雑誌の次の号が刊行されています。
+81(プラス・エイティワン) Vol.95
A Visual Encycl. of 100 Years Graphic Design JAPAN
Graphic Design JAPAN 100年図鑑 1922-2025
ディー・ディー・ウェーブ 編
A4変形 ● 160ページ
ISBN:978-4-309-92294-2 ● Cコード:0070
発売日:2025.06.12
定価2200円(本体2000円)
https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309922942/
まず、取り上げられた作家やグループ名を掲げた目次が公表されていない、という点が問題です。公表されているのは、次のような目次です。
目次
1920‐1940 The Dawn of Graphic Design グラフィック・デザインの夜明け
1950‐1960 Reconstruction of Post‐war Design 戦後デザインの復興
1960‐1970 The Rise of Advertising Media 広告メディアの隆盛
1970‐1980 The Age of Women’s Liberation 女性解放時代
1980‐1990 The Golden Age of Advertising Media 広告メディアの黄金期
1990‐2000 The Rise of Visual Culture ヴィジュアル・カルチャーの隆盛
2000‐2010 Theoretical Generation 論理的思考世代
2010‐2020 The Age of Diversity 多様性の時代
2020‐2025 Connected Age 繋がりの時代
このスレとして注目すべきは、「1920‐1940 The Dawn of Graphic Design グラフィック・デザインの夜明け」の部分ですが、ここには、5人が挙げられていたと思いますが、ネット上に情報があると思い、書店でメモしてきませんでしたので、5人目がわかりません。4人までは以下のとおりのはずです。
片岡敏郎
山名文夫
河野鷹思
名取洋之助
残りの1人は、次のうちの1人かもしれませんが、よくわかりません。
・杉浦非水
・橋口五葉
・竹久夢二
・多田北烏
・今竹七郎
わかり次第情報を追加いたします。
ただ、原弘が含まれていないということは間違いないでしょう。これは問題です。名取洋之助の部分で原弘をカバーできるという理解なのかもしれませんが、不十分です。原弘を落とすとは、非常に困った人選です。これで「世界16ヶ国で販売され」てしまっては、なおさら問題です。
なお、亀倉雄策は、戦後で取り上げられていますので、この時期に入っていなくても大丈夫です。
そうこうしているうちに、最後の1人を確認しました。
三島海雲(みしま・かいうん、1878-1974)でした。片岡敏郎の次、山名文夫の前です。デザイナーではなく、実業家、カルピスの創業者です。デザイナーではないから、当方の記憶の中にもなく、名前を覚えられなかったのだろうと、腑に落ちます。ここでは、「三島海雲」という名前によってカルピスの複数の作品をまとめて取り上げたかったということなのでしょう。なお、本文には三島海雲の没年の記載がありませんでした。「没年などネットでいくらでも調べられる」、確かにそうですが、そういうことをいいたいのではなく、「歴史」を取り扱う特集なのに、歴史を扱うという認識に欠けているということです。没年を記載し落とすなど、あるまじきことです。
しかし、そもそも、他の4人と比べて違和感があります。実業家を取り上げること自体がおかしいというのではなく、その視点は評価できるのですが、ここで1人だけしかとりあげないということが、中途半端なのです、日本の企業において、「広告・宣伝・デザインに力を入れていく」という方針を打ち出した経営者は、戦前の日本においても他に多数いたことでしょう。にもかかわらず、1人だけというのは足りなさすぎます。実業家、経営者というテーマは、今まであまり取り上げてこられなかった視点だとして評価できるとともに、本を1冊書くくらいの情報量があるはずで、しかも本にまとめるだけの価値があります。そういう意味において、中途半端だと申し上げているのです。
できれば、今後、この方向で、さらに調査を進めて、特集も組んでいただきたいところです。「戦前日本企業の広告・デザイン経営戦略」などと。
なお、もう1点確認できたところとして、原弘に関しては、名取洋之助のページに加えて、(全ページを確認したわけではありませんがおそらく)戦後のページでも、その作品は掲載されていませんでした。巻末の「年表」(CORRELATION DIAGRAM)には、その名前がかなりしっかりと明記されているのにもかかわらず、この本の本文では原弘がほとんど無視されているというような状態は、非常に奇妙なことですが、もちろん、「三島海雲を入れたから、原弘ははずした」という説明が成り立たないことは言うまでもありません。
