もう始まってしまいましたが、次の展覧会に注目です。
『シュルレアリスム宣言』100年 シュルレアリスムと日本
京都文化博物館
2023.12.16(土) 〜 2024.2.4(日)
https://www.bunpaku.or.jp/exhi_sogo_post/20231216-20240204/
その展覧会カタログに該当するであろう書籍も刊行予定です。
『シュルレアリスム宣言』100年 シュルレアリスムと日本
青幻舎
定価: 2,970円(本体2,700円)
編著: 速水豊(三重県立美術館館長)
弘中智子(板橋区立美術館学芸員)
清水智世(京都府京都文化博物館学芸員)
アートディレクション: LABORATORIES
判型: B5変
総頁: 304頁
製本: 並製
ISBN: 978-4-86152-941-2 C0070
https://www.seigensha.com/books/978-4-86152-941-2/
基本構成
序章 シュルレアリスムの導入
第一章 先駆者たち
第二章 衝撃から展開へ
第三章 拡散するシュルレアリスム
第四章 シュルレアリスムの最盛期から弾圧まで
第五章 写真のシュルレアリスム
第六章 戦後のシュルレアリスム
寄稿
■詩の動向
何が「日本の」シュルレアリスムか 永井敦子(上智大学教授)
■地域別のシュルレアリスム
名古屋のシュルレアリスム 副田一穂(愛知県美術館主任学芸員)
九州とシュルレアリスム 林田龍太(熊本県立美術館学芸普及課長)
■東アジアにおける影響
中国の「超現実主義」と外山卯三郎 倪貽徳によるシュルレアリスム絵画理論の翻訳をめぐって 呉 孟晋(京都大学人文科学研究所准教授)
■日本画とシュルレアリスムの関わり
シュルレアリスムと「日本画」 菊屋吉生(山口大学名誉教授)
■忘れてほしくない作家たち
忘却からの召喚——作品の現存しない画家たちをめぐって 大谷省吾
以上ですが、以下何点か。
まず、本の編者の3人のうちのお二人、弘中智子さん(板橋区立美術館学芸員)・清水智世さん(京都府京都文化博物館学芸員)は、以前ご紹介した「さまよえる絵筆」(みすず書房)のお二人ですね。
そして、残りの1人、速水豊さん(三重県立美術館館長)は、「シュルレアリスム絵画と日本 イメージの受容と創造」 (NHKブックス、2009年刊行)の著者です。
うなります。
(なお、これは、展覧会が板橋区立美術館と三重県立美術館にも巡回されるということを意味しているのでしょうか?)
そして、特に「第五章 写真のシュルレアリスム」。実は、展覧会では、この部分はあまり取り扱われていない可能性があるのですが、どういう内容なのかが気になります。懸念するのは、よくある、瀧口修造や前衛写真協会を中途半端に取り上げて終わりにしているのではないかということです。
最後に「寄稿」のテーマが、地域別で、「九州とシュルレアリスム」、そして、中国の超現実主義とは!!
