先に登場しました、戦間期(ということは日本占領期)に活躍した韓国の写真家Jung Haechang(1907-1968)の名前で検索したところ、次の展覧会が見つかりました。
The Centennial of Korean Art Photography, 1920–2020
An exhibition dedicated to the 30th anniversary of Russian-Korean diplomatic relations.
https://rosphoto.org/events/the-centennial-of-korean-art-photography-1920-2020/
会場の情報は以下のとおり。
The State Russian Museum and Exhibition Centre ROSPHOTO
Main Building Exhibition Hall, 2nd floor
19.12.2020—21.03.2021
(Saint-Petersburg, 35 Bolshaya Morskaya street)
戦間期に関する記載は以下のとおり。
The first section, “Birth of Korean Photographic Art, 1920–1950s”, introduces the beginnings of Korean photography. This part of the exhibition displays works by the artists who regarded photography as “pure art”. This approach was widespread in Korean art during the period of Japanese occupation as well as after liberation and the Korean war, when photographers like JUNG Haechang (1907–1968), LIMB Eungsik (1903–2001) and HYUN Ilyoung (1903–1975) were at the peak of their productivity.
3人の韓国人写真家の名前がこれでわかったことになります。ハングル表記まではわかりませんが、生没年も出ているので検索で発見できるのではないでしょうか?
なお、この美術館は、モスクワではなく、サンクトペテルブルクの美術館のようです。
なぜ、このような展覧会が隣の日本ではなく遠いロシアの都市で開催されているのでしょうか?
日本と韓国の関係が険悪だということを示しているのでしょうか?
韓国の政権交代に伴い、この展覧会も日本に巡回していただきたいところです。
さて、巡回の可能性は極めて低いと思いますので、とりあえずは、ここから先は情報は見つかるでしょうか? この企画の展覧会カタログは存在するのか、存在するとして日本国内に所蔵している美術館図書室があるでしょうか?
探してもよくわからない、見つからないという未来が見えるようで、暗くなります。
次の展覧会が1会場で開催終了、別の1会場で開催中です。
SURREALISM BEYOND BORDERS
The Metropolitan Museum of Art: October 11, 2021 – January 30, 2022
TATE MODERN: 24 February – 29 August 2022
https://www.metmuseum.org/exhibitions/listings/2021/surrealism-beyond-borders
https://www.tate.org.uk/whats-on/tate-modern/surrealism-beyond-borders
欧米をそれぞれを代表する美術館で、この企画ですか~。
しかも、METのほうの次のページ(展示作品の一部)をご覧ください。
https://www.metmuseum.org/exhibitions/listings/2021/surrealism-beyond-borders/exhibition-objects
絵画だけでなく写真作品やオブジェ、雑誌・書籍等の資料なども含まれています。戦後まで対象です。有名な作品がある一方で、見たこともないような作家・作品(特に、珍しい国の作品。韓国の写真作品もあり)に混ざって、なんと日本の作品もあります。登場している日本人名を挙げると以下のとおり。漢字表記がないのは仕方ないのでしょうか。
古賀春江の「海」
岡上淑子のフォトモンタージュ(1954)
北脇昇
池田龍雄
企画タイトルの「BORDERS」とは国境のことなのでしょうか?
