東京ステーションギャラリーで巡回の最後を飾る「安井仲治」展が2月23日(金・祝)から4月14日(日)まで開催中ですが、「安井仲治」展についての次のウエブサイトで興味深いことを発見しました。
https://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202402_yasui.html
ページの右上に「日本語 EN Others」とあります。
日本語と次の「EN」(英語)はわかりますが、その次の「Others」とは何でしょうか?
https://www.ejrcf.or.jp/gallery/translation/
このページを開けると、
Automatic Translation Service
自動翻訳サービスのご利用について
とあり、
中文(简化字)
中文(繁體字)
한국어(韓国語)
の3か国語への自動翻訳が掲載されています。
実際このページの末尾には、「自動翻訳システムによる機械翻訳のため、必ずしも正確な翻訳であるとは限りません。」と自信なさ気に記載されていますが、発想としては、とても素晴らしいアイデアです。
確かに、自動翻訳の質を評価することは当方にはできないのですが、こういった「試み」は、ぜひ今後も、他の企画、他館などに広がって行って欲しいと願っています。「マンパワー的に(英語以外の)翻訳が難しいからもう諦める」、というのではなく、AIを適宜活用していこう、という方向性です。
しかも、中国・韓国だけでなく、ヨーロッパの言語や東南アジア・南アジア・中東などの言語も含めて。
よろしくお願いします。
次の展覧会が開催予定です。
TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション
東京国立近代美術館 1F企画展ギャラリー 2024年5月21日(火)~8月25日(日)
大阪中之島美術館 2024年9月14日(土)~12月8日(日)
https://www.momat.go.jp/exhibitions/558
「総勢110名の作家による、絵画、彫刻、版画、素描、写真、デザイン、映像など150点あまりの作品で34のトリオを組み、それをテーマやコンセプトに応じて7つの章に分けて紹介することで、20世紀初頭から現代までのモダンアートの新たな見方を提案し、その魅力を浮かびあがらせます。」ということで、20世紀前半が対象に含まれていることは間違いありませんが、まだ全貌が明らかになっておらず、期待できるのかどうかがよくわかりません。
今後の情報を待ちましょう。
20世紀後半の美術についての展覧会企画ですが、あえてご紹介します。
次の展覧会が開催中です。
オチ・オサム展
福岡市美術館
2024年1月24日(水)〜3月24日(日)
https://www.fukuoka-art-museum.jp/exhibition/ochi_osamu/
(チラシも出品作品リストも掲載されていて、さずがです。)
「九州派」のメンバーとして活動したオチ・オサム(1936-2015)の作品・資料約180点を紹介、ということで、楽しみな内容。場所が近ければ、ぜひ行きたいところです。
残念ながら、関東や関西へは巡回しないんでしょうね。
担当学芸員は忠あゆみさんです。
ところで、九州の20世紀前半の前衛的な写真と言えば「ソシエテ・イルフ」で、この忠あゆみさんの企画が数年前に開催されたばかりですが、まさか、九州の20世紀前半の前衛的な写真は、それだけではないでしょう? 戦前に、福岡県(というか福岡市)以外に、写真撮影をしていた人がいなかったはずはなく、九州内の各県に、写真倶楽部が存在していても全く不思議ではありません。そういった戦前の活動や写真作品についての調査、研究、掘り起こしが、九州各県の県立美術館等で進められているのでしょうか? それとも美術館による動きは皆無なのでしょうか? ぜひ、そういった調査、研究、掘り起こしを進めていただきたいところです。そろそろ、本当に資料が発見できない状態になってきていると思いますので、時間的には限界ではないでしょうか。
自分では何もしていないくせに、焦りを感じてきています。
よろしくお願いいたします。
以前に、次の本をご紹介しました。(No.2076)
戦後日本の抽象美術 具体・前衛書・アンフォルメル
尾崎信一郎
思文閣出版
2022年
その際は、冒頭から「戦後が対象であり」というようなご紹介をしましたが、実物を見たところ、次のような、戦前をも対象とする、非常に興味深い論考が掲載されていました。
・吉原治良と写真の視覚
[初出書誌]「吉原治良研究論集」吉原治良研究会 2002年
この論文では、「本論において、私は吉原治良の画業に関してこれまでほとんど論じられることのなかった一つの側面に注目したいと考えた」と着眼についての自信のほどをうかがわせる記載もあります。
戦前には、中山岩太や芦屋カメラクラブとの接点があり、吉原自身も多くの写真を撮影しそれが遺されていると。
また、戦前では、写真を制作のためのモデルに用いた(デノタシオン)ということから、戦後の写真のメディアとしての活用(『具体』誌という装置、写真というシステムのコノタシオン)についても解析があります。
ただ、筆者もご認識のとおり、「試論」的な側面が強く、今後の、ご本人または他の研究者による今後の深化を期待します。
ところで、実は、当方は、近年大阪(大阪中之島美術館と国立国際美術館)で開催された「具体展」を見たときに、強く思ったのですが、吉原治良は、徹底して写真というメディアを作品に使わなかった、また、メンバーにも使わせなかった、そして、それはなぜだろうかと。おそらく、写真に「美術(作品)性」を見ていなかったのであろうと考えていました。
確かに、写真や(映画)フィルムの、「具体」の活動の記録を目的とした利用に限られています。いずれにしても、写真は作品ではなく、吉原や仲間たちの作品の外に存在し、作品のために参照・活用するものだ、という認識であったのだろうと思います。
ただ、それはそれとして、論文の中に記載のあった、吉原治良の写真作品、それも戦前の作品が多く遺されているという話(上記のとおり)は驚きです。吉原治良の戦前の写真作品の写真展の開催を望みます。吉原ご本人からすれば(もう亡くなってはいますが)、それは「作品」ではなく不本意ということになるのかもしれませんが、そのまま置いておくのは大変もったいない。開催館としては、その資料を多く保存しているという芦屋市立美術博物館にてぜひお願いしたいと思います。さらに、無理かもしれませんが(最近の全体的な傾向であればすでに無理でもないかもしれません)、吉原治良旧蔵資料(写真雑誌・美術雑誌類など)も併せて展示していただけるのであれば、なおさら面白いと思います。
2024年度の展覧会の情報が少しずつ出てきていますが、パウル・クレー展があるそうです。
久しぶりですね。
愛知県美術館に巡回するそうですが、東京や大阪は?
愛知県美術館:2025/1/18-3/16 パウル・クレー展 創造をめぐる星座
なお、愛知県美術館では、1993年にもクレー展があったようです。
https://www-art.aac.pref.aichi.jp/exhibition/000188.html
さらに、宮城県美術館では2006年にクレー点があったようです。
https://www.pref.miyagi.jp/site/mmoa/exhibition-20061017-s01-01.html