新型コロナの感染の波が何度も来ていますが、そのような中で、美術展も事前予約等の入場制限をしたり、他方入場制限をやめたり、入場制限をしていなくても、混んでいる可能性があれば訪問することに心理的抵抗もあり、また美術館というよりもそもそも東京や大阪といった都市圏にしかも鉄道で足を運ぶということへも心理的抵抗があり、結局、なかなか展覧会に行きにくいという状況が継続しています。
そういった状況下、この新型コロナを契機に、または、これを奇禍として、デジタル展覧会(バーチャル展覧会)が開催され、また普及するのではないかと以前から期待しているのですが、そういうことにはなっていません。
なぜ、いつまでたってもデジタル展覧会(バーチャル展覧会)が実現しないのでしょうか?
海外を含む他館から借りている作品をネット上に掲載することはかなり困難で無理だとしても、自館の所蔵品の作品展ならばネット掲載も可能ではないでしょうか? 特に、著作権が消滅している昔の作品であればなおさら。
(とはいえ、所蔵作品をネット上でページを設けて紹介している場合でも、なぜか作品図版を掲載できていない作品(しかも古い作品)も多く見られます。)
著作権の問題なのか、デジタル技術の問題なのか、費用の問題なのか、人手の問題なのか、デジタル展覧会(バーチャル展覧会)が実現されない理由が全く分からないので、いらいらします。
国も手当てをして、早急に1つでも2つでもデジタル展覧会(バーチャル展覧会)を実現させてほしいところです。
デジタル展覧会(バーチャル展覧会)もできないようでは、正直なところ「デジタル化推進」が聞いて呆れます。
ぜひとも、よろしくお願いします。
次の本が最近刊行されました。
アナロジーの奇跡
写真の歴史
カジャ シルヴァーマン∥著 松井 裕美∥訳 礒谷 有亮∥訳
月曜社
2022.6
価格 ¥3,960(本体¥3,600)
大変面白そうな、新しい視点からの写真史。
アナロジーとは、類推・類比・推論。写真が生み出すアナロジーとは何なのか。
中身をじっくりと読んでみたいものです。
なお、訳者のお一人である松井裕美さんは『キュビスム芸術史 - 20世紀西洋美術と新しい〈現実〉』(名古屋大学出版会、2019/02発売)の著者でもあります。
最後に、目次を掲載します。
目次
謝辞
序章
第1章 再臨
第2章 とどまらないデヴェロプメント
第3章 カメラのなかの水
第4章 ある種の共和国
第5章 私 あなた
第6章 死後の現前
訳者解説
アナロジーとしての写真の歴史(礒谷有亮)
『アナロジーの奇跡』を読み解く七つの鍵とシルヴァーマンの思想遍歴(松井裕美)
註
参考文献一覧
索引(事項・人名)
「個人向けデジタル化資料送信サービス」の開始について、No.2006でご紹介しましたが、最近登録が完了しましたので、自分のパソコンで「国立国会図書館デジタルコレクション」を検索したり、閲覧したりしています。
大変便利ではありますが、まだまだ物足りない。ぜひとももっと拡大を続けていただきたい。
方向性は次の3つがあると思います。
1.国立国会図書館の所蔵資料でデジタル化されていないものをデジタル化して「図書館・個人送信」可能とする、または、デジタル化はされているけれども「国立国会図書館内限定」の資料(例えば、なぜか戦前のアサヒカメラなど)を「図書館・個人送信」可能とする。
2,国立国会図書館の所蔵資料ではないもの、例えば、東京国立近代美術館アートライブラリ、東京都写真美術館図書室、JCIIライブラリー、各大学の図書館などに所蔵されている、国立国会図書館所蔵の範囲を超えた資料のデジタル化、「図書館。個人送信」化が必要です(一部は、すでに「他機関デジタル化資料」として収録されているようです)。戦前の資料であれば、すでに国立国会図書館所蔵資料ではデジタル公開をすることが可能になっているのですから、他館所蔵の同時期の資料であれば、ほとんど著作権法上の障害はないのではないかと思います。もし障害があるならば、法改正をして即時にその障害を取り除くべきです。また、それぞれの機関で、国立国会図書館から独立してデジタル化し、データベースを作成する必要は全くなく、むしろ、国立国会図書館のデジタル化の中に含めるべきです。要するに、各種外部機関から資料を国立国会図書館へと持ち込んでデジタル化し、「国立国会図書館デジタルコレクション」に含めてしまうのです。閲覧する側としても、各種の図書館・図書室ごとにデジタル資料のデータベースがあると不便でなりません。「国立国会図書館デジタルコレクション」ですべての資料を調べられる、そういう一元的なデータベースにすることが必須です。そういうことになった場合の便利さ、合理性は、国立国会図書館のデジタル化のご担当者が最もよくお分かりだと思います。
