「日本写真史 写真雑誌 1874-1985」について、いくつか新しい情報が出てきました。
まず、2024/02/26発売、だそうです。
目次等です。
第1部 近代化時代の芸術写真
第1章 黎明期の写真 ピクトリアリズムとアマチュア写真クラブ
第2章 戦前 芸術写真からプロパガンダ写真まで
第2部 新たな国の新たな写真
第3章 戦後 写真雑誌の再始動
第4章 1950年代?60年代中期 リアリズムと世代間の軋轢
第3部 マスメディア時代における写真
第5章 1950年代中期-70年代中期 編集作業からアートワークへ
第6章 1960年代後期-70年代初期 激動の時代
第7章 1930年、60年代中期-70年代後期 協力と抵抗
第8章 1960年代後期-80年代中期 独立系ギャラリーと分断された共通意識
写真家リスト(抜粋 / 掲載順)
福原信三、淵上白陽、塩谷定好、野島康三、安井仲治、中山岩太、植田正治、土門拳、濱谷浩、木村伊兵衛、東松照明、大辻清司、奈良原一高、長野重一、川田喜久治、細江英公、立木義浩、荒木経惟、高梨豊、中平卓馬、篠山紀信、森山大道、倉田精二、深瀬昌久、沢渡朔、牛腸茂雄、石元泰博、北井一夫、藤原新也、須田一政、土田ヒロミ、畠山直哉
雑誌リスト(抜粋 / 掲載順)
『写真例題集』『写真芸術』『白陽』『カメラ』『芸術写真研究』『フォトタイムス』『光画』『NIPPON』『アサヒカメラ』『カメラクラブ』『FRONT』『アサヒグラフ』『カメラ毎日』『VOU』『ロッコール』『写真サロン』『カメラ芸術』『日本カメラ』『フォトアート』『太陽』『季刊写真映像』『Provoke』『遊』『現代の眼』『カメラ時代』『週刊アンポ』『朝日ジャーナル』『地平』『写真装置』『cameraworks tokyo』『FOCUS』『写真時代』
詳しい目次が平凡社のページに掲載されているのですが、画像ファイルなので文字でコピーができません。どうして、目次くらい文字であげていただけないのでしょうか?
https://www.heibonsha.co.jp/book/b639160.html
以下戦前の部分だけです。
目次
8 序文 日本の写真雑誌文化 文:アイヴァン・ヴァルタニアン
22 第1部 近代化時代の芸術写真
24 第1章 黎明期の写真 ピクトリアリズムとアマチュア写真クラブ
26 セクション1 アマチュア写真家と雑誌投稿|1874-1925
28 黒川翠山<雨後山路(京都比叡山東塔)>『写真例題集』第27巻(1906年8月1日)
30 榊原青葉<朝の海(尾張成岩町北江口)>『写真例題集』第53巻(1907年9月1日)
31 木村喜代次郎<霧の朝(丹波園部)>『写真例題集』第50巻(1907年7月15日)
32 福原信三<巴里とセイン(其三)>/鈴木廣太郎<夏>『写真芸術』1921年8月号(第1巻第3号)
33 大田黒元雄<新橋停車場><横浜山下町>『写真芸術』1921年9月号(第1巻第4号)
34 セクション2 消費される戦争イメージ
35 『日清戦争実記』第7編(1894年10月29日)
36 「清国軍港旅順口之全景」『日清戦争実記』第3編(1894年9月19日)
38 「朝鮮京城凱旋式之図」『日清戦争実記』第2編(1894年9月10日)
40 『日露戦役写真帖』第3巻臨時増刊号(1904年12月1日)
41 『日露戦争実記』第49編(1905年1月13日)
42 論考|撮影と公表の狭間:日清戦争の戦場写真の流通と掲載 文:添野勉
次の本が刊行されています。
東京工芸大学創立100周年記念 写真から100年
吉野 弘章・編著
クレヴィス
2023/11発売
価格 ¥3,300(本体¥3,000)
非常に興味深い本です。
ただ、このスレの視点で考えると、2023年の時点で「100周年」であれば、戦前の時期が含まれていることは間違いありませんが、戦前を対象とした部分が、もしかしたらわずかではないかという懸念があります。そうだとしても、この本の価値が下がるわけではありませんが。
実物を見て、確認いたします。
後日、またご紹介できればと思います。
次の本が刊行されています。
インタビュー日本の現代写真を語る
金子 隆一・著/飯沢 耕太郎・編著
梓出版社
2023/12発売
価格 ¥2,970(本体¥2,700)
