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開催してほしい展覧会(20世紀前半篇)

日本の未来派・ダダ展(1898)

夏休みで1週あいてしまいました、すみません。

 

先に「日本の形而上絵画展」を提案しましたが、その結果、20世紀前半の時期で、「日本の○○展」で残っているのは、「日本の未来派・ダダ展」でしょうか。

 

大正期新興美術運動として、五十殿利治さん関係でかなり資料は出しておられますが、総ざらいをした展覧会は開催されていないのではないでしょうか? ここ30年で研究が著しく進んだ村上知義・柳瀬正夢も含めて、この機会にすべてを振り返り、一気に企画化? 実現したら、夢のような話ですね。

 

ただ、ここでやはりきちんと考えねばならないのは、日本における未来派とダダとの関係です。未来派美術協会、アクション、MAVO、第一作家同盟(DSD)から三科造形美術協会へ、という流れから考えると、日本における未来派とダダは分化していないように見えます。それに、「構成主義」も少なくとも一部はここに入ってくるでしょう。このような未分化状態は、単純に「日本的な特質」とだけで片づけないで、より深く検討すべきです。ただ、この辺の考察は、五十殿さんの大著(大正期新興美術運動の研究、スカイドア 1995。大正期新興美術資料集成、国書刊行会 2006)ですでになされているのでしょうね。勉強しなおします。

 

また、この流れで個人の回顧展ができないだろうかと考えると、ひさびさに「神原泰」展か「中原実」展、または、今まで開催されていないと思いますが(すなわち現存作品が極端に少ないということでしょう)、「普門暁」展、「木下秀一郎」展もいいですね。いずれも、開催されてしかるべきでしょう。ただ、個展をするのならば、それよりも前に、グループ展ですかね、未来派美術協会、アクション、MAVO、第一作家同盟(DSD)、三科造形美術協会。

 

なお、この関係で、以前にご紹介したことのある「前衛誌(日本編) 未来派・ダダ・構成主義」(2分冊、西野嘉章――著/東京大学出版会/2019年)ですが(前衛誌 日本: 未来派・ダダ・構成主義(1848「前衛誌 日本編」について(1852)、値段が高すぎて(60500円。なお2016年の「海外編」は42900円)、ほとんどの公立図書館では所蔵していない状況です。今回見てみたいと思ったのですが、簡単には参照することができず、大変困りますね。こういう本は、いったいどうしたら、多くの人の目に触れるようにできるのでしょうか? 「全5巻」とかにして、1冊当たりの値段を下げる? 公立図書館として購入するならば、結局全巻購入しなければならないので負担せねばならないという意味の費用総額はへらないですし(分冊にするとかえって高くなりそうです)、巻が分かれると利用者としてはまとめてみることに手間がかかるようになるので(例えば、近くの公立図書館に所蔵されていれば5冊でも大して違いないかもしれませんが、近くの図書館に所蔵がなく、都道府県立図書館から「相貸」になるとしたら、5冊まとめて相貸は極めて大変です)、あまりいいアイデアではなさそうです。今の状態のままで、ごく限られた研究者のみが見ればいい、すなわち大学とか美術館など専門的な研究機関のみが所蔵すればいいと、諦めるしかないのでしょうか?

 

なお、今回の内容に関連して、「日本のダダ」と写真(1849もご参照ください。

 

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