いきなり、チラシに、(当方が大好きな)安井仲治の「斧と鎌」(1931年)が掲載されていて驚きました。
次の展覧会が、昨日始まりました。
BUTSUDORI
ブツドリ:モノをめぐる写真表現
滋賀県立美術館
2025年1月18日(土)~3月23日(日)
主催:滋賀県立美術館、京都新聞
特別協力:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都写真美術館
協力:東京国立近代美術館
助成:公益財団法人DNP文化振興財団
開館40周年記念ということです。所蔵品中心の企画ではないので、入場料は、一般で1200円もします。しかし、展示作品は200点以上ということですので、この入場料に見合う内容だと予想できます。「モノ」というテーマに絞られていますが、実際には、以下の出展作家のリストを見ればわかるように、写真表現約200年を追う「小写真史」的な内容になっています。他館に巡回してもいいような充実した内容であることが期待できます。
https://www.shigamuseum.jp/exhibitions/6277/
https://www.shigamuseum.jp/events/9497/
出展作家は、以下のとおりです。
(50音順・敬称略)
石内都、入江泰吉、岩宮武二、植田正治、潮田登久子、大辻清司、小川一眞、小川晴暘、オノデラユキ、恩地孝四郎、金丸重嶺、川内倫子、木村専一、後藤敬一郎、今道子、堺時雄、坂田稔、坂本万七、塩谷定好、島霞谷、島村逢紅、下郷羊雄、鈴木崇、高田皆義、高山正隆、冨永民生、土門拳、永田一脩、中山岩太、名取洋之助、野島康三、福田勝治、藤井保、藤本四八、淵上白陽、ホンマタカシ、安井仲治、安村崇、山沢栄子、山本悍右、山本牧彦、横山松三郎、吉崎一人、渡辺淳
なお、本展の企画は、芦髙郁子さんです。
シンポジウムも開催され、光田ゆりさんも登場なさいます。
最後に、ウエブサイトには出品作品リストが出ていないようですが、今後公開されるということですので期待しています。
No.2142でMEMのParis Photo 2024の企画について書きましたが、その際に期待していたように「帰国展」のような企画が年明け早々から開催されています。
名古屋:前衛写真の系譜 1930〜50年代
坂田稔、後藤敬一郎、高田皆義、田島二男、服部義文、山本悍右
会期|2025年1月7日(土)-26日(日)
会場|MEM map
時間|13:00 – 19:00 [1月26日はトークイベントのため14:00〜17:00は通常観覧できません。]
定休|月曜日 (月曜日が祝休日の場合は開廊し、翌平日休廊)
電話|03-6459-3205
https://mem-inc.jp/2025/01/07/nagoya30-50/
(作品図版も4点掲載あり)
ウエブページに掲載されている4点の作品を見るだけで、おそるべき企画であることがわかります。
しかも、次のような対談も開催されます。
対談企画「沈黙か転向か-前衛の戦前/戦後」
日 時|1月26日(日)15:00〜
登壇者|竹葉丈(名古屋市美術館学芸員)、弘中智子(板橋区立美術館学芸員)
会 場|MEM
参加費|1200円
定員20名・要予約
※対談はライブ配信、およびアーカイブ動画の配信も行います。[配信期間 2025/1/27–2/28]
竹葉丈さんはご紹介するまでもありませんが、弘中智子さんは、写真というよりはむしろ前衛絵画系の研究者で、『さまよえる絵筆』(弘中智子・清水智世・編、みすず書房、2021年)や『『シュルレアリスム宣言』100年 シュルレアリスムと日本』(速水 豊/弘中 智子/清水 智世・編著、青幻舎、2024年)などの企画者・編者でもあります。
非常に期待できる内容です。当方の関心に沿ってあえてタイトルを書き直せば、「断絶か継承か-前衛の戦前/戦後」ですかね。
また、カタログ(冊子)も刊行しないだろうか、と期待しています。
ぜひよろしくお願いいたします。
(つづき)
過去の「5大ニュース」は以下の通りです。今回で21年目になりました。
2023年:2094(2024年1月7日)
2022年:2039(2023年1月1日)
2020年:1916(2021年1月3日)
2018年:1779・1780・1781(2018年12月31日)
2017年:1689~1692(2018年1月7日)
2016年:1549~1552(2017年1月2日)
2015年:1420~1423(2016年1月3日)
2014年:1219・1220(2015年1月4日)
2013年:Msg.1147 (2014/2/2)
2012年:Msg.1084(2013/1/6)