聞き手は飯沢耕太郎さんが主のようです。
以下、目次です。
1 全日本学生写真連盟と、写真に関わる生き方
2 自主運営ギャラリー・プリズム
3 つくば写真美術館が残したもの
4 『日本写真全集』と美術館オープン前夜
5 東京都写真美術館1 異色の学芸員
6 東京都写真美術館2 写真の保存について
7 東京都写真美術館3 存在感のある美術館へ
20世紀前半の写真そのものとは言えないかもしれませんが、「つくば写真美術館」、「日本写真全集」、「東京都写真美術館」など、注目すべき内容ですので、ご紹介しました。
日本写真史の現在を見ようとする者にとっては必読と言ってもいいのではないでしょうか。実物を早く見てみたいものです。
No.2094において、『シュルレアリスム宣言』100年 シュルレアリスムと日本、の展覧会について、「展覧会では「写真」は取りあげられていないようですので」と書いてしまいましたが、これが間違いであったことがわかりましたので、申し訳ありませんが訂正です。
まず、現在開催中の京都文化博物館のサイトに行きます。
https://www.bunpaku.or.jp/exhi_sogo_post/20231216-20240204/
すると、出品目録をダウンロードできます。
https://www.bunpaku.or.jp/wp-content/uploads/2023/07/surrealismJP_mokuroku.pdf
その中に、「第5章 写真のシュルレアリスム」があり、11作品と2資料が含まれています。11作品の作者は、山本悍右(勘助)(2点)、久野久(1点)、植田正治(1点)、天野龍一(2点)、平井輝七(2点)、坂田稔(2点)、下郷羊雄(1点)で、資料は『夜の噴水』が2点です。
本当は、出品目録の該当ページをコピーして文字列としてそのまま貼り付けたかったのですが、コピーすると表形式が壊れてしまうので、やむを得ず、画像でアップしておきます。
それにしても、11点というのは、あまりに少なすぎます。対象としても、瀧口修造関係の「前衛写真協会」が全く除外されていることは、並行して企画が走っているので、やむを得ないことなのかもしれませんが、除外しているということそのものがこの企画に写真を含めたことを無効化するように思います。結論としては、この「第5章」は展示に含める意味がなかったのではないかと思います。
他方、書籍のほうはまだ十分に中身を確認することができておりませんので、それができた時点で、あらためてご紹介したいと思います。
なお、京都文化博物館では、同時に以下の企画も開催中ですので、訪問なさる方は、こちらも忘れずに。
シュルレアリスムと京都
2023.12.23(土) 〜 2024.2.18(日)
会場: 京都文化博物館 2階総合展示室
https://www.bunpaku.or.jp/exhi_sogo_post/20231223-0218/
https://www.bunpaku.or.jp/wp-content/uploads/2023/07/SurrealisminKyoto_list.pdf
取りあげられている作家は、北脇昇、小牧源太郎、今井憲一、伊藤久三郎、松崎政雄の5人(戦後の作品も含む)。
次の本が刊行予定です。
日本写真史 写真雑誌 1874-1985
金子 隆一 編著
戸田 昌子 編著
アイヴァン・ヴァルタニアン 編著
平凡社
22,000円(税込)
2024年2月下旬刊行予定
ISBN 9784582231335
Cコード・NDCコード 0072 NDC 740.21
判型・ページ数 A4 500ページ
https://www.heibonsha.co.jp/book/b639160.html
黎明期から戦時プロパガンダ、戦後ドキュメンタリー、マスメディアまで、写真家400名以上、雑誌80冊以上を網羅。日本写真史の決定版。
次のページによると、内容についてさらに以下の通り。
https://www.fukkan.com/fk/CartSearchDetail?i_no=68335052
商品内容
日本の近現代写真史の決定版、ついに登場!
1880年から100年間の日本写真史を「雑誌」媒体から編年体で紹介。500頁を超える大著にして、「日本写真史」の決定版!