3.これでも足りない、という戦前の資料は、個人を頼るしかありません。例えば、雑誌で不足している号(あるいはもっと広く不足している時期)が必ずあるでしょう。その場合には、その点を関係者や関係機関のみならず、広く一般に告知し、個人から自主的に持ち込んでもらいデジタル化するのです。
さて、これで、戦前の日本の美術雑誌・写真雑誌・グラフ雑誌・建築雑誌・デザイン雑誌などは網羅できるでしょうか? 「国立国会図書館デジタルコレクション」に基づく「個人向けデジタル化資料送信サービス」だけで、すべて検索・閲覧できるようになるでしょうか? いやこれは「質問」するべきことではなく、目指すべことであり、否応なく、実現せねばならぬことです。しかも、かなり早い時期に。
どうぞよろしくお願いします。
(つづき)
発売日 2007/08/20
巴里とセーヌ
福原信三 写真
飯沢耕太郎/金子隆一 監修
日本写真史の至宝
定価 38,500円(本体価格35,000円)
ISBN 978-4-336-04487-7 / Cコード 0372
発売日 2006/07/01
光
丹平写真倶楽部 写真
飯沢耕太郎/金子隆一 監修
日本写真史の至宝
定価 22,000円(本体価格20,000円)
ISBN 978-4-336-04489-1
発売日 2006/07/01
日下部金兵衛
明治時代カラー写真の巨人
中村啓信 著
定価 4,180円(本体価格3,800円)
ISBN 978-4-336-04772-4
発売日 2006/02/01
Japan Through a Leica
木村伊兵衛 写真
飯沢耕太郎/金子隆一 監修
日本写真史の至宝
定価 24,200円(本体価格22,000円)
ISBN 978-4-336-04488-4
発売日 2005/12/01
復刻版 NIPPON 第3期
第25号~第36号・増刊5冊
金子隆一 監修
定価 132,000円(本体価格120,000円)
ISBN 978-4-336-04744-1
発売日 2005/11/01
「光画」傑作集
飯沢耕太郎/金子隆一 監修
日本写真史の至宝
定価 4,950円(本体価格4,500円)
ISBN 978-4-336-04491-4
発売日 2005/08/01
カメラ・眼×鉄・構成
堀野正雄 写真
飯沢耕太郎/金子隆一 監修
日本写真史の至宝
定価 16,500円(本体価格15,000円)
ISBN 978-4-336-04486-0
発売日 2005/06/01
初夏神経
小石清 写真
飯沢耕太郎/金子隆一 監修
日本写真史の至宝
定価 38,500円(本体価格35,000円)
ISBN 978-4-336-04485-3
発売日 2005/04/01
安井仲治写真作品集
安井仲治 写真
飯沢耕太郎/金子隆一 監修
日本写真史の至宝
定価 38,500円(本体価格35,000円)
ISBN 978-4-336-04490-7
発売日 2003/02/12
東京国立博物館所蔵幕末明治期写真資料目録 1
図版篇/データ綜覧篇
東京国立博物館 編
定価 19,800円(本体価格18,000円)
ISBN 978-4-336-04154-8 / Cコード 0020
発売日 2002/12/27
復刻版 NIPPON 第2期
第13号~第24号
金子隆一 監修
定価 104,500円(本体価格95,000円)
ISBN 978-4-336-04470-9
発売日 2002/06/11
東京国立博物館所蔵幕末明治期写真資料目録 3
図版篇/データ綜覧篇
東京国立博物館 編
定価 19,800円(本体価格18,000円)
ISBN 978-4-336-04446-4 / Cコード 0020
発売日 2000/06/28
東京国立博物館所蔵幕末明治期写真資料目録 2
図版篇/データ綜覧篇
東京国立博物館 編
定価 19,800円(本体価格18,000円)
ISBN 978-4-336-04236-1 / Cコード 0020
発売日 2002/03/10
復刻版 NIPPON 第1期
第1号~第12号
金子隆一 監修
定価 104,500円(本体価格95,000円)
ISBN 978-4-336-04389-4