展覧会に足を運べるかは疑問ですが、書籍は見ることができるでしょう。
強く期待しております。
安井仲治展が開催されていますが、実は、同時期の日本の写真家でも、個展がほぼ開催されていない「大物」が残っているのです。次に期待するのは、次の2つの展覧会です。
・小石清展
・淵上白陽展
前者は、「大回顧展」という意味の企画は、30年以上開催されていないでしょう。関西の美術館で、ぜひとも近いうちにお願いしたいと思います。
後者は、名古屋市美術館の竹葉丈さんによる
・構成派の時代 初期モダニズムの写真表現/名古屋市美術館/1992年
・異郷のモダニズム/名古屋市美術館・毎日新聞社/1994年
・平成18年度: 淵上白陽研究 : 写真画集『白陽』解題 : 時代と表現/竹葉丈、名古屋市美術館研究紀要14巻/2006年
・異郷のモダニズム - 満洲写真全史/竹葉 丈・編著/国書刊行会/2017年
でほぼカバーされているのではないかと思いますが、それを1本にまとめ上げていただければいいわけです。
どうぞよろしくお願いいたします。
先に、えらそうに、「瀧口修造の前衛写真論の危うさ」などと書いてしまいましたが、もう少し分かりやすく、目に見えるような形を求めるとすれば、次のような本が刊行されないものか、というところです。展覧会(写真展)企画でも結構なのですが。
・瀧口修造が考えていたであろう「前衛写真」写真集(写真展)
どうぞよろしくお願いいたします。
もう終わってしまいましたが、パリ・フォト2023にMEMが出展していました。
内容は以下のとおりです。
MEM ブース B08
会期|2023年11月9日−12日
会場|Grand Palais Ephémère (Champ-de-Mars, Place Joffre 75007 Paris)
出展作家
音納捨三、小林祐史、椎原治、高橋渡、中山岩太
https://mem-inc.jp/2023/11/09/paris-photo-2023/
ネット上はこれ以上情報がないようですので残念ですが、出展作家を見るだけでも、恐るべき内容です。これを生かした国内での企画を今後期待したいと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
すでに何回かご紹介している安井仲治展、デ・キリコ展ですが、新しい情報を発見しましたので、ご案内します。
<安井仲治展>
・愛知県美術館:
https://www-art.aac.pref.aichi.jp/exhibition/000409.html
「展示作品のうち一部をご紹介します」という部分が追加されて、3点の作品が掲載されています。しかし、展示作品リストは掲載されていません。
・兵庫県立美術館
安井仲治展の特設ページが公開されています。「展示構成」は、別のページになっています。
https://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/t_2312/
https://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/t_2312/detail.html
展示作品リストは公開されていませんが、会期前ですからまだ無理でしょう。今後に期待します。
なお、いずれリンクができるのでしょうが、現時点では、この美術館の「年間スケジュール」の「安井仲治展」の部分から、この特設ページへとリンクが張られていないので不便です。
https://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/
<デ・キリコ展>
巡回先と期日がわかりました。神戸市立博物館(現在休館中)です。2会場をまとめますと、以下の通り。
東京都美術館:会期:2024年4月27日(土)から8月29日(木)
神戸市立博物館:会期:2024年9月14日(土)から12月8日(日)(予定)
他の会場へのさらなる巡回はないのか。2か所が限界ですかね?
なお、デ・キリコ展のサイトは更新されており、作品図版などが追加されていますが、一番下に小さくこの巡回先が掲載されています。これで、見つけられるのかな? 当方の場合、この部分の記載は発見することができず、巡回先を検索してしまいました。
それで発見できたのだから、結果的に検索したことは間違っていなかったともいえそうです。しかし、検索に頼ってしまうということは、方法・手段としては簡単なので、そうしてしまいがちですが、必ずしも「賢い」ことではありません。他方、何でもかんでも検索しなくては発見できないという状態は、望ましいことではありません。例えば、今回割とすぐに求めていた情報を発見できたからよかったのですが、なかなか発見できない、しかも、特にそのような情報が現時点では存在するかどうかがわからない場合、際限なく時間を消費してしまうおそれすらあります。
情報を出す側も、「どこかには情報を掲載してあるのだから、それでいいだろう。」という考え方になっていないでしょうか?。
今回のケースに即して書けば、望ましい状態は、デ・キリコ展のサイトさえ見れば、デ・キリコ展のすべての情報を見ることができる、しかも新しい情報については、すぐに気付くことができるようになっている、ということです。今後の情報、例えば、出品作品の紹介、展覧会図録の紹介や展示作品リストなどは、このサイトにて提示していっていただきたいものです。そして、以前にも書いたことですが、最終的な希望としては、展覧会終了後も、このような「展覧会サイト」を半永久的に生かしていただきたい(または、閉鎖せざるをえないというのであれば、その際に、開催館のサイトに内容を移設していただきたい)と思っています。
よろしくお願いいたします。