「1001ネタ」で、さらに話を発展させてみましょう。
「死ぬまでに観ておきたい日本の写真1001」(1001 Japanese Photographs: You Must See Before You Die)
はできないものでしょうか?
日本に限定してしまうと、1001作品などは多すぎて無理でしょうか? いえいえ、決してそんなことはありません。可能です。
例えば、次の2冊が20年以上前に刊行されています。
・日本の写真家 近代写真史を彩った人と伝記・作品集目録(東京都写真美術館・監修、日外アソシエーツ、2005年)は839人を掲載
・現代写真人名事典(東京都写真美術館・監修、日外アソシエーツ、2005年)は1512人を掲載
この人数の中には写真家以外の写真関係者も含まれていますが、それを考慮しても、2冊には重複した掲載はありませんので、人数を合計すれば優に2000を超えます。しかも、この20年で活動を開始したり注目されるようになってきた日本の写真家は数多くいて、そのような写真家はこの2冊には掲載されていないで可能性がありますから、そういった写真家の作品も追加できます。。要するに、「死ぬまでに観ておきたい日本の写真1001」は、制作しようと思えば、上下巻2冊にだってできるということです。
「上下巻2冊」は行き過ぎとしても、少なくとも1冊であれば荒唐無稽の企画ではまったくありませんので、ぜひとも制作・刊行をご検討いただけないものでしょうか?
場合によっては、それを英訳して海外に打って出る、ということも夢ではありません。
ご検討いただきたく、よろしくお願いいたします。
TIME誌の「2025 PERSON OF THE YEAR」の号の表紙写真について(2211)
では、ジャーナリズム系の写真について「まだまだ知らないことが多い」と書きました。
これを補うために、ジャーナリズム系の写真作品をもっと見られる書籍があればいいなと思います。
1つのアイデアとしては、2019年に日本語訳が刊行されて、その当時このスレでもご紹介した「死ぬまでに観ておきたい 世界の写真 1001」(ポール・ロウ編、実業之日本社、原著は、1001 Photographs: You Must See Before You Die, Paul Low, Cassell社, 2017)を2つに分けてはどうか、と思います。
具体的には、次の2つです。
「死ぬまでに観ておきたい世界の報道写真1001」
「死ぬまでに観ておきたい世界の芸術写真1001」
ようするに、2冊に分けて情報を倍にすれば、ジャーナリズム系の写真作品も倍くらいになって、いいのではないか、ということです。当時もそういうことを書きましたが、そもそも「1001」では、全体として足りません。このように作品点数を倍増させると、ジャーナリズム系の作品の特質上「photographers unknown」という作品がかなり増えるのではないかと思いますが、それでもいいと思っています。
ただ、確かに「報道写真」と「芸術写真」の2つに分けるのは難しいかもしれません。しかし、その点は無理にでもしてしまえばいいのではないかと思っています。
さらに、英語での刊行を待つ「翻訳」という位置づけではなく、日本の出版社や編集者が主体となって日本発信で編集していただいたらいいのにと思いますが?
なお、それぞれのタイトルをもとに(逆に)英語にすると、
「1001 Documentary Photographs: You Must See Before You Die」
「1001 Fine-Art Photographs: You Must See Before You Die」
でしょうか?
アメリカのTIME誌が、1927年以降毎年「PERSON OF THE YEAR」(1999年に改名されるまでは「MAN OF THE YEAR」で、年によって「MAN」が「WOMAN」などに変更されたということです)を選んでいますが、2025年は、「人工知能(AI)の設計者たち」ということで、NVIDIAのジェンスン・ファン、OpenAIのサム・アルトマン、メタのマーク・ザッカーバーグなど8人の各氏が選ばれたということです。
さて、話題はここからです。
この号のTIMEの表紙写真は、掲載したとおり、ニューヨークの建設中の超高層ビルの横に渡された鉄骨に、その8人が座っている写真です。もちろん、実際にこんな写真が撮影されたわけではありません。
そうではなく、この写真は、1930年代の有名な写真をもとにモンタージュで作成されたということです。しかし、当方は、1930年代のそのような作品はさっぱり思いつきませんでした。
そこで確認してみると、Wikipediaの英語版にも掲載されている、「摩天楼の頂上でランチ(Lunch Atop a Skyscraper)」という1932年の作品でした。ロックフェラー・センター(RCAビル、現在のコムキャスト・ビル)の建設現場で撮影された、ということです。
https://en.wikipedia.org/wiki/Lunch_atop_a_Skyscraper