もし、雑誌側に好意的に考えるのならば、原弘に関しては、取り上げるつもりだったのだが、何か権利関係の障害で掲載できなかったのかもしれません。そうであれば、その説明が雑誌内にあってしかるべきですが。
最後に、一般の図書であれば、公立図書館に所蔵される可能性はあるのですが、このような雑誌のある1つの「号」だと、もともとその雑誌を継続的に受け入れている場合でなければ、その号だけが所蔵される可能性はほぼ皆無です。要するに一般の公立図書館でこの特集の号を閲覧できる可能性はほぼゼロで、見たい場合には、大きな書店で見るか(しかも、在庫がまだ残っている時期、すなわち発売からあまり時間のたっていないうちに)、自分で購入せねばならなくなります。もちろん、国立国会図書館や美術館の図書室(アート・ライブラリ)であれば、閲覧やコピーは可能かもしれませんが、この号のためだけにそのような特殊な場所にまで足を延ばそうと考えることができる人が、何人いるかは極めて疑問です。ようするに、その内容の(ある程度の)網羅性にもかかわらず、この特集が多くの人の目に触れる機会がないという残念な状態になります。
なお、「別冊」や「増刊」という位置づけの「本」でも公立図書館がもとの雑誌と切り離して所蔵を決定するということは、可能性は低いかもしれません。ここは、公立図書館によって判断が分かれるかもしれません。難しいところです。
今回のような歴史的な内容(後々残しておくべき内容)の特集の号は、雑誌であっても、独立して所蔵するような柔軟さを公立図書館に期待します。
または、まったく逆の発想をしてしまいましょう。河出書房に対して、(「雑誌」の1つの「号」ではなく)「単行書」として再刊していただくことを希望します。こうすることで、公立図書館が次々と所蔵してくれるようになるのではないでしょうか?
先に、No.2156とNo.2174でご紹介した兵庫県立美術の巻の中山岩太展ですが、ふと兵庫県立美術館のウエブサイトを見てみましたら、次のような充実したページができていました。
https://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/j_2504/nakayama.html
ただし、以前から希望していた「作品リスト」はなぜか掲載されていません。どうか、掲載をよろしくお願いします。「中山岩太展」以外の、コレクション展Iについては、作品リストは掲載されているのに、
https://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/j_2504/list_j.pdf
https://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/j_2504/detail.html
中山岩太の部分のみ別の「作品リスト」になっているためにでしょうか、抜けてしまっているのです。
現在は、中山岩太展は「第2期」となっています。しかし、兵庫県立近代美術館に再度うかがうことは難しいので、その「作品リスト」を入手し、「第1期」のようにここに掲載することはできないでしょう。その意味でも、なおさら、ウエブサイトへの作品リストの掲載を期待します。
よろしくお願いします。
「AIに尋ねる」シリーズ(?)第3弾です。
Chat GPT(Open AI)、Gemini(旧称Bard)(Google)、Copilot(Microsoft)に、次のような質問をしてみました。。
「2025年後半から2026年にかけてこれから日本で開催予定の20世紀前半の絵画、写真、建築、デザイン(ポスターなど)などを対象とした美術展を5件紹介してください。展覧会名、会場の美術館などの名称、会期、出典(ウエブサイトなど)の4項目を表にしてください。もしも、5件に満たない場合には、発見できた展覧会だけで構いません。」
回答は以下のとおりでした。
ChatGPT
申し訳ありませんが、2025年後半から2026年にかけて開催予定の具体的な美術展については、現時点では詳細な情報を提供できません。ただし、一般的に日本の主要な美術館やギャラリーでは、20世紀前半の絵画、写真、建築、デザインに焦点を当てた企画が予定されています。最新の情報については、各美術館の公式ウェブサイトや展覧会案内をご確認されることをお勧めします。
もし、既に発表された展覧会情報をお持ちでしたら、それをもとに具体的な内容に関してお手伝いすることも可能です。
Gemini
承知いたしました。2025年後半から2026年にかけて日本で開催予定の20世紀前半の絵画、写真、建築、デザイン(ポスターなど)を対象とした美術展について、現在発表されている情報をもとに5件ご紹介します。
