大阪中之島美術館の2025年度の企画(2155)でご紹介しました、大阪中之島美術館の「シュルレアリスム 拡大するイメージ 視覚芸術から広告、ファッション、インテリアへ」(2025.12.13 – 2026.03.08)ですが、詳細な紹介が公表されていました。
https://nakka-art.jp/exhibition-post/surrealism-2025/
出品作品リストはまだありませんが、チラシは掲載されています。
https://nakka-art.jp/wp10/wp-content/uploads/2025/06/Surrealism_flyer_0710.pdf
三重県立美術館長の速水豊さんの講演会もあります。
中之島美術館の紹介ページには、出品される作品の図版がいくつか掲載されていますが、その中で気になるのは、2点も掲載されているヴォルスの写真作品です。
1点は、
ヴォルス/《美しい肉片》/1939年/個人蔵
もう1点は、
ヴォルス/《無題》/1937 / 1979年の再プリント/横浜美術館
です。
ヴォルスは、画家としての活動のほうが知られていると思いますが、このように写真作品でも注目すべき作品を残しています。
横浜美術館が所蔵しているという点のほうはなるほどと思うにしても、ヴォルスの作品を個人のかた(しかも、他の作品の所蔵館が皆日本であることから推測して、日本の個人)が所有なさっているんですね。驚くべきことです。
それにしても、楽しみな内容です。
No.2170でご紹介した「野島康三と斎藤与里 ―美を掴む手、美を興す眼」ですが、くわしい情報が公表されていました。
まずは、埼玉県立近代美術館のページ
https://pref.spec.ed.jp/momas/2025nojima_yori
続けて、プレスリリースです。(しばしば、プレスリリースのほうが情報が詳しいことがあります)
企画展「野島康三と斎藤与里 ―美を掴む手、美を興す眼」を開催.pdf
展示作品数はまだわかりませんが、期待できますね。
絵画は他の作家の作品も展示されるようですが、写真は野島だけのようです。
野島康三研究の第一人者で、渋谷区立松濤美術館の学芸員であった、光田由里さん(現在は多摩美術大学アートアーカイヴセンター所長・大学院教授ということのようです)の講演会もあります。
そして本企画ご担当の学芸員は、次のお二人です。
鴫原 悠(しぎはら はるか):主担当
西尾真名(にしお まな):副担当
https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/24752/06_kingendaibijutu.pdf
https://www.pref.saitama.lg.jp/f2216/bunkazai/gakugeiin-bank.html#kingendaibijutu
この埼玉県の「学芸員データバンク」というのは、情報公開がここまで来たか、という感じで感心しましたが、一方で、ご本人の写真まで掲載しているのは、ちょっと危険ではないかとも思いました。
そろそろ、情報がいろいろと出てくるのではないかと思っていましたが、なかなか出てこないので、唯一の情報に基づいて、もう書いてしまいます。
兵庫県立美術館から季刊で「ART RAMBLE」(アートランブル)という無料の広報誌が出ています。その86号(2025年3月28日発行)の最終ページ8ページに小林公さんの「38年越しのリレー―安井仲治ネガコンタクト集」という文章が掲載されています。次のURLをご参照ください。
https://www.artm.pref.hyogo.jp/artcenter/pdf/ramble86.pdf
この記事によれば、次の本が今秋(すなわち2025年秋)に刊行予定です。
安井仲治ネガコンタクト集【仮題】
造本設計:町口覚
判型:A4変形
頁数:500頁超
定価:未定
発行元:月曜社
2024年の安井仲治展の東京会場(東京ステーションギャラリー)では刊行予告のチラシが配布されたということですが、当方は持っていません。
この記事によれば、そのチラシには、こう書かれています(チラシでは縦書き)。
(引用開始)
三〇〇〇点余のコンタクトプリントにみる
知られざる仲治の全容
仲治研究の第一人者、福島辰夫氏と福島都氏が一九七〇年代に作成したネガコンタクトのすべてがはじめて詳らかにされる。
(引用終了)
このコンタクトプリントが、中島徳博さんがおられた兵庫県立近代美術館(当時)の1987年の常設展(東京では、西武コンテンポラリーギャラリー(西武コンポ)で開催されたもの)の準備に際して預けられたということで、それが38年越しで刊行されるということらしいのです。
なんとも言えない素晴らしいことです。