なお、韓国の写真作品とはこちら。
https://www.metmuseum.org/art/collection/search/838594?&exhibitionId=0&oid=838594&pkgids=732
Artwork Details
Title: Inhyŏng ŭi kkum I (A Doll’s Dream I)
Artist: Jung Haechang (Korean, Seoul 1907–1968 Seoul)
Date: 1929-1941
Geography: Country of Origin South Korea
Medium: Gelatin silver print
Dimensions: 17 1/16 × 21 1/16 in. (43.3 × 53.5 cm)
Classification: Photographs
Credit Line: The Museum of Photography, Seoul
ハングルが表示されていないのが残念ですね。しかし、次の通りのようです。
Jung Hae-chang 정해창 (1907-1968) Korean Potographer
ネットに公開されている作品を見るだけでも、ぜひ行ってみたい展覧会です。ここはやはり、日本に巡回していただきたいところです。巡回しないということは、日本の美術作品はラインナップに入れられるほど高く評価されているのに、巡回してもらえない日本の美術館のほうは軽んじられているようで、恥ずかしいのではないかと思うくらいです。
想定される会場としては、東京国立近代美術館でしょうか? 少なくとも、古賀春江・北脇昇が含まれているわけですから。そして、日本で開催されるのならば、もちろん、日本作家の部分は補強されると信じています。どうぞよろしくお願いいたします。
なお、同館の図書室には本展の展覧会カタログが所蔵されています。
すでに刊行されていると思い込んでいたのですが、まだ、「1001シリーズ」の中で、次のような本は存在しないようです。
1001 Posters You Must See Before You Die
すでに、絵画、建築、写真については刊行されているので、ポスターについても、ぜひ制作をよろしくお願いします。誰にお願いしたらいいのかはわかりませんが。
ポスターについては、「デザイン」または「写真」(古くは画家が制作を担っていたので、絵画)の観点から、以前から注目され、展覧会も書籍も多いと思います。地域やテーマや時期を絞れば、様々な資料が刊行されていると思います。しかし、いざ、世界全体のポスターを対象とした網羅的な資料というと、なかなか思いつきません。
はたして「1001」で足りるのかという懸念がありますが、とりあえずは、まずは手掛かりとしての「1001」をお願いしたいと思います。
もう1年前ですが、昨年、次の本が刊行されています。
さまよえる絵筆
東京・京都 戦時下の前衛画家たち
弘中智子(板橋区立美術館・学芸員)・清水智世(京都府京都文化博物館・学芸員)・編著
みすず書房
2021
これは、編者の肩書から予想できるように、編者の肩書にある2館において昨年開催された同名の展覧会の展覧会カタログという位置づけの本で、みすず書房の本としては、大変珍しいのではないでしょうか?
その内容はサブタイトルが示す通りですが、ようは、「前衛絵画」が戦争に死滅させられることなく、様々な道を模索していた、ということを紹介しています。
表紙に記載されている画家名27名を書きますと以下のとおりです。
福沢一郎
小川原脩
杉全直
吉井忠
古沢岩美
靉光
麻生三郎
寺田政明
松本俊介
難波田龍起
山口薫
小野寺利信
長谷川三郎
北脇昇
小牧源太郎
吉加江清
小石原勉
原田潤
安田謙
今井憲一
松崎政雄
井上稔
田村一二
三水公平
小栗美二
杉山昌文
島津俊一
以上の見慣れた名前の多い顔ぶれを見るだけでもうれしくなりますが、中身も、かなり重厚です。
本日はこれだけですが、今後さらに詳しくご紹介できればと思っています。
とにかく、一般書であるため、公立図書館でも容易に見ることができる、という点が、大変うれしいことです。
最近ではないのでしょうが、「国立国会図書館デジタルコレクション」というものが公開されています。
戦前の美術雑誌・写真雑誌なども見ることができる便利な情報源です。
とはいえ、「インターネット公開」はほとんどないので、どこででも見られるということではありません。
とはいうものの、実は、全国各地の公立図書館備え付けの端末で見られるものはかなりたくさんあって、思った以上に活用できそうなことが、恥ずかしながら最近分かりました。
https://www.dl.ndl.go.jp/ja/soshin_librarylist.html
具体的にどの資料(書籍・雑誌)を見ることができるのか、詳細な確認はこれからですが、各公立図書館で見られるのであれば、国立国会図書館まで足を運ぶ必要もなく、コピーを取り寄せる必要もなくなり、非常に便利です。
ただ、なぜ、70年以上も古い戦前の雑誌などまでも「インターネット公開」が進んでいないのか、大いに疑問です。もしも著作権がそれを妨げているのであれば、日本における著作権は、著作物の利用・活用に対する制限が強すぎるのではないか、と思います。
取り急ぎ、以上を共有させていただきたいと思います。