最新の情報は随時更新される可能性がありますので、ご覧になる前に各美術館の公式ウェブサイトでご確認いただくことをお勧めします。
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展覧会名 |
会場の美術館などの名称 |
会期 |
出典(ウェブサイトなど) |
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ゴッホと静物画―花と果実から人生の深淵へ |
ひろしま美術館 |
2025年10月1日〜2026年1月25日 |
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マティス 自由なフォルム |
国立新美術館 |
2026年2月14日〜5月25日 |
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没後100年 河村梁(かわむらりょう)展 |
名古屋市美術館 |
2025年11月2日〜2026年1月19日 |
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東京国立近代美術館60周年記念展「未来へのまなざし:近代日本美術の多様な展開」 |
東京国立近代美術館 |
2025年10月28日〜2026年2月1日 |
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菊池華秋展(仮称) |
福島県立美術館 |
2026年1月24日〜3月22日 |
Copilot
以下は、2025年後半から2026年にかけて日本で開催予定の、20世紀前半の絵画・写真・建築・デザインに関連する美術展の一覧です。該当する展覧会は現在のところ4件確認できました。
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展覧会名 |
会場 |
会期 |
出典 |
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ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢 |
東京都美術館 |
2025年9月12日〜12月21日 |
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ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢 |
愛知県美術館 |
2026年1月3日〜3月23日 |
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オルセー美術館所蔵 印象派―室内をめぐる物語 |
国立西洋美術館 |
2025年10月25日〜2026年2月15日 |
[orsay2025.jp](https://www.orsay2025 |
(以上で引用終了)
まず、Copilot、4件と書きながら3件しか挙げていないのは笑い話かもしれませんが、ゴッホは19世紀、印象派も19世紀です。0点ですね。
次にGeminiですが。
「河村梁」と「菊池華秋」は聞いたことのない名前だな、と出典で挙げられている美術館のサイトを見てみましたが、いずれにも掲載されていません。「菊池華秋」のほうは日本画家としては存在するようですが、これ以上の調査は、長時間を使わざるをえず、しかも結局行き止まりになりそうなので、調べるのはやめました。
最後に、ChatGPTは嘘をつかず潔い点はいいのですが、情報が出てこないのでは意味がありません。
少なくとも、このスレでもすでにご紹介している、次の2企画は挙げていただきたかったとおもいます。
・野島康三と斎藤与里/埼玉県立近代美術館
・拡大するシュルレアリスム 視覚芸術から広告、ファッション、インテリアへ./大阪中之島美術館
ということで、このような質問では3つのAIとも全然役に立たないことがまたわかりました。今後に期待します。
「新建築2025年8月号/特集・建築100年PART1」ですが、刊行されています。情報も出されています。
https://japan-architect.co.jp/shop/shinkenchiku/sk-202508/
https://post-architecture-books.com/collections/sk/products/sk-202508
目次だけ掲載しておきます。
監修者
加藤耕一(東京大学大学院工学系研究科教授)
坂牛卓(チリ・カトリック大学客員教授)
権藤智之(東京大学大学院工学系研究科准教授)
長谷川香(東京藝術大学美術学部建築科准教授)
刊行のことば
連鎖としての建築史
──新建築100年を読み継ぐ
