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開催してほしい展覧会(20世紀前半篇)

家族写真の歴史民俗学(2148)

次の本が刊行されているようです。

 

家族写真の歴史民俗学

川村 邦光

価格 ¥4,180(本体¥3,800

ミネルヴァ書房(2024/11発売)

A5376ページ

 

以前にも同じことを書いたかもしれませんが、写真史の対象は、すでに以前よりもかなり拡大してきており、今後もさらに拡大していくでしょう。

拡大の対象としては、写真家とは呼べない人たちによる写真作品、ということになるでしょう。まずは、画家、ジャーナリストなど著名な人々による写真、というカテゴリーが挙げられます。さらに、全く著名性のない、市井の人々による日常的な写真作品が、すでに写真史の対象となってきており、その例が、今回ご紹介する本です。個人的には、遅ればせながらとうとう出たな、という感じを持っており、写真史研究の「裾野の広がり」を示していると考えています。

ミネルヴァ書房という、写真史とはあまりなじみのない出版社からの刊行という点も、非常に興味深いと思います。

 

目次は以下のとおりです。

 

序 章 鶴見良行の家族写真論から

 1 山田太一『岸辺のアルバム』の家族写真

 2 家庭写真の歴史主義の時代と芸術主義の時代

 3 家族写真と遺影

 4 東日本大震災のなかの家族写真

 

 第Ⅰ部 家族写真の来歴と展開

 

第一章 欧米の家族写真

 1 家族肖像画から家族写真へ

 2 家族写真の構図とスタイル

 3 聖母子像と聖家族像の近代

 コラム1 家族写真にみる故人物語――夏目漱石

 

第二章 日本の家族写真の来歴

 1 日本人と写真の出会い

 2 日本最初の夫婦写真

 3 日本における初期の家族写真

 4 幕末・維新期の家族写真

 コラム2 家族写真にみる故人物語――与謝野晶子

 

第三章 日本の家族写真の展開

 1 近代日本の定型的な家族写真スタイル

 2 権威的な威信財と家族写真

 3 戦争期の写真時代

 コラム3 家族写真にみる故人物語――斎藤茂吉(1

 

第四章 家族写真の変容

 1 日本における親子写真

 2 子供を中心にした写真へ

 コラム4 家族写真にみる故人物語――斎藤茂吉(2

 

第五章 子供写真と家族写真の存続

 1 子供写真のスタイル

 2 アマチュア・カメラマンのスナップ写真

 3 フォーマル/インフォーマルな写真体験

 コラム5 家族写真にみる故人物語――柳田國男(1

 

 第Ⅱ部 家族写真の写す社会と個人

 

第六章 天皇の家族写真

 1 翻身する天皇とモーリス - スズキの家族写真論

 2 戦中と敗戦後の天皇家族写真

 3 天皇家族写真の現在と行方

 4 原爆と家族写真

 コラム6 家族写真にみる故人物語――柳田國男(2

 

第七章 アマチュア写真家のスタイル――塩谷定好の抒情派子供写真

 1 山陰のアマチュア写真家・塩谷定好

 2 塩谷の写真技法と海辺の光景

 3 塩谷の子供写真

 コラム7 家族写真にみる故人物語――塚本博利

 

第八章 ドキュメンタリー家族写真――社会生活派の影山光洋

 1 社会派カメラマン・影山光洋

 2 敗戦前後の影山家の日々と家族写真

 3 家族物語と国家物語、そして亡児の故人史

 4 影山の家族写真スタイル、故人物語から故人史の編集へ

 コラム8 東アジアの家族写真――台湾

 

第九章 家族写真のアート化と変貌

 1 深瀬昌久の反家族写真

 2 福島菊次郎のドキュメタリー反権力家族写真

 コラム9 東アジアの家族写真――韓国(1

 

第十章 家族写真スタイルの現在と諸相――多様化/複数化

 1 家族の危機と家族の絆の家族写真

 2 家族の絆の現状

 3 年賀状の家族写真

 4 展示される家族写真

 5 発掘される家族写真――過去/未来への記憶の共同体を構築する

 コラム10 東アジアの家族写真――韓国(2

 

終 章 故人史を妄想する

 1 懐旧的/予期的歴史化による物語創出

 2 未完の故人史へ

 

参考文献

あとがき

人名索引

事項索引

===========

 

目次は以上です。

目次だけでワクワクします。この本も実物を早く見たいものです。

なお、著者の川村邦光というかたは、大阪大学名誉教授で、ご専門は写真史や美術ではなく、むしろ、宗教学、文化(人類)学、民俗学などのようです。

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HN:
Akihoshi Yokoran
性別:
非公開

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