撮影者は、チャールズ・C・エベッツ(Charles C. Ebbets, 1905-1978)という写真家である可能性が高いそうですが、他にも、ウィリアム・レフトウィッチ(William Leftwich)やトーマス・ケリー(Thomas Kelley)といった写真家の可能性も残っているということです。
20世紀前半の写真についての有名な話題のはずなのに、まだまだ知らないことが多いですね。
ここからいえることは次の2つでしょうか。
・ジャーナリズム系の写真について、「美術・芸術」の観点からの紹介は遅れている。
・また、その系統の写真については、クレジットが不明の場合も多く、撮影者すらはっきりしない場合も多い。
引き続き、いろいろと情報を蒐集していかねばなりません。
1年ほど前の企画なので、取り上げるのが遅くなって申し訳ありませんが、ご紹介いたします。
特別展「ファッション写真が語るモード-写真とドレスの関係性-」
神戸ファッション美術館
2024年11月23日(土) - 2025年1月26日(日)
https://www.fashionmuseum.jp/special/fashion%ef%bd%b0photo-2/
【主な出品予定作家】
■写真家
レオポルド・E・ルートランジェ、ジャック=アンリ・ラルティーグ、アドルフ・G・ド・メイヤー、エドワード・スタイケン、ホルスト・P・ホルスト、マン・レイ、アーウィン・ブルーメンフェルド、ルイーズ・ダール・ウォルフ、リリアン・バスマン、ウィリー・メイウォルド、アーヴィング・ペン、リチャード・アヴェドン、ウィリアム・クライン、フランク・ホーヴァット、ヘルムート・ニュートン、サラ・ムーン、シーラ・メッツナー、ロバート・メイプルソープ、スティーブン・マイゼル、サトシ サイクサ、ニック・ナイト、篠山紀信、荒木経惟、横須賀功光、森万里子 他
■デザイナー
ジョルジュ・ドゥイエ、ポール・ポワレ、マドレーヌ・ヴィオネ、ガブリエル・シャネル、エルザ・スキャパレリ、グレ、クリスチャン・ディオール、バレンシアガ、ピエール・カルダン、イヴ・サンローラン、ロメオ・ジリ、ジョン・ガリアーノ、アレキサンダー・マックイーン、川久保玲、山本耀司、ティエリー・ミュグレー 他
写真家の中に、ムンカッチとホイニンゲン=ヒューンが含まれていないことが残念です。
逆に、ルイーズ・ダール・ウォルフ、リリアン・バスマンが含まれていることがうれしいですが、その2人よりも、特に、ウィリー・メイウォルド(Willy Maywald、1907年 - 1985年)が気になります。1930年代にはすでに活躍していた写真家のようですが、むしろ、戦後の活動のほうが主です。日本での展覧会における紹介は、この企画が初めてかもしれません。
このようなグループ展が、紹介の対象となる写真家が広がるきっかけになります。写真家だけでなく画家でも同様に広がるきっかけとなるでしょう。そして、時代とともに、紹介される画家や写真家も変わってきます。そういう意味で、今後も、このようなグループ展にも期待したいと思います。
次の本が刊行されています。
モダニズムと関西の前衛 - 都市・美術・近代美術館
「近代美術」再考-前衛・モダニズム・近代美術館 第2集
山野英嗣
東信堂
2025年11月
価格 ¥5,940(本体¥5,400)
https://www.toshindo-pub.com/book/91987/
目次
第Ⅲ部 モダニズム再考―関西を磁場に
第一章 都市と美術 大阪・神戸のモダニズム 一九二〇 ― 一九四〇
第二章 「前衛都市」京都のモダニズム 一八九五 ― 一九三〇
第三章 知られざる和歌山のモダニズム
第四章 「関西のモダニズム」再考
第五章 美術館、そして展覧会を体験として「再考」し、「思い」をつづる
その前にシリーズでもう1冊刊行されていました。
カンディンスキーと日本の前衛 - 版画・抽象・音楽
「近代美術」再考-前衛・モダニズム・近代美術館 第1集
山野英嗣
東信堂
2025年5月
価格 ¥6,820(本体¥6,200)
https://www.toshindo-pub.com/book/91943/
目次
第Ⅰ部 カンディンスキーの「抽象」から「諸芸術の総合」へ
第一章 「青騎士」像―年刊誌『青騎士』の表紙絵について
第二章 カンディンスキーの木版画作品(一九〇二年―一九一〇年)―「抽象」への道
第三章 カンディンスキーの詩画集『響き』(一九一三年)について―「抽象」の誕生
第四章 「諸芸術の総合化」に向けて―二〇世紀初頭の一動向
第五章 ふたたびカンディンスキーをめぐって
第Ⅱ部 日本の「前衛」再考―カンディンスキーの受容
第一章 青木繁《海の幸》(一九〇四年)再考―その絵画表現の革新性について
第二章 萬鐡五郎、村山知義、竹久夢二、そして恩地孝四郎たちのカンディンスキー
第三章 日本の「前衛」再考
第四章 「日本画」の前衛―「シュパンヌンク」の響き
2冊とも、実物をじっくりと見てみたいものです。
第1集よりも第2集のほうに、より関心を持っています。