「ザ・ファミリー・オブ・マン写真展」ですが8月12日(水)から間もなく開催です。
今回は、出品写真家として記載されている写真家のうち日本人写真家、すなわち次の4人について調べた結果をご報告します。
・大滝栄寿
・岡本洋一
・蒲生右之助
・山端庸介
まず、最後の山端庸介は、すでに相当に有名な写真家ですので、今回は、調査していません。
(ただし、山端の日本での展示作品については、天覧との関係など、トラブルが発生していたということですが、その点の指摘にとどめ、ここではその詳細には触れません。)
次に、岡本洋一(Yoichi Robert Okamoto, 1915-1985)ですが、調べてみると、日本人というよりは、日系二世のアメリカ人で、アメリカやオーストリアで大いに活躍した写真家でした。
次のページをご参照ください。このページには精緻な情報が掲載されていますので、これ以上の日本語での情報は望むべくもないでしょう。ただ、アメリカでは相当に知られている写真家のはずですが、日本では知名度がないという点は興味深いところです。
カメラの背後にいる男:LBJの影、岡本洋一の物語/グレッグ・ロビンソン (Greg Robinson)
https://discovernikkei.org/ja/journal/2018/10/11/yoichi-okamoto/
ところが、残りの2人、すなわち、大滝栄寿、蒲生右之助については、過去の写真雑誌に写真作品が掲載されていることなどは確認できますが、それだけで、ウエブ上ではそれ以上の情報は発見できず、経歴などはわかりませんでした。
なお、2人とも、日外アソシエーツの「日本の写真家」(基本的に、物故者839人を掲載)にも「現代写真人名事典」(基本的に、刊行の2005年時点で活躍中の写真家1512人を掲載)にも掲載されていません。
そして、この企画に関連して、もう1つの点にも注目しました。
先に書きましたように、この写真展は、1956年に日本橋高島屋で開催された同名の写真展を再構成したものです。とすると、1956年の写真展でも、日本人としてはこの同じ4人(岡本洋一が日系アメリカ人だとすれば、3人)が含まれていたのでしょうか?
ところが、次の文献によると、どうやらこの4人だけではないようです。
『人間家族』展の日本における受容 犬 伏 雅 一
https://www.osaka-geidai.ac.jp/assets/files/id/503
この論文の2ページ目(下付きのページ数で言えば18ページ)の左列の最下部に次のような記載があります。
『日本における展示巡回は、すべてアメリカでの展示―これ が複数つくられて世界を巡回―で使用された写真のネガから 日本で渡辺義雄が独自のネガを制作し、日本の印画紙で焼い た写真イメージに9人の写真家―木村伊兵衛、濱谷浩、石元 泰博、芳賀日出男、山端庸介、蒲生右之助等―の作品を追加 して(以下略)』
以上では、日本人写真家が「9人」と記載されており、6人しか具体名は記載されていませんが、今回の4人のうち岡本洋一を除いた3人と比べても、「大滝栄寿」という名前がありません。
そもそも、論文には9人のうち6人しか記載されていませんので(なぜ、そんな中途半端な記載の仕方をしているのかについては、大いに疑問です)、残りの3人の中に大滝栄寿が含まれている可能性がありますが、この論文からはわかりません。
また、この論文では、日本人写真家の作品は、スタイケンの選定したオリジナル企画の作品の中には含まれておらず、日本で追加されたような記述になっています。
さて、整理してみますと、以下のような点に疑問が生じています。
・9人のうち残りの3人は誰か? 大滝栄寿は含まれているのか?(ちなみに、なぜ論文には6人だけしか記載しなかったのか?)
・日本人写真家(の作品)は、オリジナルの企画には含まれておらず、日本展で追加されたものなのか?
・今回の「ザ・ファミリー・オブ・マン写真展」では、なぜオリジナルで9人だった日本人写真家を3人(または4人)に減らしたのか?(おそらく、単純に、展示の規模が小さくなったということではないかと思いますが)
最後に、話はずれますが、今回のこの企画は、日本だけの企画なのでしょうか?(海外での巡回があった、または、今後あるということではないのか?)
さて、このあたりを確認する方法はあるでしょうか?
つづきます。