しかし、この本は、ページ数とコンタクトプリントの点数から考えて、相当な価格になるでしょうね。当方個人で購入できるようなものなのか、さらには、市町村レベルの公立図書館でも購入できるものなのか、危ぶまれます。
いずれにしても、今後刊行に向けて、更なる情報が出てくるでしょうが、刊行に期待します。
そういえば、中島さんといえば、中山岩太のスタディノート(?)についての研究成果発表は、どうなっているんでしたっけ? こちらも兵庫県立美術館に期待いたします。
次の本が刊行されています。
抽象表現主義
戦後ニューヨークの前衛芸術家たちはいかにして自分たちの歴史を自分たちで作ったか
大島徹也
水声社
2025年
6000円
http://www.suiseisha.net/blog/?p=21255
今まで同様のテーマの書籍が刊行されていたようでいて、実は存在しなかった、そんな重要な書籍だと思います。
戦後美術を対象としていますが、あえてご紹介いたしました。
目次だけ掲載しておきます。
【目次】
序論 抽象表現主義者たちの自主的集団活動…
第1章 〈芸術家の主題〉校 1948―49年
第2章 スタジオ 1949―50年
第3章 “怒れる者たち” 1950年
第4章 ザ・クラブ 1949―63年頃
第5章 9丁目展 1951年
結論
註
【資料1】〈芸術家の主題〉校の要覧(1948―49年用) 1948
【資料2】ロバート・グッドナフからアドルフ・ゴットリーブへの、スタジオでの芸術家討論会の参加依頼状 1950年4月8日
【資料3】アドルフ・ゴットリーブたちからメトロポリタン美術館総長への公開状 1950年5月20日
【資料4】アドルフ・ゴットリーブ、バーネット・ニューマンたちから『ニューヨーク・ヘラルド・トリビューン』紙編集者への手紙 1950年5月25日
【資料5】バーネット・ニューマンたちからメトロポリタン美術館総長への公開状 1952年6月27日
【資料6】スタジオ35での芸術家討論会(1950年) 1951年
関連年表
参考文献
図版出典
索引
あとがき
(以上で、目次終わり)
まったくすごいことは、この内容の書籍が「翻訳」ではない、ということです。
実物をじっくり見てみたいものです。
ちなみに、個人的には、アーシル・ゴーキーがあまり取り上げられていないようで残念です。「抽象表現主義」の中では、アーシル・ゴーキーは中心には位置しておらず、傍流なのでしょう。
次の本が刊行されています。
ロシア革命と芸術家たち 1917-41
ツヴェタン・トドロフ
赤塚 若樹・訳
白水社
2025年3月31日
5400円
https://www.hakusuisha.co.jp/book/b658600.html
白水社らしい本です。
タイトルだけしか見ないと、何となく、「いまさら?」というような、よくある、ありふれた内容のようですが、いったいどこに独自性や新しさがあるのか、どこにわざわざ翻訳をする価値があるのか、実物をじっくり見たいものです。
目次だけ掲載しておきます。
【目次】
序文 革命を前にした創造的芸術家たち 13
第一部 愛から死へ 33
第1章 革命の衝撃 39
ブーニン、言葉の批判 40
一九一七年のブルガーコフ 43
ゴーリキー、〈啓蒙〉の信奉者 44
メイエルホリド、熱狂 49
革命に奉仕するマヤコフスキー 52
自然の力に耳を傾けるブローク 56
パステルナーク、共感と留保 64
ツヴェターエワ、思想よりも人間を 71
第2章 自分の道を選ぶ 77
ピリニャーク、言い逃れをする抵抗者 82
マンデリシターム、匿名のビラ 87
ザミャーチン、最初のディストピア 91
バーベリあるいはありえない嘘 100
ブルガーコフ、悪魔を憐れむ歌 106
一致を求めるパステルナーク 115
第3章 文化的反革命 125
ショスタコーヴィチ──音楽と言葉 127
エイゼンシュテイン、勝った者が負けになる 136
第4章 死亡者名簿 145
第2部 カジミール・マレーヴィチ 159
第1章 革命の陶酔 169
第2章 ユートピアを生きる 177
第3章 アヴァンギャルド芸術家の旅程 185
第4章 芸術それ自体 197
第5章 幻滅の年月 211
第6章 共産主義の批判 221
第7章 逃亡と監禁 229
第8章 絵画への回帰 239
第9章 最後の探求 249
エピローグ 革命後 261
▪ 謝辞 275
訳者あとがき 277
▪ 図版一覧 16
▪ 訳註 15
▪ 原註 05
▪ 文献 04
▪ 索引 01
(以上で目次終わり)
必ずしも、対象は美術の分野だけではなさそうです。他方、マレーヴィチについては、詳細な内容が含まれているようです。それというのも、著者はマレ―ヴィチについての著作でも著名なためのようです。
実物を見たうえで、また、ご紹介したいと思います。