2011年:Msg.1027(2012/1/10)
2010年:Msg.957(2011/1/2)
2009年:Msg.892(2010/1/10)
2008年:Msg.821(2009/2/1)
2007年:Msg.744(2008/ 1/27)
2006年:Msg.650(2007/ 1/ 3)
2005年:Msg.580(2006/ 1/ 1)
2004年:493(2005年1月2日)(「その他」の最後の部分)
本年もよろしくお願いいたします。
恒例の「5大ニュース」です。
通例のとおり、書籍と展覧会企画に分けて、以下の通り選んでみました。
1.書籍
4件を挙げます。。
1)日本写真史 写真雑誌1874-1985
公立図書館に、広く所蔵されていることを切望します。
・「日本写真史 写真雑誌 1874-1985」の造本上の問題点(2117)(2024/05/19)
・続報(さらにつづき):日本写真史 写真雑誌 1874-1985(2101)(2024/02/11)
・続報(つづき):日本写真史 写真雑誌 1874-1985(2100)(2024/02/11)
・続報:日本写真史 写真雑誌 1874-1985(2099)(2024/02/11)
・日本写真史 写真雑誌 1874-1985(2095)(2024/01/14)
2)東京工芸大学創立100周年記念 写真から100年
初期には、田村榮、渡辺義雄、大辻清司らを輩出した学校の歴史が描かれています。
・東京工芸大学創立100周年記念(2098)(2024/02/04)
3)インタビュー日本の現代写真を語る
日本の写真史研究の草創期がインタビューにより明かされています。
・金子隆一インタビュー集(2097)(2024/01/28)
4)写真は死んだのか?
まだ、実物をしっかり見ることができていません。
・写真は死んだのか?(2147)(2024/12/08)
次点として次の2件を挙げます。
・南光(2140)(2024/10/20)
・家族写真の歴史民俗学(2148)(2024/12/15)
2.展覧会企画
そして、展覧会企画で1件挙げます。これしかないということは、非常に残念です。当方が気付いていない企画が存在することもあり得ます。
・MEM, Paris Photo 2024(2142)(2024/11/03)
次点は、次の1件です。
・時間旅行(東京都写真美術館)(2123)(2024/06/23)
3.番外
最後に、番外として、次の本を挙げます。復刻版のさらに保存版(廉価版)の刊行です。
・「復刻保存版FRONT」I, II, III(2119)(2024/06/02)
(つづく)
今年最後の投稿となりますので、大風呂敷を広げましょう。
繰り返しご紹介していますが、スロバキアのCentral European House of Photography (Václav Macek, editor)によって刊行された、The History of European Photography (1900-1938, 1939-1969, 1970-2000。全3巻各2冊で全6冊、それぞれ、2010年(ISBN: 9788085739558)、2014年(ISBN: 9788085739664)、2016年(ISBN: 9788085739701))。対象は、35か国(東西ドイツを1国と数える)です。
これに対抗するものとして、2015年の5月から6月にかけて、「The History of Asian Photogrphy」(No.1307. No.1308, No.1309)というものを提案しました。対象は30か国でした。ただし、アラブ諸国とArmenia, Azerbaijan, Georgia、そして、Cyprus, Israel, Turkeyは含めていません。
これに対して、今回、さらに次のような案も提案いたします。
The History of Americas Photography (The History of American Photography, The History of Latin American Photography)
The History of Oceanian Photography
The History of Arabian Photography
The History of African Photography
それぞれ、展覧会企画も書籍出版も希望しています。
これで、全世界をカバーできましたか?
それでは、よいお年をお迎えください。来年も、皆さんにとって良い年でありますように。
来年も、よろしくお願いいたします。