カメラ雑誌、ジャーナル誌、総合雑誌、カルチャー誌、同人誌など、あらゆる“写真雑誌”を読み解き、日本の写真表現の歴史を通覧する。
▼写真家リスト
福原信三
立木義浩
淵上白陽
荒木経惟
塩谷定好
高梨豊
野島康三
中平卓馬
安井仲治
篠山紀信
中山岩太
森山大道
植田正治
深瀬昌久
土門拳
沢渡朔
濱谷浩
牛腸茂雄
木村伊兵衛
石元泰博
東松照明
北井一夫
大辻清司
藤原新也
奈良原一高
須田一政
長野重一
土田ヒロミ
川田喜久治
畠山直哉
細江英公
▼雑誌リスト
「写真例題集」
「白陽」
「カメラ」
「芸術写真研究」
「フォトタイムス」
「光画」
「NIPPON」
「アサヒカメラ」
「カメラクラブ」
「FRONT」
「アサヒグラフ」
「カメラ毎日」
「VOU」
「ロッコール」
「写真サロン」
「カメラ芸術」
「日本カメラ」
「フォトアート」
「太陽」
「季刊写真映像」
「Prvoke」
「遊」
「現代の眼」
「週刊アンポ」
「朝日ジャーナル」
「地平」
「写真装置」
「cameraworkstokyo」
「FOCUS」
「写真時代」
================
引用は以上で終了ですが、対象の期間は110年余りと非常に長く、写真家や写真雑誌のリストを見る限り、どこに焦点があるのか、または、写真家に焦点を置いているのか雑誌に焦点を置いているのかもよくわかりません。500ページというページ数も多いことは多いのですが、雑誌のページをいちいち復刻しているというほどの量でもないようで、どのような内容なのかわからないことだらけです。
ということで、実物を早く見たいものですが、大変困ったことにこの本は非常に高価なので、書店で見ることはまずかなわず、公立図書館でも、例え都道具県立レベルであっても、ほとんど所蔵してくれないのではないかと懸念いたします。これでは、自分で購入しないと目にすることができないのではないかと心配する次第です。
そういう意味でも、このような目にすることが難しそうな本については、目次や一部ページなどの詳細な内容をネット上で紹介(公開)していただきたいところです。刊行した出版社であれば、いくらでも可能だと思います。ましてや、平凡社のような大出版社であれば、なおさらです。
このような本を目の前にすると、公立図書館は、高価な本を提供することに使命があるのか、それとも、安価な本を提供することに使命があるのか、と疑問を感じます。後者をしなくてもいいということではありませんが、個人的には、前者のほうにより重点を置くべきではないかと思います。高価な本は、自分ではなかなか購入できないので、公立図書館を利用しようとする人が多いでしょうから。しかし、実際にはそうなっていないのではないかと思います。もし、高価だからという理由で公立図書館に購入してもらえないというのならば、実物を見ることを諦めるか、自分で購入せざるを得ない、そうだとしたら、高価な本こそ(公立図書館が所蔵してくれないから)個人が購入せねばならないという、逆説的な状況が生じることになりません。
そして、「おそらく、(自分の住む市長村の公立図書館では無理でも)どこかの公立図書館(特に都道府県レベル)が所蔵してくれるだろう」と期待していたら、これは、単なる勝手な「期待」のみですから、かなうとは限りません。各公立図書館も、高価なので、どこか他の(都道府県立レベルの)公立図書館が所蔵してくれるのではないかと、購入を見合わせて、様子を見ているうちに、容易に行くことができるくらい近くの公立図書館に所蔵されることがなく、「相貸」も困難となり、結局国立国会図書館か美術館の図書室に行かないと閲覧すらできないということになるのではないかと心配しています。そんなことになっては大変困るのです。
以前も書いたような気がしますが、高価な書籍や高価でなくとも雑誌の場合には、それぞれの公立図書館が単独で購入するかどうかを判断することは避けて、複数の公立図書館で連携や分担をしていただいて、少なくとも1つの都道府県の中で、所蔵の「取りこぼし」がないようにしていただきたいところです。どんな本や雑誌でも、「国立国会図書館が所蔵しているからいいでしょ」では借りることもできず(相貸もできず)、(場合によっては)行くこともできず、結局その本や雑誌を見ることもできないという結果になって、極めて困るのです。特に昔の本や雑誌の場合には、そうなる傾向が強いので、個々の公立図書館単独での判断による廃棄(除架)も避けていただきたいところです。少なくとも、1つの都道府県内で分担し、本・雑誌の分野や種類ごとに、ある公立図書館が責任をもって永久に所蔵し続けるという体制・システムが必要だと思います。
どうかどうかよろしくお願いいたします。