吉田信之(新建築社社主)
はじめに
加藤耕一(監修者代表)
建築100年のマトリクス(20世紀編)
論考
現代建築の歴史をひらく
加藤耕一
空間価値の変容
坂牛卓
BEFORE 1920s
歴史主義からの脱却 長谷川香
コラム:
鉄筋コンクリート──技術革新のアナクロニズム 後藤武
19世紀のハウジングから20世紀のジードルンクへ 海老澤模奈人
1920s
第一次世界大戦後の世界 加藤耕一
コラム:
表現主義と分離派建築会──方法としての鉄筋コンクリート造 田路貴浩
近代社会における死と建築 長谷川香
1930s
1930年代の激動 坂牛卓
コラム:
コラボレーションによる構造デザインの幕開け 金田充弘
1940s
破壊から再生へ 長谷川香
コラム:
戦中に胎動する建設工業化 山名善之
世界の戦災復興と都市 頴原澄子
1950s
つくられた豊かさ 権藤智之
コラム:
コンクリート──希望と幻滅 Diego Grass
資材の再利用と建築時間論 加藤耕一
建築の冷戦 本田晃子
1960s
船は何処へ 長谷川香
コラム:
環境建築のはじまり 岩元真明
1970s
進歩と調和 権藤智之
コラム:
建築家と住宅──1970年代の土壌 塩崎太伸
アフリカのモダニズム 樫村芙実+小林一行
1980s
戦場の拡張 坂牛卓
コラム:
建築と思想 松井健太
1990s
歴史の終焉/21世紀を告げる新たな狼煙 加藤耕一
コラム:
1990年代についての証言 西沢大良
1990年代の環境と技術 清野新
コンピュテーショナル・デザインはいつ始まったのか? 平野利樹
ライトコンストラクション ヨコミゾマコト
平凡な素材だけでつくる非凡な建築 長谷川豪
環境共生 金子尚志
ハイテク建築家によるリノベーションの展開 常松祐介
身体的な脆さの共有 篠原雅武
建築家が「巨大性」に触れた時代 藤村龍至
1995年の建築的現実──閉じられた空間に穴 大澤真幸
INDEX
PROFILE
CREDIT
建築100年企画広告
第19回 長谷工住まいのデザイン コンペティション 追加告知
(つづき)
|
近代建築の思想 |
南泰裕 |
鹿島出版会 |
2025/12/5 |
¥2,200 |
|
日本の写真と戦争 |
佐藤真 |
みすず書房 |
2025/12/15 |
¥3,080 |
|
日本の建築家たち 1920–1945 |
松隈洋 |
学芸出版社 |
2025/12/20 |
¥2,640 |
|
モダン都市東京のデザイン |
竹内誠 |
吉川弘文館 |
2025/12/25 |
¥2,200 |
|
昭和初期の美術運動と社会 |
中村尚史 |
岩波書店 |
2025/12/28 |
¥1,980 |
|
日本の近代美術と国際交流 |
田中正之 |
武蔵野美術大学出版局 |
2025/12/30 |
¥2,420 |
補足
ご希望があれば、分野別(例:建築のみ、写真のみ)やテーマ別(例:モダニズム、戦前の都市文化)に再整理することも可能です。どの方向に深掘りしましょうか?
(以上で、引用終了)
ChatGPTとGeminiは「できない」といういさぎよい回答です。もう半年もたっているのに2025年のはダメなどとそんなに情報が古くてどうするんだとは思いますが、まあよしとしましょう。すっきりします。
問題は、Copilotです。他の2つに比べてよくやったものだと感心して、表を上から見ていていくと、例えば、「東京美術学校物語」などは岩波新書で、この場でもご紹介したなと思っていましたが、途中から、「あれ?」となり、次のタイトルを見て、愕然としました。
|
日本の写真史 1900–1950 |
飯沢耕太郎 |
青幻舎 |
2025/6/25 |
¥3,080 |
調べていただければ、お分かりのとおり、こんな本は刊行されていません。それ以外にも、存在しないと思われる怪しい本が何冊もあります。とんでもない表です。いちいち調べて確認する気にもなりません。また、「刊行年月日」の欄を見ると、8月以降年末までの刊行予定?の本も含まれていることも気になります。「刊行された」書籍を依頼したのですが…。未刊行の本は余計に怪しく感じます。
ちなみに、間違っている点はあえて指摘せずに、「表に出典となるURLを追加せよ」と依頼したら(最初からそう依頼すべきでした)、30冊すべてについてAmazonの該当ページをつけれくれました。しかし、例えば、この「日本の写真史1900-1950」の列のAmazonのURLを見ると、全然別の本でした。
なお、「刊行予定」の本についても、遠くない将来に同様の質問をしてみたいと思っていたのですが、上記のとおりあまりに酷い結果のため、諦めました。
AIのこういう使い方はまだ早い(逆に言えば、時間がたてばやがてできるようになる)、ということでしょう。「いつまでたってもできるようにはならない」などと悲観的に考えるのではなく、楽観的に考えることにしましょう。