こう見てみると、雑誌「NIPPON」の復刻が、国書刊行会が本格的に「写真史」の分野に参入する「きっかけ」だったのかもしれません。
ここ近年、国書刊行会から20世紀前半の写真史に関連する書籍が多く刊行されていて、この場でもしばしばご紹介しています。
一体、どれくらい刊行されているのか? 以前にも整理してみようと、ここでも書いたような記憶がありますが、以下、一覧を作成してみました。
以前に、ご紹介している書籍がほとんどかとも思いますが、ご紹介できていないものも含まれています。また、抜けているものがあれば、申し訳ありません。
こんなリストは、検索したらいいので不要だとのお考えもあるかと思いますが、いちいち検索する煩を避けるためのご参考までです。かなり重要な書籍の刊行が相次いでいることがお分かりいただけると思います。特に写真専門の出版でもないのに、1つの出版社でこれほどというのは、正直、奇跡的な気がします。
最近の刊行から、刊行時期が遡っている順で並べています。なお、以下は、20世紀前半以前に絞っておりますが(ここでは通常はご紹介していない19世紀(幕末・明治期)の部分もあえて含めています)、国書刊行会からは20世紀後半以降についての写真に関する書籍の刊行もあること、念のため申し添えます。
発売日 2022/06/14
アヴァンガルド勃興
近代日本の前衛写真
東京都写真美術館 編
定価 3,960円(本体価格3,600円)
ISBN 978-4-336-07367-9 / Cコード 0072
発売日 2022/04/25
帝国の写真師 小川一眞
岡塚章子 著
定価 8,800円(本体価格8,000円)
ISBN 978-4-336-07326-6 / Cコード 0072
発売日 2021/12/14
新興写真の先駆者 金丸重嶺
鳥海早喜 著
定価 3,520円(本体価格3,200円)
ISBN 978-4-336-07281-8 / Cコード 0072
発売日 2021/02/08
「写真の都」物語
名古屋写真運動史 1911-1972
竹葉丈 編著
定価 4,180円(本体価格3,800円)
ISBN 978-4-336-07198-9 / Cコード 0072
発売日 2019/10/25
カメラとにっぽん
写真家と機材の180年史
日本カメラ博物館 編著
定価 2,970円(本体価格2,700円)
ISBN 978-4-336-06381-6 / Cコード 0072
発売日 2018/03/07
『光画』と新興写真
モダニズムの日本
東京都写真美術館 編
定価 3,740円(本体価格3,400円)
ISBN 978-4-336-06252-9 / Cコード 0072
発売日 2017/04
異郷のモダニズム
満洲写真全史
竹葉丈 編著
森仁史/井村哲郎 執筆
野口里佳 特別寄稿
定価 3,850円(本体価格3,500円)
ISBN 978-4-336-06157-7 / Cコード 0072
発売日 2016/11/25
京都大学人文科学研究所所蔵 華北交通写真資料集成
全2巻
貴志俊彦/白山眞理 編
定価 28,600円(本体価格26,000円)
ISBN 978-4-336-06088-4 / Cコード 0021
発売日 2014/06/16
写真師たちの幕末維新
日本初の写真史家・梅本貞雄の世界
緒川直人 編
梅本貞雄 著
定価 5,280円(本体価格4,800円)
ISBN 978-4-336-05785-3 / Cコード 0072
発売日 2014/03/06
下岡蓮杖
日本写真の開拓者
東京都写真美術館 監修
定価 3,080円(本体価格2,800円)
ISBN 978-4-336-05782-2 / Cコード 0072
発売日 2012/03/07
幻のモダニスト
写真家 堀野正雄の世界
東京都写真美術館 編
定価 3,850円(本体価格3,500円)
ISBN 978-4-336-05476-0 / Cコード 0072
発売日 2010/04/22
新装版
懐かしの停車場
東日本篇
原田勝正/小池滋 監修
国書刊行会 編
定価 2,420円(本体価格2,200円)
ISBN 978-4-336-05223-0 / Cコード 0072
発売日 2010/04/22
新装版
懐かしの停車場
西日本篇
原田勝正/小池滋 監修
国書刊行会 編
定価 2,420円(本体価格2,200円)
ISBN 978-4-336-05224-7 / Cコード 0072
(つづく)