絵画」一覧>を本文に(も)掲載しておけば、簡単に防止できたはずですが、残念です。
江戸時代の名残りのある明治初期の錦絵から始まり、小林清親、川瀬巴水(新版画)を経由して、横尾忠則のポスターまで。
この分野の整理はなされているのでしょうか?
一大企画を希望いたします。
ぜひ、お願いいたします。
兵庫県立美術館の中山岩太展第1期に行ってきました。コレクション展(常設展)の一部とはいえ、49点もの点数があり、見ごたえがあります。もちろん、点数が多いことだけが問題なのではなく、その1作1作が、他の追随を許さないような、まさに珠玉の作品だという点がすごいのです。
ご参考までに、展示作品リストを掲げます、本当は、このようなリストは、基本的な資料なので、兵庫県立美術館のサイトに掲載していただければいいのですが?
なお、本展についてはチラシは作成されておらず(コレクション展全体についてもチラシがないようです。ただし、コレクション展のポスターはある)、また、中山岩太展について、解説を記載したようなパンフレットもありませんでした。
ちなみに、単純に計算すれば、全3期で150点近くの作品が展示されることになりますが、今回だけでもすごかったのですが、全体で考えればなおすごい、期待できます。(ただし、おそらく、展示作品に重複が出てくるのではないかと思います。)
本当は、「第2期」も「第3期」もぜひ行きたいところですが、前にも書きましたように(No.2156)、会場が遠いので、交通費も考えると、さすがに難しいでしょう。もう遅いのですが、1回にまとめていただければよかったのにと思います。実際に見たところでは、スペース的には他の展示作品を調整することで可能だったと思います。
最後に、中山岩太の作品集は、今まで何冊も刊行されていますが、現時点では、いずれも入手できなくなっています。公立図書館で探せば、そのうちのいくつかは必ず発見できると思いますので、借りることは可能です。しかし、1冊も入手できないという状態は、日本の代表とする中山岩太についてどうなのかという疑問も強く、中山岩太ファンとしても残念ですので、再販、増刷、場合によっては新規刊行など、ご検討いただきたく、よろしくお願いします。
遅ればせながら、「復刻保存版FRONT」I, II, III(2119)(2024/06/02)に続いて、次の復刻版のご紹介です。
『合本復刻版NIPPON』1・2・3
国書刊行会
各・本体価格38000円(税込)
第1集:第1号~第14号
https://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336077172/
発売日 2024/12/25
判型 B4判 ISBN 978-4-336-07717-2
ページ数 910 頁 Cコード 0000
第2集:第15号~第28号
https://www.kokusho.co.jp/np/isbn/9784336077189/
発売日 2025/06/06
判型 B4判 ISBN 978-4-336-07718-9
ページ数 978 頁 Cコード 0000
第3集=2025年9月刊行予定
まだ情報が掲載されていません。
カタログも掲載されています。
https://www.kokusho.co.jp/catalog/9784336077172.pdf
「FRONT」と同様に、こちらも個人で購入するには高価すぎますが、購入し損ねていた公立図書館や研究機関には、積極的に購入していただきたいものです。。
ヒルマ・アフ・クリント展の会場にも掲げられていた「神殿のための絵画」一覧(全2期(1906-1908と1912-1915)、全193点)ですが、展覧会カタログのページを繰ってみても、掲載されていません。
おかしいなと思ってよくよく見てみると、今回の展覧会カタログには、他の展覧会カタログでもたまに見られる、「本のカバー状のもの」が付いています。実物をご覧になった方はお分かりだと思いますが、展覧会カタログよりも、上下が少し短いものです。
実は、その裏に、この一覧が掲載されています。
なぜ、わざわざ、こんな変則的なことをする必要があったのでしょうか? 非常に疑問を案じます。
これは、
・存在自体がわかりにくい(カバーを一旦展覧会カタログ本体から外さないと発見できない、見逃す人がいないとは限らない)
・ご存じのとおり、ほとんどの公立図書館では、通常、書籍の保護のため、本の外側にビニールを貼り付けることが多いが(とともに、もともと付いている函やカバーを破棄することも多い)、これに対して、今回のこの展覧会カタログのカバーの裏が見られるようにするために、いったいビニールをどう貼ることになるのかがわからない(不可能ではないが)
・サイズもA4やB4といったサイズではなく、変則的である(コピーをするとしたら、不便。さらに、美術館の図書室でのコピーでは、通常は、拡大縮小をすることができない)
などの問題があります。
「素直に」、本文中に含めていただきたかったところです。サイズ的に本文のページでは納められないというのであれば、美術書ではよく存在する「折り込み」という方法など、いくらでも方法は考えられたと思います。もし、カバー裏がどうしても必要ならば、それはそのまま残し、本文はそれと重複させて掲載するという方法もあります。
なお、同じ一覧が「芸術新潮」2025年4月号のアフ・クリントの特集にも掲載されていますが、企画に含まれていない作品(かなりの点数になる)や本文に掲載されている一部の作品の図版が掲載されておらず、かなり不完全な一覧となってしまっています。その理由は権利の関係だと思いますが、残念です。