No.2137において、「今後も開催される可能性が低い企画」のうち、古典(回顧展)として、次の3つを挙げていました。
・マレーヴィチ展
・グリス展
・タンギー展
これに対して、個展(回顧展)として、次の3つを追加したいと思います。
・アメデエ・オザンファン展
・カルロ・カッラ展
・ピエール・ロワ展
1人目は「キュビスム」の範疇で、2人目は「未来派」の範疇で、3人目は「シュルレアリスム」の範疇で、それぞれ紹介されることが多いのですが、特に最初の2作家はその範囲にはとどまりません。
オザンファンは、以前ご紹介した2019年の「国立西洋美術館開館60周年記念 ル・コルビュジエ 絵画から建築へ―ピュリスムの時代」の中で若干取りあげられていたのですが、不十分でした。
https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/2019lecorbusier.html
「出品作品リスト」を確認することができます。
https://www.nmwa.go.jp/jp/exhibitions/pdf/2019lecorbusier_list.pdf
また、カッラは、未来派だけでなく、むしろ、形而上絵画を取りあげていただきたいところです。デ・キリコと比較してみることが必要でしょう。さらにその後の、プリミティブな表現の時期も面白いと思います。
デ・キリコは、「形而上絵画」を時期を離して再三再四描いており、いわば「形而上絵画」に一生囚われていたのだと思いますが。これに対して、カッラの場合、「形而上絵画」を、言い方は悪いかもしれませんが、さっさと捨て去り、その舞台からは降りてしまいました。したがって、その後、アンドレ・ブルトンやシュルレアリスムのメンバーとの接点もあまりなかったのではないかと思います。そういった点も含めて、カッラにおける形而上絵画の意味、役割等について大きく取り上げ、論じていただきたいと思っています。
最後のピエール・ロワ(または、ピエール・ロア)は、以上の2人に比べても、さらにマイナーと言えますから、日本での展覧会(個展・回顧展)企画、書籍刊行は、ほぼ不可能でしょう。母国のフランスを含めて、海外でも、今まで展覧会、書籍ともほとんど存在しないのではないかと思います。しかし、実は、シュルレアリスム運動の最初期から、その作品はシュルレアリスムとして評価されていたのです。にもかかわらず、理由は不明ですが、マイナーな存在にとどまっています。残念なことです。もしかすると、情報が不足しているからかもしれません。確かに、ネット上でも、ピエール・ロワについての情報が、まとまっては存在しないようです。Wikipediaでも(外国語版を含めて)、たいした情報はないようです。
なお、Googleの画像検索などでは、彼の作品(と思われるもの)が多数発見できますので、お試しください。
以上、よろしくお願いいたします。